将来の年金受給額「非常に不安」56%
[KSI Web調査] 公的年金に関する意識調査
-- 政府試算信用できず30%、在職老齢年金廃止か縮小に反対38%、賛成30% --
新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役社長:別所 直哉)は、月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたWeb調査を全国の18歳以上の男女1,000人に行っています。
■調査の目的
政府は7月、5年ごとに公的年金の財政状況を点検する「財政検証」の結果を公表しました。過去と同様の経済状況が続くと仮定しても、約30年後の年金受給額は法律で定められた50%以上を維持できるとしています。老後の暮らしを支える公的年金をめぐる状況について、全国の18歳以上の男女1000人を対象にオンライン調査を実施しました。調査日は7月30日です。
■調査結果サマリ
公的年金を納める期間に支払っていない人30%、まったく支払っていない人も
公的年金である国民年金や厚生年金の保険料を納めなければならない期間があるのに、支払っていない期間がある人が30.7%おり、まったく支払っていない人も1.5%いた。「支払っていない期間がある」あるいは「まったく支払っていない」と答えた人を職業別に見ると、自営業・専門職(士業等)・自由業が4割台で最も多く、次いで会社役員・団体役員、医療・福祉関係の職員等、契約社員・パート・アルバイト等、学生、年金生活・無職が3割台だった。
「第3号被保険者」の維持は判断分かれる
会社員や公務員に扶養される主婦などが「第3号被保険者」として自分で保険料を納めなくとも基礎年金(国民年金)を受け取れる制度を、現行程度で維持すべきだとした人は35.1%で、廃止あるいは縮小すべきだを選んだ人は各15.0%だった。
短時間労働者の厚生年金加入拡大に賛成46%
パートやアルバイトなどの短時間労働者の厚生年金加入を拡大するために、義務付け対象となる企業の従業員数の要件を撤廃する案に賛成46.6%、反対17.1%となった。
公的年金の財政検証、政府の試算を信用していない30%
政府が7月に公表した公的年金財政の健全性を示す財政検証で、2057年度には現役世代と比べた年金の給付水準が50.4%となり、現行より約2割下がることについてどう思うかを聞いたところ、上位は「政府の試算を信用していない」30.1%、「経済状況が悪化すればもっと下がるので不安だ」29.2%、「現在より約2割下がるので不安だ」16.2%の順だった。
在職老齢年金制度の廃止・縮小案の賛否分かれる
65歳以降に働くと、もらう賃金額に応じて厚生年金の受給額が減る在職老齢年金制度の廃止・縮小案に反対38.2%、賛成30.3%となった。
将来の年金受給額「非常に不安」56%
現在の年金制度に感じる不安を複数回答で聞くと「将来の受給額が少なくなる」66.8%が最多。自身の将来の年金受給額について聞くと、非常に不安があるとした人が56.4%に上った。非常に不安があるとした人を職業別に見ると、医療・福祉関係の職員等、契約社員・パート・アルバイト等が6割台で最多に。
老後の資金準備は預貯金が最多
年金以外で老後資金をどのように準備しているかを聞くと、トップは「預貯金」の65.1%で、以下は「新NISA、株、不動産などへの投資」29.2%、「生活の見直し」24.8%などとなった。
次期首相、自民党支持層では岸田氏がトップ
9月の自民党総裁選で誕生する新総裁が次期首相に就任する見通しであることを踏まえ、次期首相にふさわしいと思う国会議員の上位は石破茂氏12.4%、高市早苗氏7.5%、岸田文雄氏5.6%となった。自民支持層に限った回答を見ると、岸田氏23.7%、高市氏16.4%、石破氏15.3%が二桁に乗った。
■各設問の結果
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日本の公的年金制度は、すべての人が加入する国民年金(基礎年金、第1号被保険者)と、会社員や公務員が加入する厚生年金(基礎年金と報酬比例部分、第2号被保険者) 、第2号被保険者の扶養者(基礎年金、第3号被保険者)という構造になっており、現在の自身の加入者区分を聞くと「第1号被保険者」41.9%、「第2号被保険者」33.4%などとなった。(Q6)
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公的年金である国民年金か厚生年金の保険料を納めているかどうか聞くと、免除申請などを除いて国民年金保険料について「経済的な理由で納めていない」が3.2%おり、「支払いが面倒」で納めていない人が0.5%、「公的年金制度への不信感のため」納めていない人が0.2%いた。(Q7)
