【2024年以降の業種別倒産発生予測ランキングを発表】1位は農業で84社に1社、2位は繊維・衣服等卸売業で92社に1社が倒産可能性あり
~13,496社・244,689件のネット情報等を分析し要警戒企業を抽出~
・円安や燃料費高騰の影響を受けやすい海外依存の高い業界で倒産が発生
・「2024年問題」に直面する工事業・運輸業で人材不足や利益減少から倒産リスク増
・不祥事やコンプライアンス違反による倒産が業種全体の信用低下に
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:武田浩和、以下「当社」)は、この度、2022年12月1日~2023年11月30日の期間に収集された13,496社・244,689件のネット情報等から1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を分析・抽出し、「倒産危険度の高い上位10業種」を予測しましたので発表します。
◆倒産可能性の高い業種ランキング
◆調査背景
2023年は円安を起因とした輸入コストの高騰により、多くの国内企業で生産コストが上昇しました。それによって発生した物価高の影響は消費者だけでなく企業にも大きな影響を与えており、未だ多くの企業が苦境に立たされています。また、2024年4月に適用開始する働き方改革関連法により、物流・運送や建設、医療などの業界で、人手不足や売上減少といった影響を受ける「2024年問題」が不安視されています。
このような先行き不透明な状況のなか、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金といった企業支援策の新規受付が終了し、ゼロゼロ融資の返済が本格化しています。これにより、倒産リスクが高まる企業が増加していますが、財務基盤がぜい弱な多くの企業にとって、取引先倒産によって引き起こされる代金未回収が資金繰りに与える影響は大きくなっています。これらの経営リスクを回避するべく、企業には取引先の業種動向や倒産リスクを常に把握することが求められます。
当社はこれまで企業の連鎖倒産を防ぐ取り組みとして、AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」で倒産の事由や前兆と見られる情報を収集・解析し、サービス利用者に提供してきました。
以上を踏まえ、“1年以内に倒産する危険性がある要警戒企業”を業界ごとに集計し、内容の分析を行うことで、取引先の与信管理におけるタイムリーな情報収集の重要性と活用法を啓発すべく、本調査の実施と発表に至りました。
◆主な調査結果
今回の調査では、円安や人件費高騰により生産コストが増加した業種に倒産関連情報が多く発生していました。農業は飼料の輸入依存や円安による燃料費の高騰、アパレル業界は生産拠点の海外依存により円安の影響を強く受けた結果、倒産に至るケースが散見されました。工事業や運輸業は、人件費の高騰や人材不足による外注費の増加が収益を圧迫するケースが散見されるなど、2024年問題を前に人材不足が本格化している様子が見られました。
また、今回は顧客との金銭トラブルや経営者の不祥事が話題になったのちに倒産に至っているケースが散見されており、コンプライアンス違反による信用低下が与える影響が大きくなっています。
◆調査結果詳細
1位 農業:84社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:耕種農業、畜産農業、園芸サービス業など
これまでの調査でも何度か1位になった農業ですが、今回は業歴の長い企業や新興企業でも倒産と支払い遅延が発生しており倒産危険度の高い業種となりました。コロナ禍の業務用需要の減少や高騰した飼料の影響により資金繰りが悪化した企業が息切れ倒産を起こしていると考えられます。
コロナ禍による需要減少に落ち着きは見えたものの、飼料穀物の海外依存度の高さや燃料費高騰による生産コストの増加、過剰生産といった業界課題は依然として残っており、引き続き警戒が必要です。
2位 繊維・衣服等卸売業:92社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:繊維や染材など原料の輸入、既成服の卸売業など
アパレル業界の商社部門である繊維・衣服等卸売業が前回の8位から順位を上げ2位となりました。倒産や事業停止が発生したほか、粉飾決算の情報が数社でていました。コロナ禍の長期化による衣料品の需要低下や海外企業との競争激化により収益が低下したことで、資金繰りが悪化した企業が新たに資金を調達するために粉飾決算を行ったと考えられます。業況が芳しくない企業と取引する際は決算書以外にも評判などの情報を加味した与信管理が重要です。
3位 職別工事業(設備工事業を除く):98社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:とび工事、内装工事、塗装工事、鉄骨工事など
前回の調査でも7位だった職別工事業が3位になりました。主に下請けとして内装工事や塗装工事を行う事業者に倒産が発生していました。昨今は、円安やウクライナ問題により燃料費や建築資材の仕入れが高騰しており、元請業者との価格交渉ができない企業は採算性が低下しています。また、業界内の人手不足が進んでおり外注費による利益低下や受注量の減少も影響しており、2024年4月からは働き方改革関連法の時間外労働規制が適用開始になることで人手不足がさらに進行し、倒産リスクが高まる恐れがあります。
4位 電気業:104社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:発電所、電力小売りなど
2022年6月から開始した本調査で常にランクインし続けている電気業が、今回も4位となりました。2016年の電力自由化により発電所を持たない新電力と呼ばれる電力小売り会社が多く台頭しており、大手企業の出資により設立された企業もありましたが、原油や液化天然ガスなどの燃料費が高騰した結果、電力の仕入価格が高騰し採算性の取れない事業者が倒産に陥るなど、電気業でも円安による燃料費の高騰が倒産リスクを高める要因となっています。
5位 繊維工業:107社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:製糸業、紡績業、織物業など
前回の調査で1位だった繊維工業でしたが、今回は5位となりました。コロナ禍により収益が低下していたなかで、円安によって輸入コストや海外工場の製造コストがあがったことで、資金繰りが限界に達した企業で倒産が発生していました。また、アパレル業界全体の業況が厳しい中で、小売りや卸などの関連会社が倒産したことで連鎖倒産した企業も見受けられました。倒産した企業の中には、支払い遅延の情報が発生後数か月で倒産した例もあり、取引先の支払い情報や関連会社の倒産には注意が必要です。
