メタバース技術を活用した実験の体験環境を共同開発
細胞の培養手順を学習できる環境で、研究者のリスキリングを支援
近年、創薬や再生医療などのバイオ医薬品の開発は国の重要課題となっており、即戦力となる技術者や指導者の育成が求められています。新しいアイデアや技術を創造し実装する能力を養うことを目的として、神戸大学は次世代の研究者に対して2024年からイノベーション指向のリスキリング講座を提供します。今回の共同開発は2023年に文部科学省のリカレント教育推進事業の採択を受けており、リスキリング講座で活用します。
神戸大学、ファーストパーソン及びCTCの3者は、次世代バイオ医薬品の製造技術基盤開発の一環で、神戸大学に設置されたGMP※1に準拠した細胞培養の実験施設※2をデジタルツイン環境上に再現しました。医薬品の初期の製造プロセスである培養工程の一部を、実際の実験室での作業をメタバース上で模倣することで、作業を繰り返し試すことができ、習熟度を上げ品質の維持につなげます。
レーザースキャナーで360度撮影した実際の実験施設のデータを取り込んで、実物と同様の実験室をデジタルツイン環境上に構築し、2Dの画像と図面から培養装置の3Dデータを生成して、装置の見た目や奥行きを再現して実験室内に配置しました。細胞を培養する作業をメタバース上で体験して、間違った作業手順や培養品質に影響のある操作を行った場合には、正しい操作の説明を確認できます。
デジタルツイン環境は、NVIDIA社が提供する仮想空間の開発プラットフォーム「NVIDIA Omniverse(以下:Omniverse)」を活用しています。Omniverseは、物体の形状、位置、表面の質感や光源などを精緻に表現することが可能で、リモートアクセスや複数人での同時操作でも3Dやアニメーションをスムーズに表示します。
共同開発では、ファーストパーソンのプロジェクト管理のもと、神戸大学が培養工程と装置の作業手順を監修しました。CTCはOmniverseライセンスの提供、実験施設の3D空間の構築と3Dデータの生成、デジタルツインの環境への取り込み、作業工程のシナリオ化やアニメーションの制作を担いました。
今後も3者は、デジタルツイン技術について製造プロセスにおける他の工程での活用も検討し、創薬や再生医療などの研究開発の高度化に貢献していきます。
<細胞培養の実験施設 デジタルツイン環境>
<細胞培養の実験施設 デジタルツイン環境 動画>
URL: https://www.youtube.com/watch?v=u-Q2TFV23-o
※1 GMP:Good Manufacturing Practiceの略称。薬品の製造業者および製造販売業者に求められる「適正製造規範」(製造管理・品質管理基準)のこと。
※2 実験施設:経済産業省、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の支援を受けて実験施設を建設。(JP15ae0101003・JP18ae0101056)
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以上
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
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