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現在、どのような公的年金を受給しているかどうかを聞くと、「受給していない」76.1%が最多で、65歳以上70歳未満から老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を受給している人が9.2%、60歳以上65歳未満から老齢年金を受給している人が6.5%と続いた。(Q8)
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自分が納めている国民年金か厚生年金の月額保険料を「知っている」人が50.3%を占めた。(Q9)
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国民年金か厚生年金の保険料を本来は納めなければならない期間なのに「支払っていない期間がある」人が30.7%おり「まったく支払っていない」も1.5%あった。この2つに回答した人を職業別に見ると、自営業・専門職(士業等)・自由業が4割台で最も多く、次いで会社役員・団体役員、医療・福祉関係の職員等、契約社員・パート・アルバイト等、学生、年金生活・無職が3割台だった。(Q10)
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会社員や公務員に扶養される主婦などは「第3号被保険者」として自分で保険料を納めなくとも基礎年金(国民年金)を受け取れる制度を「現行程度で維持すべきだ」が35.1%で、「廃止すべきだ」は「縮小すべきだ」はそれぞれ15.0%だった。「現行程度で維持すべきだ」とした人を職業別に見ると、教職員が6割台で最多となり、専業主婦・主夫が5割台で続いた。会社役員・団体役員と自営業・専門職(士業等)・自由業が1割台で最も低かった。(Q11)
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パートやアルバイトなどの短時間労働者の厚生年金加入を拡大するために、加入義務付け対象となる企業の従業員数の要件を撤廃する案について「賛成」46.6%、「反対」17.1%となった。賛成を男女別に見ると、男性は5割を超えたのに対し、女性は3割台後半だった。年代別では、全体として年代が上がるにつれ増える傾向があった。地域別では、沖縄が6割台で、関東の5割台が続いた。最低は東北の3割台だった。職業別では、会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正職員、公務員(団体職員や教職員を除く)、医療・福祉関係の職員等、年金生活・無職で5割台となった。年収別では、全般的に年収が上がるほど増える傾向が見て取れた。(Q12)
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公的年金制度について政府がうたう「100年安心」という言葉の意味が、将来の日本の経済状況などに関わらず一定以上の受給水準を必ず保証するものではないということを「知っていた」47.6%、「知らなかった」40.8%だった。(Q13)
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政府が7月に公表した公的年金財政の健全性を示す財政検証で、2057年度には現役世代と比べた年金の給付水準が50.4%となり、現行より約2割下がることについてどう思うかを聞いたところ、上位は「政府の試算を信用していない」30.1%、「経済状況が悪化すればもっと下がるので不安だ」29.2%、「現在より約2割下がるので不安だ」16.2%の順だった。政府の試算を信用していないとした人を年代別に見ると、全体的に年代が上がるほど増える傾向があった。地域別では、沖縄が6割台で最多となり、中国の1割台、中部と関東の2割台が相対的に低かった。職業別では、会社役員・団体役員、会社の正社員・団体の正職員、医療・福祉関係の職員等、自営業・専門職(士業等)・自由業、学生、専業主婦・主夫が3割台で最多層を形成した。(Q14)
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政府による公的年金の財政検証では夫婦モデルの試算を公表しているが、男女別の単身者モデルも「公表すべきだと思う」が50.5%を占めた。(Q15)
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国民年金保険料の納付期間を現行より延長する案について、政府が来年の通常国会に提出を目指す法案には盛り込まないことに関し「保険料負担が増えないので良い決定だ」36.3%、「見送らずに延長すべきだった」24.1%となった。(Q16)
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65歳以降に働くと、もらう賃金額に応じて厚生年金の受給額が減る「在職老齢年金制度」の廃止・縮小案に「反対」38.2%、「賛成」30.3%だった。賛成を男女別に見ると、男性は3割台半ばだったのに対し、女性は2割台前半だった。年代別では、年代が上がるほど増える傾向があった。職業別では、会社役員・団体役員が5割台でトップとなった一方、教職員、専業主婦・主夫が1割台と最低だった。(Q17)
