「物価高の影響感じる」9割、もらうと嬉しいのは「米」が8割。 第9回「こども食堂の現状&困りごとアンケート2024」調査結果発表
物価高や米不足、運営資金の不足、運営スタッフ不足…
こども食堂の支援を通じて、誰もとりこぼさない社会の実現を目指して活動する「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)」(東京都渋谷区、理事長:湯浅誠)では、新型コロナが国内で確認された2020年から、こども食堂の皆さんにそのときどきの状況や困りごとについて聞くアンケート調査を実施し、コロナ禍でのこども食堂の開催状況の推移や物価上昇の影響などを明らかにした結果を公表してきました。
このたび、第9回「こども食堂の現状&困りごとアンケート2024」(回答期間:2024年7月~8月)を実施し、こども食堂の皆さんに、困りごとにはどんなことがあるか、また物価上昇の影響を伺いました。
その結果、「みんなで会場に集まって食べる」という会食形式のこども食堂が83.5%まで増えていた一方で、「物価上昇による影響を感じている」という回答が88.5%と9割近くを占めていることが分かりました。また、困りごととして「運営資金の不足」や「食材の不足」が上位にあがり、食材・物品の寄付として「もらうとうれしいもの」では「米」が80.1%で最も多い、との回答を得ました。
むすびえは、これらの困りごとを受け、米の調達や助成金による資金調達などの対応をとり、こども食堂の皆さんの活動を応援していきます。
▼第9回「こども食堂の現状&困りごとアンケート」調査結果(PDFリンク)
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2024/09/musubie_Qvo9B9.20b_Final_Ver..pdf
■第9回アンケート結果サマリー
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活動形態については「会食(参加者が会場に集まって食事をする)」が83.5%を占める。なお、第8回こども食堂の現状&困りごと調査(2023年6月実施)の結果(70.6%)からは12.9pt増加し、第2回こども食堂実態調査(2023年9~11月実施)の結果(81.3%)からは変化なし。
今後の活動意向では、「現状の規模・頻度を変えずに継続したい」が60.8%で最も多く、「規模・頻度を拡大したい」(30.9%)、「活動形態の種類を増やしたい」(24.9%)といった活動を拡大したいという意向がつづく。
「物価上昇による影響を感じている」が88.5%と前回同様に9割近くを占める。
物価上昇に対して、こども食堂を開催するにあたり、「開催頻度や料金、食事の内容など変更をしていない・変更する予定はない」は66.8%で前回調査と変化はない。一方で、「開催頻度や食事の内容などを既に変更している」は12.7%で、物価上昇により何らかの変更に踏み切ったこども食堂は前回(9.4%)から増加。
「運営資金の不足」を困りごととしてあげるこども食堂は54.1%で最も多く、前回(49.6%)から増加。さらに「運営スタッフの不足・後継者不足」(52.5%)、「必要な人に支援を届けるための周知・広報」(45.9%)、「食材の不足」(31.4%)などがつづき、上位項目は前回同様。
困りごととして「食材の不足」は上位にあがっており、食材・物品の寄付として「もらうとうれしいもの」では「米」が80.1%で最も多く、他の食材・物資を大きく上回っていることから、最近の米不足の影響がうかがえる。
ITツールの活用について、「LINEグループ」「公式Instagram」「ホームページ」の利用率は4割前後。また、各ITツールの活用ニーズは比較的高い。さらに、「地元農家やフードバンク等との食材マッチングシステム」「物品寄付集めのためのこども食堂用Amazonほしいものリスト」への利用ニーズは他のツールより高く、食材・物品支援へのニーズがうかがえる。
■第9回こども食堂の現状&困りごとアンケート結果(一部抜粋)
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活動実施状況については、「会食(参加者が会場に集まって食事をする)」と回答したこども食堂が83.5%を占めて最も多い。
会食形式の活動を実施するこども食堂の割合の推移をみると、昨年6月に実施した第8回こども食堂の現状&困りごと調査では70.6%となっており、昨年9~11月に実施した第2回こども食堂実態調査では81.3%まで増加。今年7~8月に実施した第9回調査では83.5%となっている。
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「物価上昇による影響を感じている」というこども食堂は88.5%となっており、依然として9割程度を占める。