6位 総合工事業:108社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:土木工事業、建築工事業、建築リフォーム工事業など
2021年3月頃から始まっている木材価格の高騰「ウッドショック」の影響や円安による関連資材の高騰を理由とした資金繰りの悪化による倒産、支払い遅延や連絡難など倒産リスクが高まっていることを示唆する情報が多く発生していました。また、不正会計や反社会的勢力との関与といった不祥事が報じられたのち倒産している企業が散見され、今後はコンプライアンス面での与信チェックも重要と考えられます。
7位 運輸業:119社に1社が倒産する可能性あり
主な事業:道路貨物運送業、水運業、航空運輸業、倉庫業など
洗濯・理容・美容・浴場業と同数で、運輸業が7位にランクインしました。燃料費や人件費の高騰などの理由から以前より不安視されていた運輸業ですが、価格転嫁できなかった中小規模事業者で倒産が発生していました。また、運送業の給与未払いや倉庫業の家賃滞納など、資金繰りの悪化を示唆する情報が散見されました。運輸業では、2024年に働き方改革関連法により、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限され、ドライバー不足がさらに加速する「2024年問題」が差し迫っています。このことから、人手不足による受注減や外注費の増加が予想され、運輸業に属する企業の倒産リスクが昨年以上に大きく高まっています。
7位 洗濯・理容・美容・浴場業:119社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:サロン運営、クリーニング店、銭湯など
運輸業と同数で、洗濯・理容・美容・浴場業が7位にランクインしました。昨今は美容サロンの競争が激化しており、倒産やサービス停止の情報が発生していました。美容エステや脱毛サロンは契約時に高額な料金を前払いもしくはローンを積み立てることが多く、突然のサービス停止により金銭トラブルになっているケースが散見されました。新規会員の受け入れ停止や返金トラブルに関する書き込みなど、ネット上に発生する倒産の予兆と考えられる情報を常にウォッチし、トラブル回避につなげることが大事です。
9位 印刷・同関連業:131社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:印刷業、新聞業、出版業など
印刷業や出版業、それらを補助する企業が属する同業界ですが、近年は紙媒体に対する需要が低下しており市場規模が縮小しています。今回の調査では経営基盤が盤石ではない中小企業のうち、取引先を一部の業界に特化していた企業に倒産が発生していました。取引先企業が同グループ内や一部の業界に集中している場合、取引先企業の影響を大きく受けることから、取引先企業の重点顧客情報なども収集することが未回収リスクを抑えることに繋がります。
10位 金融商品取引業,先物取引業:132社に1社が倒産する可能性あり
主な事業:証券会社、投資会社など
投融資に関連する企業で倒産が発生していました。また、関連企業に訴訟や詐欺の疑惑があるといった警戒すべき情報がある企業もありました。証券会社や投資会社は関連企業を持っていることも多く、直接取引のある企業だけでなく、子会社や同代表者の法人の情報を収集することで正しく与信を管理することが重要です。
◆考察
前回の調査でもランクインしていた6業種が、今回も10位以内にランクインしました。これらの業種は、コロナ禍で悪化した資金繰りが物価高や人手不足などの影響でさらに悪化した結果、倒産リスクが高止まりしています。
コロナは5類感染症に移行され、社会は脱コロナの動きが加速化していきます。一方で、ゼロゼロ融資によって過剰債務を抱えた企業は新たな資金調達が困難な中、ゼロゼロ融資の返済本格化や「2024年問題」の影響を受けることで、息切れ倒産が増加していくことが予想されます。このような不安定な市況において、企業は、取引先の継続的な与信管理を行うことが経営を安定化させる上で重要となります。
なお、本調査で上位にランキングされた業種の企業の中にも財務状況や企業体質が良好な企業はあるため、あくまで適切な個社ごとの判断をするためにも、動向や倒産リスクをタイムリーに把握できる与信管理体制や仕組みを整えた上で取引することを推奨します。
◆調査概要
調査期間:2022年12月1日〜2023年11月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしていた企業のうち、13,496社
対象データ:アラームボックスで配信されたアラーム情報244,689件
◆アラームボックスについて
AI与信管理サービス「アラームボックス」は、企業や自治体のHPに掲載された情報や、SNSや口コミなどインターネット上で投稿された情報をAI技術で収集・解析し、提供するクラウドサービスです。新規取引時の与信判断、既存取引先の継続的な与信管理、さらに売掛保証までを一括して行うことができます。収集・判断の難しいネット上の情報を、与信への影響度を診断したうえで提供するため、インターネット上の情報を活用した高精度な与信管理を、簡単に、低価格で導入できます。それにより、取引先の情報収集に関わる業務負荷を大幅に削減し、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、迅速にリスクに対応できます。
◆会社概要
会社名:アラームボックス株式会社
代表者:代表取締役社長 武田 浩和
所在地:東京都新宿区市谷本村町3-22
設立 :2016年6月
資本金:3.36億円
企業サイト: https://alarmbox.co.jp
サービスサイト: https://alarmbox.jp
アラームボックス株式会社
当社は、AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」を開発・提供するベンチャー企業です。
これまで「難しい」「時間とお金がかかる」とされてきた企業調査・与信管理を、AI活用により簡単かつ低価格で始められるサービスを提供し、現在5,000社以上の企業に利用いただいています。
「アラームボックス」は、企業や自治体のHPに掲載された情報や、SNSや口コミなどインターネット上で投稿された情報をAI技術で収集・解析し、提供するクラウドサービスであり、新規取引時の与信判断、既存取引先の継続的な与信管理、さらに売掛保証までを一括して行うことができます。
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