製紙工場の煙道・煙突点検に360°カメラ搭載マイクロドローンを活用、リックスとアイ・ロボティクス
従来困難だった狭隘・高所設備内部を可視化し、製紙工場における安全で効率的な保全業務のDX化に貢献
株式会社アイ・ロボティクス(本社:東京都千代田区)は、リックス株式会社(本社:福岡県博多市)と協力し、国内の製紙工場において、煙道・煙突内部の状態確認を目的とした、360°カメラ搭載マイクロドローンによる点検を実施しました。
同工場では、出版・印刷用紙、上質紙、キャスト紙などを生産しており、工場内の電力・蒸気を支える動力設備も重要な役割を担っています。今回の点検は、こうした製紙工場の安定操業を支える設備保全において、ロボティクスとデジタルデータを活用する取り組みです。
本件では、煙道・煙突内部の状態を映像・画像データとして取得し、修繕計画や施工検討に活用しやすい報告書として整理することで、現場起点の設備保全DXに貢献することを目指しました。

ボイラー設備の定修工程における短時間点検ニーズに対応
製紙工場におけるボイラー設備は、蒸気・電力供給を支える重要設備であり、定期修繕時には限られた停止期間の中で、点検・補修・復旧を効率的に進めることが求められます。
一方で、煙道・煙突内部は、高所・狭隘・暗所・粉じん環境への対応や足場の仮設などの制約が大きく、従来は点検そのものが定修工程を圧迫する要因となる場合がありました。
今回、アイ・ロボティクスは、360°カメラ搭載マイクロドローンを活用することで、煙道・煙突内部の状態を短時間で確認しました。実際の点検では、半日以内の現場対応により、飛行時間ベースでは数分単位で一定範囲の内部状態を記録し、設備保全・修繕検討に活用可能なデータとして整理しました。
360°カメラ搭載マイクロドローンによる点検の特長
今回使用したマイクロドローンは、従来の点検方法では確認が難しい狭隘部や高所、煙道・煙突内部などに進入し、対象空間を飛行しながら内部状態を記録することが可能です。
特に本件では、以下の点において従来手法および一般的なドローン活用との差別化を実現しています。
■ 狭隘・閉鎖空間への“実用レベルでの進入”
一般的な産業用ドローンでは機体サイズや安全性の制約から進入が困難な煙道・煙突内部に対し、マイクロドローンを用いることで実運用レベルでの進入・調査を実現しました。
■ 360°撮影による“点検データの完全性”
360°カメラにより、進行方向だけでなく上下左右を含む全方向を一度に記録。これにより、撮影回数の削減、見落としリスクの低減、後工程での再確認・再解析、将来における3Dモデリングによる活用を同時に実現し、「撮影」ではなく「データ取得」としての点検を可能にしました。
■ 飛行戦略設計による“点検品質の担保”
アイ・ロボティクスでは、単に飛行するのではなく、設備構造の事前把握、進入口・ルート設計、撮影範囲の定義、通信・照明・安全設計を統合した飛行戦略を設計し、パイロットとナビゲーターが一体となって運用を担うノウハウを確立。これにより、現場依存になりがちな点検作業を再現性のあるプロセスとして設計し、点検品質のばらつきを抑制しています。

本点検で得られた効果
今回の点検では、煙道・煙突内部にマイクロドローンを進入させ、360°映像を取得することで、設備保全業務におけるデジタル活用を前提としたデータ整備を行いました。
主な効果は以下の通りです。
■ 短時間での内部状態確認
360°カメラを搭載したマイクロドローンを活用し、煙道・煙突内部を非接触かつ限定的な立入りで点検。半日以内の現場対応により、定修期間中の限られた時間内でも設備状態の効率的な把握を実現しました。
■ ドラフト・圧損に影響する要因の把握
煙道内の煤・ダスト付着、閉塞、通風断面の変化など、ドラフトや圧損に影響し得る要因を映像データとして確認しました。これにより、ボイラー運転効率や排ガス流路の健全性に関わる状態把握を支援します。
■ エキスパンション継手など損傷しやすい部位の確認
温度変化による伸縮を吸収するエキスパンション継手、接続部、屈曲部、付着物が堆積しやすい箇所など、損傷・劣化リスクの高い部位を重点的に確認しました。
■ 撮影回数・確認工数の削減
360°カメラにより、飛行中の周囲全体を記録。後工程で任意の方向を確認できるため、再撮影・再入構・追加作業の削減に寄与。
■ 点検業務のデジタル化
従来は「現地確認・写真・報告書作成」に依存していた点検業務を、データとして蓄積し、再利用可能かつ関係者間で共有可能な状態情報として整理することで、設備保全業務のデジタル化(DX)を実現。
■ 事前計画による点検漏れの抑制
設備構造や進入口、飛行ルートを事前に整理し、点検対象を網羅的に撮影するための飛行戦略を策定。
■ 他社ドローンでは困難な領域への対応
本件では、狭隘構造への進入性、通信・照明制約への対応、360°データによる網羅性確保を組み合わせることで、一般的なドローン点検では対応が難しい領域において実用的な点検を実施しました。
■ 修繕施工に直結する報告書化
取得データをもとに、劣化・付着・損傷等の懸念箇所を整理し、修繕検討に必要な画像情報として報告書化しました。補修優先度の判断や施工範囲の検討に活用しやすい情報提供を目指しています。
■ 定修工程の最適化への貢献
短時間で点検データを取得することで、定期修繕におけるクリティカルパスへの影響を抑え、補修判断の迅速化、ダウンタイム短縮、計画外停止リスクの低減に貢献します。
■ 製紙工場全体への横展開可能性
製紙工場には、ボイラー、煙道、煙突、配管、発電・動力設備など、点検に安全上・施工上の制約が伴う設備が多く存在します。 今回の取り組みは、個別工場における点検にとどまらず、製紙業全体の設備保全における安全性向上、省人化、定期修繕期間の最適化、設備長寿命化に寄与する技術活用モデルとして展開が期待されます。

製紙業における設備保全DXへの展開
製紙工場では、紙の生産に必要な蒸気・電力を安定的に供給するため、ボイラーや煙道、煙突、ダクトなどの設備を適切に維持管理することが重要です。一方で、これらの設備は高所・狭隘・暗所・粉じん・熱影響など、点検作業に制約が伴う箇所も多く、点検の安全性と効率性の両立が課題となります。
今回の取り組みは、単なるドローン撮影ではなく、製紙工場のボイラー設備保全における「点検困難部位のデジタル化」です。

煙道・煙突内部の状態を360°映像として記録することで、現場確認に依存していた情報を、保全部門、施工会社、設備管理者が共有・再確認できるデータへと変換します。これにより、設備状態の記録、比較、修繕判断、次回定修へのフィードバックが可能となり、予防保全の高度化に寄与します。
アイ・ロボティクスは、360°カメラ搭載マイクロドローンによる点検を、単なる撮影サービスではなく、設備保全の判断に資するデータ取得・分析・報告のプロセスとして提供しています。今後は、煙道・煙突に加え、ボイラー周辺設備、排ガスダクト、配管、タンク、天井裏、地下・閉鎖空間など、製紙工場をはじめとする各種産業施設への展開を進めてまいります。

すべての画像