「物価上昇による影響を感じており、物価上昇前に比べて開催頻度や料金、食事の内容などを変更する予定」というこども食堂は9.0%で、前回調査(15.6%)から減少。一方で、「物価上昇による影響を感じており、物価上昇前に比べて開催頻度や料金、食事の内容などを既に変更している」というこども食堂は12.7%で、前回調査(9.4%)、前々回調査(6.9%)から増加。物価上昇により、何らかの変更に踏み切ったこども食堂が増えている。
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困りごととしては、「運営資金の不足」が54.1%で最も多く、「運営スタッフの不足・後継者不足」(52.5%)、「必要な人に支援を届けるための周知・広報」(45.9%)、「食材の不足」(31.4%)などがつづき、上位項目は前回調査(第8回こども食堂の現状&困りごと調査)とほぼ同様。
困りごととして最も多い「運営資金の不足」(54.1%)については、前回調査(49.6%)から増加。また、予算規模が大きくなるほど、また今後の活動について拡大志向がある場合ほど、「運営資金の不足」を回答する傾向が高い。
2番目に多い「運営スタッフの不足・後継者不足」(52.5%)については、今後の活動意向にかかわらず困っているこども食堂は多い。また、2019年以前に活動を開始したこども食堂でその傾向が高い。
3番目に多い「必要な人(貧困家庭など)に周知・広報し支援を届けること」(45.9%)については、2023年以降に活動を開始した場合、予算規模が小さい場合、今後の活動の拡大志向がある場合ほど、割合が高い結果となった。
4番目に多い「食材の不足」(31.4%)については、活動開始年度や予算規模にかかわらずに困っているこども食堂は多い。また、「食材の不足」をあげたこども食堂について、以前(2022年ごろ)と比較して物資・食材の寄付状況を聞くと、「減っている」が56.5%を占めている。
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寄付としてもらうと嬉しい食材・物品としては、「米」が80.1 %で最も多く、「お菓子」(64.6%)、「おかず類(冷凍の肉/魚/加工品)」(64.5%)などがつづく。
困りごととして「食材の不足」が4番目にあがっており、上記のように寄付としてもらうと嬉しい食材・物品としては、「米」が最も多く、他の食材・物資を大きく上回っていることから、最近の米不足のこども食堂への影響がうかがえる。
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ITツールの活用について、「LINEグループ」「公式Instagram」「ホームページ」の利用率は4割前後を占めて高い。
「地元農家やフードバンク等との食材マッチングシステム」や「物品寄付集めのためのこども食堂用Amazonほしいものリスト」については、「ぜひ利用したい」が他のツールより多くなっており、食材・物品支援へのニーズがうかがえる。
■本アンケート結果を受けての今後の活動
今回のアンケート結果は、上記の通り、「みんなで食べる」という会食形式のこども食堂が83.5%まで増える一方、物価高や米不足、運営資金の不足や運営スタッフ不足などで悩まれている方が多いことが明らかになりました。今後活動を拡大・継続していきたいというこども食堂の皆さんの思いが実現され、つながりのある地域社会をつくるために資金や人材の不足を何とかしていきたいという思いで、むすびえとしてできることを考えました。
今回は調査結果を受けた第一弾の取り組みで、12月に第二弾の取り組みの発表を予定しております。
■【資金・物資の調達を応援!!】
①米の調達の支援
(1)政府備蓄米通年受付開始。申請手続きオンライン説明会を実施
政府備蓄米の無償交付が通年受付になったことを受け、農林水産省農産局穀物課のご担当者をお招きし、申請手続きに関するオンライン説明会を開催いたしました(9/2)。
全国から400名近くのお申し込みをいただき、当日も多くのご質問をいただきました。
https://musubie.org/news/10094/
(2)米の緊急支援を実施
9月に開催する全国のこども食堂を対象に、緊急支援として精米30kg 50袋(合計1350kg)、玄米30kg 117袋(合計3510kg)を全国167ヶ所のこども食堂に1ヶ所あたり1袋ずつ提供する支援募集を行いました。その後、木徳神糧株式会社から、新たに10トンの寄付をいただけることが決定いたしました。追加の米の寄付を活用し、初回の緊急支援募集に対してご提供ができなかったこども食堂に向けに、1ヶ所あたり25kgの精米を全国400ヶ所にご提供する2次募集を9/15より開始しました。
https://musubie.org/news/10152/