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現在の年金制度に感じる不安を複数回答で聞くと「将来の受給額が少なくなる」66.8%が最多で、「年金制度破たんの懸念」52.7%、「年金を支える世代の人口減少」51.4%と続いた。(Q18)
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自身の将来の年金受給額に「非常に不安がある」が56.4%に上った。非常に不安がある人を職業別に見ると、医療・福祉関係の職員等、契約社員・パート・アルバイト等が6割台で最多だった。(Q19)
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年金以外で老後資金をどのように準備しているかを聞くと、トップは「預貯金」65.1%で、以下は「新NISA、株、不動産などへの投資」29.2%、「生活の見直し」24.8%などとなった。(Q20)
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次期衆院選の小選挙区でどの政党の候補者に投票したいかを聞くと、上位は自民15.4%、維新8.1%、立憲6.4%、れいわ2.9%の順となった。国民は5位となり、れいわと順位が入れ替わった。(Q21)
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次期衆院選の比例代表で投票したい政党を聞くと、上位は自民14.6%、維新8.4%、立憲6.0%、れいわ3.1%となり、国民は5位で、れいわと順位が入れ替わった。(Q22)
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9月の自民党総裁選で誕生する新総裁が次期首相に就任する見通しであることを踏まえ、次期首相にふさわしいと思う国会議員の上位は、石破茂氏12.4%、高市早苗氏7.5%、岸田文雄氏5.6%となった。自民支持層に限った回答を見ると、岸田氏23.7%、高市氏16.4%、石破氏15.3%が二桁に乗った。(Q23)
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岸田内閣を「支持する」13.2%(前回7日7日9.7%)、「支持しない」74.4%(同73.6%)だった。(Q24)
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政党支持率は自民17.7%(前回7月7日17.4%)、立憲4.6%(4.9%)、維新7.9%(8.2%)、公明1.7%(1.6%)、国民2.5%(2.4%)、共産1.7%(1.4%)、れいわ2.7%(2.1%)、社民党0.4%(0.3%)、みんなでつくる党0.2%(0.2%)、参政党0.4%(0.5%)、教育無償化を実現する会0.1%(0.1%)、その他の政党・政治団体0.8%(0.9%)、支持する政党はない55.5%(53.7%)。(Q25)
調査レポート(クロス集計あり)の詳細
https://ksi-corp.jp/topics/survey/2024/web-research-72.html
調査概要
・調査期間: 2024年7月30日
・調査機関(調査主体): 紀尾井町戦略研究所株式会社
・調査対象: 全国の18歳以上の男女
・有効回答数(サンプル数): 1,000人
・調査方法(集計方法、算出方法): インターネット上でのアンケート
※「Yahoo!クラウドソーシング」(https://crowdsourcing.yahoo.co.jp/)を活用
紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI:https://www.ksi-corp.jp/)について
KSIは2017年にZホールディングス株式会社の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業です。代表取締役の別所直哉は、1999年よりヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の法務責任者として、Yahoo! JAPANが新規サービスを立ち上げるにあたり大変重要な役割を担ってきました。その中で培った幅広いネットワークや政策提言活動を通じて得られた知見をもとに、新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティング行っているほか、KSI官公庁オークション、自治体のデジタル化や地域支援のサービスなど、社会に貢献していくという方針を軸に多様なサービスを提供しています。
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