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特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
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COP28閉幕:適応の進捗が不十分な結果に

水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドが声明を発表

特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン

水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドは、2023年12月13日に閉幕した国連気候変動枠組条約第28回締約国会合(COP28)について、アジェンダの1つとして水が取り上げられたものの、世界のリーダーたちは、予測不可能な気候変動の影響に日々直面している人々の期待に答えることができていない、と指摘しました。

ウォーターエイド・イギリスのチーフ・エグゼクティブ ティム・ウェインライトは、次のように話します。

「国際的なアジェンダにおいて、水への注目はわずかに上がったかもしれません。一方、COP28で出された水に関するコミットメントは不十分でした。気候の危機は水の危機であり、気候変動に対して最も脆弱なコミュニティが最も大きな影響を受けています。清潔な水と衛生設備を利用できるようにすることは、人々が生活のあらゆる分野で気候変動の影響に立ち向かうことを可能にするレジリエンスを高め、ひいては、コミュニティが気候危機を切り抜けて繁栄していくための最初の防衛線です。

しかし、水に関するコミットメントの多くは、農業や工業を念頭に置いており、気候危機のさなかで、異常気象、そして水が少なすぎる、あるいは多すぎるという現実のなかで日々生きている人々を念頭に置いていませんでした。世界のリーダーたちは、気候変動の影響を今も受けている人々を失望させ、2025年までに気候変動の適応に向けた公的資金を倍増させるという約束を果たすことも、水に関して確固たる行動をとることもしませんでした。

気候変動の影響を最も大きく受けている人々にとって、これはもはや死活問題であり、このような生ぬるい結果でもって、次のCOPまで待つという選択肢はありません。各国政府は、今すぐ言葉を行動に移し、現地主導の適応プロジェクトに資金を向ける必要があります。」

 

COP28ならびにそこで出された文書に関するウォーターエイドの見解は以下の通りです。

COP28は、気候変動の影響に立ち向かううえで、水が果たす重要な役割を強調するターニングポイントとなりました。気候変動に対する人々の脆弱性を軽減し、レジリエンスを強化することを目的とした、「適応に関する世界全体の目標(Global Goal on Adaptation)」の枠組みに関する初の公式交渉では、この目標に、水と衛生が盛り込まれ、さらに、枠組みの最初のターゲットとして水が位置づけられました。これによって、各国は、水・衛生という基礎的なサービスをしっかり届ける責任を負ったと言えますが、一方で、行動を起こすのにさらに1年もかかるようでは、何百万人もの人々の生活を犠牲にすることになります。

 

適応ファイナンス

  • COP28において、途上国政府は、適応策の重要性、特に自分たちが直面している気候の現実に適応できるよう、適応資金を増やすことの重要性を声高に訴えましたが、この呼びかけはほとんど聞き入れられることはありませんでした。COP28初日に、アラブ首長国連邦が水の安全保障のために1億5,000万ドル拠出することを約束。また、COP28期間中に設けられた「水の日」に、英国政府は「水の安全保障のための公正な移行プログラム(Just Transitions for Water Security Programme)」に3,910万ポンド拠出することを約束しました。しかし、このようなCOP28の水に関するコミットメントでは、気候変動の影響を受けやすいコミュニティにとっては、暗闇のトンネルの中のわずかな明かりに過ぎないと言えます。

  • 適応基金は、3億ドルの新たな誓約という目標には遠く及ばず、1億3,400万ドルしか達成することができませんでした。緑の気候基金(Green Climate Fund)は、最新の増資で128億ドルを集め、その半分が適応に配分されることになっていますが、一方で、緑の気候基金自体が認めているように、この資金が、支援を必要としている国々に届くには相当時間がかかるため、その必要性は限定的となっています。損失・損害基金を通じて7億9,200万ドルの拠出が誓約された一方で、バングラデシュの国家適応計画だけで、2025年から2050年の間に2,300億ドルの適応対策費用が必要とされていることもまた事実です。

  • COP28は保健と気候変動を結びつけるために、初めての「保健デー」を開催。主催国が29億ドルの拠出を約束しました。気候変動による災害で、給水・衛生インフラが損なわれると、地域の衛生環境を悪化し、コレラなど命に係わる水系感染症がコミュニティに広まるリスクが生じます。このように保健と気候変動は関連しているのです。

 

適応に関する世界全体の目標

  • 気候変動に対して最も脆弱な状況に置かれた人々にとって、「適応に関する世界全体の目標」をめぐる交渉は、歴史上、非常に重要な瞬間だったと言えます。2015年にパリで開催されたCOP21で初めて決定されたこの目標、8年たった今、ようやくその枠組みが合意されました。  

  • ウォーターエイドは、気候変動に対してレジリエントな水の供給と衛生設備が「適応に関する世界全体の目標」の枠組みの一部となるよう呼びかけてきました。そのため、水・衛生が青写真の最初の目標に盛り込まれたことは、重要なことです。そのほかの前進としては、2030年までに気候変動による水不足を減らし、気候変動にレジリエントな水の供給と衛生設備を強化するという目標が盛り込まれたことが挙げられます。 

  • しかしながら、適応策の進捗は、今なお、必要とされている水準から大きく遅れています。より多くの資金が今すぐ必要ですが、「適応に関する世界全体の目標」の進捗を測定するプロセスもまだ確定していません。重要な目標を達成するためのタイムラインが明確ではない、また、目標に対する指標がまだ設定されていない、といったことが、緊急性の欠如に拍車をかけています。

 

グローバル・ストックテイク

  • 気候変動対策の進捗状況を緩和と適応の両面から評価する初の「グローバル・ストックテイク」によって、私たちがすでに目標から大きく遅れていることが浮き彫りになりました。COP28の議長国は、世界の気温上昇を1.5℃未満に抑えるため、新たな「野心的な」方法を見い出すよう呼びかけました。

  • 緩和に向けたアクションの野心度を高めるとともに、適応への取り組みも強化することで、脆弱なコミュニティが現在も直面している苦境に対処する必要があります。第1回グローバル・ストックテイクの成果は、適応と緩和、そして必要とされるファイナンスという主要事項に焦点をあて、気候変動対策の新時代を描くものと言えます。この画期的な成果文書が、今後成功するかどうかは、その実施にかかっています。

  • ウォーターエイドは、各国と協力し、水・衛生が、各国の「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution:NDC)」と「国家適応計画(National Adaptation Plan:NAP)」において優先されるよう呼びかけ、また、地域コミュニティと協力し、気候変動の影響の強さに耐えうる水・衛生サービスを設計し、提供するよう取り組んできました。ウォーターエイドは、これらの気候関連の計画が確実に実施されるようにすることで、グローバルな気候変動対策への貢献を強化していきます。

 

今年のCOP28における合意形成は、アクションをとるための土台を確立する第一歩となりました。ウォーターエイドは、各国に対し、気候変動の影響を受けている人々との約束に対する説明責任を果たすよう求め続けるとともに、気候変動にレジリエントな水・衛生サービスの提供を続けていきます。そして、各国政府に対し、より多くの資金拠出を呼びかけていきます。次のCOPを待つという選択肢はもはやありません。気候変動が人々の未来を押し流してしまうことがないよう、必要としている人々に、規模を拡大し、ペースを上げて、直ちに気候変動資金を届ける必要があります。  

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本社所在地
東京都墨田区亀沢2-12-11 PAX21 3F
電話番号
03-6240-2772
代表者名
古米弘明
上場
未上場
資本金
-
設立
2013年02月
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