https://musubie.org/news/10247/
(3)ファミリーマート むすぶ、つながる、こども食堂応援プロジェクト2024年度冬募集(10/4〆切り)
昨今の物価高騰等による食材の仕入れ等に関するお困りごとへの一助になればと、例年より増額してギフトカードをご用意いたしました!10,000円分の「お米券、こども商品券、QUOカード」のいずれか、ご希望のものを1,000団体にお届けします。
https://musubie.org/news/10169/
②食材を保存する冷蔵庫(400台)の提供
調理準備中の食材を「安全に保管したい」という「食中毒対策」はもちろん、物資寄付を受ける上での課題として「冷蔵・冷凍設備がない(容量不足)」、「保管スペースがない(足りない)」という「食品を安心・安全に保管したい」という声がたくさんあります。今回、安心・安全プラットフォーム設備支援として冷蔵庫寄贈を開始します。ハイセンスジャパン株式会社とSBS東芝ロジスティクス株式会社のご協力を得て、第1弾400台の提供をします。9/24に応募開始し、9/30に質疑応答をお受けする説明会を実施いたします。
③助成金で活動資金の支援
むすびえでは、定期的に助成金募集を行っておりますので、助成金の新着情報(https://musubie.org/news_cat/subsidy)をご確認下さい。
現在募集中の助成金プログラムは以下のとおりです。
(1)「むすびえ・こども食堂基金」2024年度 秋募集(10/11〆切り)
子どもをはじめとした参加者や地域の皆さんとつながり続けている「こども食堂」を応援することを目的に、助成を行うための募集を行っています。
https://musubie.org/news/10047/
(2)ファミリーマート&むすびえ 2024年度こども食堂スタート応援助成プログラム(11/15〆切り)
「ファミリーマート夢の掛け橋募金」(店頭募金)をもとに、こども食堂を新たに立ち上げる際に必要な費用を助成するプログラムです。
https://musubie.org/news/9506/
(3)【再掲】ファミリーマート むすぶ、つながる、こども食堂応援プロジェクト2024年度冬募集(10/4〆切り)
昨今の物価高騰等による食材の仕入れ等に関するお困りごとへの一助になればと、例年より増額してギフトカードをご用意いたしました!10,000円分の「お米券、こども商品券、QUOカード」のいずれか、ご希望のものを1,000団体にお届けします。
https://musubie.org/news/10169/
④ファンドレイジング(資金調達)の実践支援
ファンドレイジングの理論を学びながら、自団体のアクションプランを作成し、実際に寄付、会費、助成金等の資金集めや仲間集めを専門家が伴走しながら実行する、ファンドレイジングの実践力を身につけるためのプログラムを実施します。
(全7回+希望団体には最長6ヵ月間の伴走支援、9/30〆切り)
https://musubie.org/news/10044/
■ 【IT活用を応援!!】
①ITツールの活用サポート講座の開催
月に一度、オンライン形式でAmazonほしい物リスト登録方法、Googleカレンダーの使用方法、SNSの使い方など、IT活用をテーマにセミナーを開催しています。
<2024年度内の予定>
*10月以降の予定・テーマは変更になる可能性があります
09/25 19:00-20:30 無料のチラシ作成ツールCanvaの使い方の実践ゼミ(満員御礼のため締切り)
10/24 19:00-20:30 Amazonほしい物登録活用方法の実践ゼミ(募集前)
11/28 19:00-20:30 Amazonほしい物成果報告会(募集前)
12/17 19:00-20:30 AI活用講座(ChatGPTを使ってみよう!)(募集前)
01/22 19:00-20:30 Google Form使い方の実践ゼミ(募集前)
02/27 19:00-20:30 Amazonほしい物登録活用方法の実践ゼミ(募集前)
03/26 19:00-20:30 SNS活用方法の実践ゼミ(募集前)
サポート講座はYouTubeで配信しています。
https://musubie.org/pickupproject/itsupport/
②ツール提供
IT活用についての質問や相談、成功事例の紹介のためにLINEオープンチャットを立ち上げました。
こども食堂の運営に携わっている方であればどなたでもご参加可能なので、以下リンクからご参加ください(参加にあたっては、必ずこども食堂名でのご参加をお願いします)
https://line.me/ti/g2/3l5QH981YqfsCBtuAofpUI9v1C9xzPrv5uHH_A?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default
