JR東日本社員の睡眠改善を実証 交替制勤務者にカウンセリングで効果を確認
パラマウントベッド株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 社長執行役員:木村友彦、以下「当社」)は、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」)、株式会社ジェイアール東日本企画(以下 「jeki」)と3社共同で、JR東日本が主催する「WaaS 共創コンソーシアム※」の取り組みの一環として、JR東日本の社員40名を対象に、不規則な交代勤務における睡眠課題の改善に向けた実証実験を行いました。
本実証実験では、当社は睡眠の可視化とカウンセリングによる行動改善を組み合わせた「睡眠改善プログラム」を実施し、jekiは株式会社オレンジページの協力を得て生活習慣の改善を通じて自律神経を整える「自律神経調整プログラム」を実施しました。
実施結果として、特に睡眠カウンセリングを早期に実施した場合には、睡眠効率などの客観指標においても有意な改善が確認され、睡眠カウンセリングの有用性が示唆されました。また、交替制勤務者においても簡便に導入・継続可能な睡眠改善手法の有効性を示す結果となりました。

※WaaS共創コンソーシアム(WCC):JR東日本が2023年4月に設立し、「Well-beingな社会」の実現を目指すオープンイノベーションの枠組み。現在、企業・大学・自治体・研究機関など100以上の団体が参画しています。
WaaS共創コンソーシアム:JR東日本
背景
日本の労働者の約2~3割を占めるとされる交替制勤務者における健康課題は、個人の問題にとどまらず、社会インフラの持続可能性にも直結する社会的課題です。不規則な勤務形態は体内リズムを乱し、睡眠障害、自律神経の不調、メンタルヘルスリスクの増大を引き起こす可能性があることが知られています。
また、交替制勤務者は、不眠、過度の眠気、睡眠による休養感の低下といった問題を抱えやすく、特に運輸業では、安全確保の観点から睡眠の質が極めて重要である一方で、24時間社会を支えるために不規則な勤務が避けられず、十分な睡眠を確保しにくい実情があります。
こうした背景を踏まえ、当社とJR東日本、jekiの3社は、交替制勤務者でも実践可能な健康改善プログラムのあり方を検証するため、本実証実験を共同で実施しました。
なお、本実証実験は「WaaS共創コンソーシアム(WCC)」の一環として実施されたものであり、2024年度は、当社をはじめとする複数の参画企業が、JR東日本の女性社員10名が抱える「睡眠」と「運動・体調」に関する課題に着目し、働く女性の健康をテクノロジーで支える「フェムテック」の実証実験を行いました。2025年度(本実証実験)は「睡眠」と「食事」をテーマをに、対象を男女問わず拡大しています。
実証実験の概要
実施期間:2025年11月〜2026年2月
対象者:JR東日本の不規則な交代制勤務に従事する運輸関連社員を中心に男女計40名
実施内容:睡眠改善プログラム、自律神経調整プログラム
各社の役割:

プログラムの実施内容と結果
全対象者に対し、事前に睡眠状況を把握するため、睡眠に関する主観調査(アテネ不眠尺度、抑うつ尺度SRQ-Dのアンケート)および自律神経に関する検査(気分プロフィール検査POMS2、末梢血流循環分析器を用いた自律神経チェック、採尿によるインドール検査)を実施しました。その上で、対象者を2グループに分け、比較検証を行いました。
・Aグループ(早期介入群)
睡眠の主観調査および自律神経検査の4週間後に、睡眠カウンセリングおよび生活習慣アドバイス(食事改善、呼吸法・入浴習慣の改善、ストレス対処など)を実施。
・Bグループ(遅延介入群)
睡眠の主観調査および自律神経検査の4週間後に生活習慣アドバイスを実施し、さらに4週間後に睡眠カウンセリングを実施。
両グループともに、主観調査から8週間にわたり睡眠計測デバイスを装着し、睡眠状態を記録しました。8週間後、再度主観調査を実施し、介入前後の変化を比較・分析しました。
分析の結果、両グループともに主観調査において睡眠の改善が認められました。このことから、食事改善や入浴習慣の改善といった生活習慣の見直しによる自律神経調整プログラム単独でも一定の睡眠改善効果があると考えられます。一方、カウンセリングの介入タイミングに関しては、Aグループではより早期に介入が行われたため、客観データにおいても中途覚醒時間の減少および睡眠効率の有意な改善が確認されました。これにより、睡眠カウンセリングを組み合わせた睡眠改善プログラムの有用性が示唆されました。また、全対象者における睡眠カウンセリングに対する満足度は98%と高く、90%が「また受けたい」と回答しました。
さらに、両グループの全対象者において、業務の繫忙期に睡眠時間および就床時間が有意に短縮する傾向が認められました。その背景として、繁忙などの就業状況が睡眠に密接に関連している可能性が示されました。
睡眠時間の減少は日中の眠気リスクの増加につながることから、マネジメントの観点においても対策が求められます。本プログラムでは、睡眠状態の可視化により参加者が自身の睡眠状況を客観的に把握できるようになり、睡眠改善に対する意識向上および行動変容につながる効果が確認されました。
本実証実験は、不規則な勤務環境においても、睡眠カウンセリングや食事改善といった無理なく実践可能な生活習慣の改善手法の有効性を示す結果となりました。
今後の展望
今後、交替制勤務者が継続しやすい実践的なプログラムの開発・提供を通じて睡眠課題の解決に貢献していきたいと考えております。また、本実証実験で得られた知見をもとに、対象者の拡大、長期的な効果検証、運用体制の確立を進めるとともに、鉄道会社にとどまらず運輸業界全体への展開を目指します。さらに将来的には、不規則な勤務という共通課題を抱える他業界にも展開し、健康経営とウェルビーイング向上に貢献していきます。
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