2025年9月1日(月)「クシナダ-Ⅰ」による初画像(ファーストライト)として、高精細モード画像を公開

世界トップレベルの小型SAR[※1]衛星の開発・運用を行う株式会社QPS研究所(福岡市中央区、代表取締役社長CEO:大西俊輔、以下QPS研究所)は、2025年9月1日(月)に小型SAR衛星QPS-SAR12号機「クシナダ-Ⅰ」の初画像(ファーストライト[※2])として取得した試験観測画像を公開いたします。
QPS研究所が北部九州を中心とした全国25社以上のパートナー企業と共に開発・製造した「クシナダ-Ⅰ」は米国ロケット・ラボ社のロケットElectron (ミッションネーム:The Harvest Goddess Thrives “豊穣の女神の繁栄”)によって2025年8月5日(火)13時10分 (日本時間)に打上げられ、約53分後に衛星分離に成功しました。そしてその約30分後には初交信に成功し、同日の夕方に収納型アンテナの展開を実行いたしました。その後、衛星機器の調整を続け、この度、取得した画像を公開する運びとなりました。
QPS-SARは分解能1.8mの通常モード(ストリップマップモード)と分解能46cmの高精細モード(スポットライトモード)の観測が可能です。8月29日(日本時間)から高精細モードで初観測を開始し、本日、12号機のファーストライト画像を発表いたします。
代表取締役社長 CEO 大西 俊輔 コメント
「QPS-SAR 12号機『クシナダ-Ⅰ』はアンテナ展開後、順調に初期調整が行われ、夏休み期間を挟みながらの運用でしたが、本日無事にファーストライト発表の運びとなりました。私たちが目指す衛星コンステレーション[※3]の構築に着実に近づいていることを大変嬉しく思います。何機目になってもファーストライトを見る瞬間はワクワクします。エンジニアチームがミッション遂行に真摯に取り組んだ賜物であり、これまでの運用機数と共に確実に成果を出す信頼性は大変誇らしく、心から感謝しています。さらに衛星機数を増やし、弊社サービスが社会課題の解決の一端を担えるよう邁進してまいります。」

ファーストライト画像詳細

観測日時 |
①2025年8月29日(金) 17:46(現地時間) ②2025年8月29日(金) 16:04(現地時間) ③2025年8月28日(木) 22:32(現地時間) |
観測場所 |
①新潟県 新潟市(観測時の天候:晴れ) ②静岡県 牧之原市(観測時の天候:晴れ) ③米国 ニューヨーク州 ニューヨーク(観測時の天候:晴れ) |
分解能[※4] |
①アジマス[※5]分解能46cm x レンジ[※6]分解能53cm ②アジマス分解能46cm x レンジ分解能52cm ③アジマス分解能46cm x レンジ分解能47cm |
画像処理協力 |
[※1] SAR (合成開口レーダー):電波を使用して地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測することができる点が特長。
[※2] ファーストライト:初画像のことを言います。公開した画像データは衛星の機能を試験・調整している中で初で確認できた試験データになります。
[※3] 複数の人工衛星の協業によって高頻度な地球観測を可能とするシステム。(コンステレーションは「星座」の意。)
[※4] 画像化した際の1ピクセルの大きさを指します。ファーストライトで試験観測した通常モードではアジマス分解能1.8m、スポットライトモードではアジマス分解能46cm相当に画像化しますが、レンジ分解能は観測条件によって可変となります。
[※5] アジマス:衛星の進行方向。
[※6] レンジ:衛星のマイクロ波を照射する方向。衛星の進行と直交する方向で、ここではグランドレンジを指します。
ファーストライトSAR画像
このページ上では広域画像は小さくなっており、圧縮をかけて容量を軽くしているため、弊社ホームページのニュース(https://i-qps.net/news/3128/)にて掲載している画像もご覧いただければ幸いです。
①新潟県 新潟市 越後平野エリア
日本最長の大河・信濃川と、その流れによって育まれた越後平野一帯を観測。川の周囲には、田畑が一面に広がります。古くから稲作を中心とした農業の要として発展してきた越後平野は、日本有数の米どころとして知られていて、自然と人が紡いできた美しい日本の風景です。SAR衛星は昼夜・天候問わず、川や田畑の状況を確認することができ、そのデータは農業の持続的な発展や地域の暮らしを支えるために活用されることが期待されています。

②静岡県 牧之原市エリア
牧之原市は静岡県中部地域の南端に位置し、牧之原台地を中心に茶畑が広がり、日本有数の茶の産地として知られています。画像左側には自動車工場やソーラーパネル、右側にその広大な茶畑を捉えています。山間の中の茶畑やその合間に立つ鉄塔や電線など確認できます。

クローズアップ画像②-1

③米国 ニューヨーク州 ニューヨーク マンハッタンエリア
ニューヨーク・マンハッタンをセントラルパークを中心に捉えたSAR画像です。緑豊かな公園を囲むように立ち並ぶ数多くの高層ビル群や、右側の上部にはハドソン川沿いに位置するクルーズターミナルの様子も確認できます。SAR衛星は夜間や天候に左右されず、都市のランドマークやインフラを鮮明に映し出し、大都市のリアルな状況を観測することができます。

クローズアップ画像③-1

<株式会社QPS研究所について>
QPS研究所は2005年に福岡で創業された宇宙開発企業です。名前のQPSとは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字を取っており、九州宇宙産業の開拓者となること、更には九州の地より日本ならびに世界の宇宙産業の発展に貢献するとの思いが込められています。その名の通り、九州大学での小型人工衛星開発の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリへの取り組みに携わってきたパイオニア的存在である名誉教授陣と若手技術者・実業家が一緒になって、宇宙技術開発を行っています。また、QPS研究所の事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承し育成してきた北部九州を中心とする全国25社以上のパートナー企業に力強く支えられています。
<株式会社QPS研究所>
社名 :株式会社QPS研究所(東証グロース市場 証券コード:5595)
本社住所:福岡市中央区天神1-15-35 レンゴー福岡天神ビル6階
代表者 :代表取締役社長 CEO 大西俊輔
創業 :2005年6月
URL :https://i-qps.net/
事業内容:人工衛星、人工衛星搭載機器、精密機器、電子機器並びにソフトウエアの研究開発、設計、製造、販売
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