■むすびえ理事長 湯浅誠よりメッセージ
9回目の「こども食堂の現状&困りごとアンケート」結果をお知らせします。
今回も、大変多くのこども食堂さんからご回答いただきました。ありがとうございました。ボランティアで日々の活動を行いながら、お忙しい中、時間を捻出して、ご回答いただいたこども食堂のみなさんに深く感謝します。
コロナはいちおう明けたけど、物価上昇が持続的に続いています。こどもや地域のみなさんの笑顔に触れることでやりがいを感じながらも、他方では課題もあり、しんどい思いをすることもあるというのが、少なからぬこども食堂さんの実感ではないかと推測します。
むすびえは活動団体であり、調査は、活動のためのヒントとご示唆をいただく機会と認識しています。みなさんがお忙しい中で回答してくれた結果や自由記述の言葉を真摯に受け止めて、むすびえとしての事業に結びつけていきますので、引き続き、むすびえの活動内容を厳しく見つめていただければ幸いです。
理事長・湯浅誠
■調査概要
回答期間:2024年7月27日(土)~2024年8月19日(月)
回答対象:各地の「こども食堂の地域ネットワーク」および「こども食堂ネットワーク」とつながるこども食堂
回答方法:WEBの回答フォーム
回答件数:47都道府県 1,307件(重複回答を除く)
実施:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
■調査内容
第1部:こども食堂の現状
・こども食堂開始年
・こども食堂の運営母体
・活動の規模・頻度
・活動形態
・寄付・物資の提供者数
・保険加入状況
・活動の主な目的
・参加条件
・今後の活動意向
第2部:こども食堂の困りごと
・活動に関する困りごと
・困りごとに対する対応策
第3部:物価上昇によるこども食堂への影響
・物価上昇による変化
・支援の状況
第4部:活動に関する困りごと(自由記述)
第5部:むすびえプロジェクトの活用状況
・助成金
・ファンドレイジングセミナー
・食品衛生管理向上プロジェクト
・ボランティア・後継者の不足に対する支援
・IT活用支援
■過去の調査結果【こども食堂の現状&困りごとアンケート】
第1回 2020年4月13日~4月17日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/04/musubie_Q_sheet_0423.pdf
第2回 2020年6月19日~6月25日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/07/musubie_Q2_sheet_0713.pdf
第3回 2020年9月20日~9月28日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/10/musubie_Q3_sheet_1020_02.pdf
第4回 2021年2月1日~2月10日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/03/musubie_Q4_sheet_fix0312.pdf
第5回 2021年6月23日~7月4日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/07/musubie_Q5_sheet_0716.pdf
第6回 2022年6月2日~6月16日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2022/07/musubie_Q6_sheet_0701.pdf
第7回 2022年10月26日~11月9日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2022/12/musubie_Qvo7F_14.pdf
第8回 2023年6月7日~6月21日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2023/07/musubie_Q8_sheet_0718.pdf
【全国こども食堂実態調査】
第1回全国こども食堂実態調査 2021年10月15日から12月15日
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2022/03/a7043c68eccf433117d7c6238c32ac0e.pdf
第2回全国こども食堂実態調査 2023年9月19日から11月8日
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2024/06/Report_Jittai_Chousa.pdf
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