“爆買い”のその後――進化する中国人訪日客の消費行動とは

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コロナ禍を経て再び回復傾向にあるインバウンド市場の中でも、中国人訪日客の消費動向は大きな注目を集めている。かつて「爆買い」と呼ばれた大量購入スタイルは落ち着きを見せる一方で、2024年のデータを見ると、いまだに"買い物"が一人当たり支出の中で最も大きな割合を占めている。しかしその中身は確実に変化しており、訪日旅行者のニーズの移り変わりが浮き彫りとなっている。中華圏に特化したデジタルマーケティング事業を展開する株式会社unbotは、激動する訪日インバウンド市場の最新動向を関連業界の皆様に継続してお届けしてまいります。


▼目次

01.消費総額と費目の変化(2019年→2024年)

02.買い物内容の変化:化粧品から菓子類へ

03.買い物場所の変化:ドラッグストアからコンビニへ

04.体験型消費の兆し:本当に“モノからコト”なのか?

05.まとめ

01.消費総額と費目の変化(2019年→2024年)

▲訪日中国人旅行者の1人当たり旅行支出(2019年vs2024年):観光庁公表の「費目別にみる一般客1人当たり旅行支出(国籍・地域別)」(2019年・2024年)よりunbotにて作成

2019年と2024年を比較すると、中国人訪日客の一人当たり消費総額は約30%増加しており、212,810円から276,604円へと大きく伸びている。

買い物が依然として最大の支出であることに変わりはないが、宿泊や飲食、娯楽といった体験型支出も確実に増えており、旅行全体の過ごし方にも変化が表れている。

02.買い物内容の変化:化粧品から菓子類へ

▲訪日中国人旅行者の購入した費目(複数回答):観光庁公表の「中国ー買い物ランキング」(2019年・2024年)よりunbotにて作成

2019年には「化粧品・香水」(購入率81.9%)が最も多く購入された品目だったが、2024年には「菓子類」(75.3%)がトップに浮上し、化粧品の購入率は54.0%にまで減少した。

この背景には、化粧品や医薬品が中国国内や越境ECを通じて容易に手に入るようになったことに加え、中国ローカル企業の台頭やEC、C店(Taobao店舗)など日系商品の販売チャネルの増加も影響していると考えられる。

 

また、中国人訪日客の買い物傾向で近年強まっているのが、“その場でしか買えない”限定商品の価値

SNS(小紅書)の影響で、「日本限定」「地域限定」「季節限定」といったキーワードに敏感な中国人消費者が増加している。

▲SNS(小紅書)より「日本限定商品オススメ」投稿が45万件以上、「日本限定商品オススメマストバイ」投稿が76万件以上
▲SNS(小紅書)より「日本限定商品オススメ」投稿を検索した結果。季節限定のお菓子や、限定のキャラクター商品が人気

03.買い物場所の変化:ドラッグストアからコンビニへ

▲訪日中国人旅行者の買い物場所(複数回答):観光庁公表の「中国ー買い物ランキング」(2019年・2024年)よりunbotにて作成

2019年は「ドラッグストア」(88.7%)が圧倒的に多く利用されていたが、2024年には「コンビニ」が85.7%と最も高くなり、ドラッグストアは74.7%まで減少した。

コンビニは限定の菓子類や飲料、手軽なお土産品を入手しやすい場所として再評価されているといえるだろう。

また、滞在中のちょっとした買い物やお土産調達には、利便性の高いコンビニが好まれているとみられる。

 

04.体験型消費の兆し:本当に“モノからコト”なのか?

近年よく言われる「モノからコトへ」のシフトだが、今回のデータを見る限り、それを単純に鵜呑みにはできない。

前述の「訪日中国人旅行者の1人当たり旅行支出(2019年vs2024年)」の表に示されているように、宿泊費は61.8%も上昇しているが、インバウンド需要の回復によるホテル価格の上昇という外的要因も影響していると考えられる。

一方で注目すべきは、飲食費(+35.7%)と娯楽サービス費(+79.0%)の伸びである。これらは旅行者自身の選択による"体験"に直結する支出であり、「食事を楽しみたい」「アクティビティを体験したい」というニーズの高まりを示している

05.まとめ

コロナ前と比較して、訪日中国人の一人当たり消費額は約30%増加し、依然として「買い物」が最大の支出項目となっていることに変わりはありません。しかしその中身は大きく変化しており、化粧品・医薬品といった従来の人気カテゴリは減少し、代わって菓子類や地域限定商品など“日本でしか買えないもの”に価値を見出す消費スタイルへと変化しています。

また、宿泊・飲食・娯楽といった“体験型消費”も着実に増加しており、「その場で楽しみたい」「想い出を持ち帰りたい」という意識の表れとも受け取れます。

つまり、単純に「モノからコトへ」と断言するのではなく、“選び抜いたモノ”と“自ら体験するコト”の両立が、今の中国人訪日客の消費スタイルであるといえるでしょう。

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    株式会社unbot     Inbound Business Unit

  梅里 umezato@unbot.co.jp
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 ●株式会社unbotについて

株式会社unbotは、中国現地(上海/北京)に運営拠点を持ち、中国市場向けのEC店舗運営支援や各種プロモーション企画・実行を中心に、中国圏に特化したデジタルマーケティング事業を展開しています。そのほか、日本の漫画やアニメ、アイドルなどのエンターテインメントの魅力を海外市場に発信するIPエンターテインメントコンテンツ事業などを手掛けています。2011年の創業以降、「世界で一番多くの想い出を創造する会社」をミッションに掲げ、「想い出の創造が、人々や世界各国の距離感を近づけることができる」という信念のもと、ITの力を活用して「想い出」を創造し、企業価値の拡大と、さらなる発展を目指します。

 

社名: 株式会社unbot(アンボット)

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代表者: 代表取締役社長 中町 秀慶

所在地: 東京都品川区西五反田8-8-15 カーニープレイス五反田 5階

 

事業内容:

◇訪日インバウンド事業

・SNS/インフルエンサー情報発信

・中国メディア施策(大衆点評・Alipay等)

・ジオマーケティング

・店頭販売施策

 

◇EC関連デジタルマーケティング事業

・中国国内 & 越境EC運用

・EC店舗コンサルティング

・中国市場代理販売(B2B・B2C)

・SNS運用

・中国ECサイト・メディア広告運用

・KOL/KOCプロモーション

・ライブコマース企画・運営

 

◇IPエンターテインメントコンテンツ事業

・漫画・アニメ版権の中国市場拡大支援

・IPエンタメ関連日中共同事業構築

・IPコラボ企画・販売

・自社IP・協同IP創出

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03-6421-7802
代表者名
中町秀慶
上場
未上場
資本金
4億1759万円
設立
2014年11月