人口減少による教育資源不足に新たな一手。小規模高校のリソースシェアリング最前線フォーラムを11月23日開催
小規模校の現場でいま何が起こっているのか。調査結果&事例共有・ディスカッションをメタバース会場で
国内約6割の市町村で「地域にある高校が1校以下」。全国総小規模校化する未来
少子化や教員不足が進むなか、オンラインを利用し、多様な教育環境をつくる取り組みが全国各地で模索されています。
日本の公立高校数は10年前と比べ、3,780校から3,537 校へと243校減少。(*1) 2021年5月時点、まちに高校がない・または1校のみとなる市町村は63%(*2)と過半数に達しました。さらに全国の公立高校のおよそ20%が、1学年80名以下の小規模校と推計されています。(*3)
今後も人口減少により小規模化や統廃合が進行することが予測され、子ども達が家庭から通学できる範囲に学校がない等の理由により、地域の過疎化にも拍車がかかることが危惧されています。
小規模校は生徒一人ひとりに目が行き届くというメリットがありますが、集団の中で多様な考え方にふれる機会が少ないため、人間関係や考え方が固定化しやすく、学び合いが起こりづらいという課題があります。
一方で、1校あたりの教員数が少なくなることで、教員一人に対する負担が重くなることもあります。
学校での”個別最適な学び”の大切さが問われているなか、”学校における働き方改革”を両輪で実現していくことの難しさに、より一層直面していくことが予想されます。
これからの小規模高校の学びの在り方を考える、教育関係者向けイベントをメタバース上で開催
こうした小規模高校が抱える課題の打開策として、オンラインを利用した学校間連携による教員のリソースシェアリングや、複数校の生徒・教員との関わりによる学び合いの創出など、多様な教育環境をつくる取り組みに今注目が集まっています。
カタリバでは、2020年度から全国の複数の小規模高校の探究学習をオンラインでつなぎ、生徒の興味・関心に寄り添ったサポートを実現する「学校横断型探究プロジェクト」に取り組んでいます。
今回は、文部科学省「COREハイスクール・ネットワーク事業」に取り組む高知県教育委員会の遠隔連携事例をキーノートとしたトークセッションや、本事業の参加校から、複数校で探究の授業を横断連携する取り組みを含め、各校の探究学習を推進する取り組みの事例共有分科会などを展開。
今まさに小規模校において生徒と日々向き合っている教員の方々、学校適正配置に取り組んでいる教育委員会の方々にとって、参考・ヒントを得られるようなプログラムを想定しています。
さらに本イベントは「メタバース」上での開催を予定しています。参加者は、ご自身のアバターを動かしながらゲームのような世界でトークセッションや分科会を楽しむことができます。
本イベント及び本事業は2023年度 経済産業省「未来の教室」実証事業に採択され、ともに小規模高校のオンライン連携を推進しています。教員のリソースシェアリングや学校間オンライン連携の最前線事例から学びを得られるイベントです。
※登録不要で利用可能な、簡易的なメタバース環境です。当日はテクニカルサポートスタッフがいますので、ご不明な点があっても安心してご利用できます。
イベント概要
学校現場・都道府県教育委員会・文部科学省等の多様な立場の有識者に登壇いただき、小規模高校を横断する協働ネットワークについて、皆さんと一緒に考えていくイベントです。
小規模高校横断フォーラム
・日 時:11月23日(木) 13:30-16:45 (※13:15〜開場・途中参加・退室可)
・場 所:オンライン(二次元メタバース Metalife)
・対 象:高校教員・管理職、都道府県教育委員会職員などの教育関係者
・参加費:無料
・申 込:https://collabotanq.studio.site/forum
・申込締切:11月22日(水) 12:00(正午)
・参加方法:お申込みいただいた皆様へ前日までに視聴用URLをお送りいたします。
※視聴用URLにアクセスいただき、登録不要で利用が可能です。
・主 催:認定NPO法人カタリバ 学校横断型探究プロジェクト
プログラム
・13:30 開場・オープニングトーク
「小規模校の現場で何が起こっているのか?~小規模校課題調査~」NPOカタリバ
「学校間の遠隔連携による学びの充実に向けた取り組みおよび深化の方向性」濱田久美子氏
・14:30 事例共有・対話
1)小規模校の探究的活動の推進(カリキュラムマネジメント・教科連携)
2)小規模高校における教員組織の成長
3)地域連携による生徒の主体性を高める工夫
4)高知県モデルから考える学校横断連携
・15:30 パネルディスカッション
