『M＆A関連採用マーケット最新動向』～M＆Aに関する採用マーケットは近年急速に拡大、事業承継問題などを背景に未経験者採用も増加傾向～

株式会社コトラ

2024年9月30日 14時10分

プロフェッショナル人材の採用・活躍を支援する株式会社コトラ（本社東京都港区、代表取締役大西利佳子）は、M＆Aに関する人材について、2023年までの求人数の調査をもとに、2024年以降の求人情報・動向について分析しました。

■M＆A関連人材の全体動向

●M＆Aに関する採用マーケットは近年急速に拡大

2023年に日本企業が関わったM&A（合併・買収）の金額は約17兆9000億円と2022年から5割増加しました。

株式会社コトラにおけるM＆A関連の新規受注求人も、近年急速に増加しています。

一方、ドイツやアメリカなど他の先進国と比較した場合、まだまだ日本のM＆A関連市場は、案件自体が少なく、小規模にとどまっています。
今後も、日本のM＆A関連市場は発展していくことが予想され、それに伴いM＆Aに関する採用マーケットも拡大することが見込まれます。

以下では、日本のM＆A市場の拡大が見込まれる３つの背景について、説明します。

■M＆A市場拡大の３つの背景

●コーポレートカーブアウト（大企業による事業売却）の増加

1つ目は、日本政府の推進するコーポレート・カーブアウト（大企業による事業売却）や、ROE（自己資本利益率）による、大企業の積極的な事業売却傾向です。

今後は、事業売却におけるガバナンスや透明性の改善が進み、さらに、大規模案件を中心とした事業売却の増加が見込まれます。

●グロース投資の増加

2つ目は、2016年以降著しく増加傾向にあるグロース投資です。
スタートアップ企業はこれまで、バリュエーションが数億ドルに達した時にIPOに踏み切る傾向がありました。
しかし近年では、IPO 時のバリュエーションを向上させ、市場・投資家との四半期毎のコミュニケーションに伴う手間を先送するために、追加の資金調達ラウンドを実施することで、IPOを遅らせるケースが増えてきています。
日本ではスタートアップ市場が2000年代後半から活発化し、大規模なファンドレイズを行うことができる事業規模のスタートアップ企業が増加していることから、今後さらなるPE市場の成長が見込まれます。

●事業承継問題解決のためのPE活用の拡大

3つ目は企業のオーナーや創業者の事業承継問題解決のための、PE活用の拡大です。
PEでは、経営権をプロフェッショナルな経営陣に移行して事業承継を支援するだけでなく、新たな資本を提供してオーナーや創業者の資産を現金化することもできるため、事業承継問題解決において注目を集めています。
日本には一族または創業者が株式の5%以上を有し、かつ社長／CEOが60歳超の企業が300万社を超えています。
また、中小企業庁によると、2025年までに70歳を超える中小の経営トップが245万人となり、うち127万人が後継者未定となっており、今後も事業承継問題解決のためのM＆A活用は拡大することが見込まれます。

※PEとは：PE（プライベートエクイティ）とは、未公開株式（未上場企業の株式）を意味し、未上場企業の株式の取得・引受を行うことを「PE投資」という。