「2050年の小規模校のめざす姿とは?」 合田哲雄氏、濱田久美子氏
・16:30 クロージング
※プログラム・演題は予告なく一部変更となる可能性があります。予めご了承ください。
登壇者
●合田哲雄 氏 文化庁次長
1970年生まれ。1992年文部省入省。福岡県教育庁高校教育課長、国立大学法人化(2004年)や2008年学習指導要領改訂の担当、NSF(全米科学財団)フェロー、高等教育局企画官、初等中等教育局教育課程課長、内閣官房内閣参事官(人生100年時代構想推進室)、初中局財務課長、内閣府・審議官等を経て2022年9月から現職。兵庫教育大学客員教授、東北大学非常勤講師。単著に『学習指導要領の読み方・活かし方』(教育開発研究所)、共著に『学校の未来はここから始まる』(教育開発研究所)、『探究モードへの挑戦』(人言洞)。目黒区立の小中学校のPTA会長を6年間経験
●濱田久美子 氏 高知県香美市教育委員会生涯学習振興課推進官、元高知県立山田高等学校長、前高知県教育センター長
高知県香美市教育委員会推進官。1981年高知県高校家庭科教諭に採用。1998年から県教育委員会事務局にて土佐の教育改革、高校再編、教員研修、遠隔教育等を担当。生涯学習課長、高知県教育センター所長、高知県立山田高等学校長、2019年定年退職。再任用高知県教育センター企画監、2023年4月から現職。高知工科大学・高知学園大学非常勤講師。2022年から中央教育審議会臨時委員(高等学校教育の在り方WG)
事例共有校
学校横断型探究プロジェクト参加校より
●岩手県立大槌高等学校
●静岡県立川根高等学校
●山形県立小国高等学校
経済産業省「未来の教室」実証事業とは
経済産業省は、「『未来の教室』ビジョン(2019年6月)」の実現を念頭に、様々な個性の子ども達が、未来を創る当事者(チェンジ・メイカー)になるための学習環境づくりを目指し、1.学びの探究化・STEAM化、2.学びの自律化・個別最適化、3.新しい学習基盤づくりを柱に、2018年度より実証事業に取り組んでいます。
https://www.learning-innovation.go.jp/about/
学校横断型探究プロジェクトとは
学校横断型探究プロジェクトは、複数の小規模校の探究学習をオンラインでつなぎ、生徒の興味・関心に寄り添ったサポートを実現する取り組みです。2020年は3校が繋がった取り組みは、2023年度18校へと広がり、現在2024年度に向けて新たに10校の参加校を募集しています。
・公式サイト:https://collabotanq.studio.site/
・来年度募集説明会:https://www.katariba.or.jp/event/42239/
認定特定非営利活動法人カタリバとは
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地 : 東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 : 高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市)/家庭の事情で居場所を求めている子どもに対する支援(東京都足立区)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp/
問い合わせ
取材に関するお問い合わせは下記フォームにご入力ください。
・https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ広報 阿部)
学校横断型探究プロジェクトに関するお問い合わせは下記までご連絡ください。
・https://forms.gle/MtdD1sVghwBqEvjh7
*1 令和3年3月 文部科学省 初等中等教育局 参事官(高等学校担当)付 『高等学校教育の現状について』https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/20210315-mxt_kouhou02-1.pdf
*2 令和3年 文部科学省 『学校基本調査』https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00005.htm
*3 令和3年 文部科学省『学校基本調査』初等中等教育機関・専修学校・各種学校《報告書掲載集計》 学校調査・学校通信教育調査(高等学校) 高等学校(通信教育を含む) 全日制・定時制)https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm
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