Indeed、日本在住者の海外求人の検索動向を調査 渡航再開や円安進行の影響で日本から北米への仕事検索は急増
オーストラリアへの「ワーキングホリデー」検索はコロナ前より増加
日本在住者の海外での就労に関しては、コロナ禍における渡航制限や各国の感染対策に向けた日常生活の規制、また経済状況の変化などにより、過去3年間で実態が大きく変化していると考えられます。さらに直近では、各国の入国制限が緩和され「Withコロナ」に移行していることに加え、日本ではインフレーションの加速による実質賃金の低下や急激な円安の進行により、国内よりも高い収入を期待できる海外での就労に対して、求職者の興味関心が高まっていると考えられます。そこで、日本在住者の海外求人の検索動向について、2019年1月から2022年10月を対象に調査しました。
結果ポイント
1.日本在住者の海外求人の検索はコロナ禍で減少するも、円安が進行した2022年6月から急激に増加
2.米国・カナダの求人検索はコロナ前と比較して急速に増加、一方でアジア各国の検索は減少傾向
3.パートタイムの求人検索は英語圏の広範囲の地域で増加
4.オーストラリアでのワーキングホリデーに関する検索はパンデミック前を超える水準に
Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介 コメント
コロナ禍で減少していた日本在住者の海外求人の検索は、2022年6月以降、米国やカナダを中心に急速に増加しています。これは、渡航制限の緩和に加え、国内のインフレーションの加速による実質賃金の低下や急激な円安の進行に伴い、通貨が強い地域へ求職者の就業関心が高まっていることが要因であると考えられます。
また、日本在住者が海外のパートタイム求人を検索する割合を国別にみると、米国、カナダに加え、英国、オーストラリアといった英語圏の幅広い地域で顕著に増加がみられました。この要因には、求職者の仕事探しにおいて、フルタイムの場合よりも、パートタイムの方がより広い範囲の国に関心をもつ傾向があると考えられること、さらに日本語以外で最も身近な言語である英語が話されている地域により関心が集まっていることが考えられます。
さらに、オーストラリアにおける「ワーキングホリデー」に関する求人検索が、パンデミック前を超える水準まで増加していました。これは、「ワーキングホリデー」が可能な国としての認知が高く、地理的にも渡航がしやすいことに加え、給与水準が高く日本よりも高収入を得ることが期待できることから、求職者のオーストラリアでの就業意向が高まっていることを示唆しています。
結果詳細
1.日本在住者の海外求人の検索はコロナ禍で減少するも、円安が進行した2022年6月から急激に増加
【注】本データは、2019年1月1日〜2022年10月31日における、Indeed上での日本在住者の検索数全体のうち、日本在住者の海外求人の検索割合を示したもの。波線は、パンデミック宣言時期(2020年2月1日)、1ドル130円超を最初に記録した時期(2022年6月1日)を表す。
日本在住者の全求人検索に対する海外求人検索の割合は、2019年1月1日時点では0.5%でしたが、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2020年のはじめから減少に転じました。日本を含む各国・地域による渡航制限が開始された2020年4月に最も大きな落ち込みがみられ、4月末には0.19%となりました。その後、断続的な感染拡大による更なる渡航制限の長期化により、海外の求人検索は0.2%程度と低調が続きました。
一方で、水際対策の緩和が検討され始めると海外求人の検索割合は上昇に転じました。2021年10月以降から増加傾向となり、さらに円安が進行した2022年6月から急激に増加しています。そして2022年10月には、2019年1月以降最も検索割合が高くなりました。
<エコノミストによる分析>
日本在住者による海外求人の検索は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い2020年から減少傾向となり、その後も低水準を維持していました。これは世界的な感染拡大を受けて各国政府による入国制限があったこと、また渡航ができるようになってからも感染への懸念や各国の経済状況の不安定さなどが背景にあります。
2022年6月以降は、日本の移動制限の緩和や、インフレーションによる実質賃金の低下、急激な円安の進行などに伴い、より高い給与を期待して海外での仕事を探す人も増えていると考えられます。
今後も国内の賃金成長率が停滞し、引き続き円安の状況が続くのであれば、更に海外での仕事を探す人が増えてくると予想されます。
2.米国・カナダの求人検索はコロナ前と比較して急速に増加、一方でアジア各国の検索は減少傾向
【注】本データは、2019年1月1日〜2022年10月31日の期間中における、Indeed上での日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるTop8関心先別検索数の割合を各示したもの。波線は、パンデミック宣言時期(2020年2月1日)、1ドル130円超を最初に記録した時期(2022年6月1日)を表す。
日本在住者の海外の求人検索について、2022年10月の検索上位8ヵ国、米国、カナダ、英国、ベトナム、韓国、オーストラリア、フィリピン、フランスそれぞれの推移をみると、米国やカナダの求人検索は特に増加していることがわかります。
一方で、アジア各国の求人検索は2022年以降顕著に減少しており、コロナ禍よりも低水準となっています。
<エコノミストによる分析>
日本在住者の海外求人の検索のうち、特に米国やカナダの求人を検索する割合が増加している傾向がみられました。これは、円安の進行により、特に米国やカナダなど強い通貨の国における就業の関心が高まったことが背景として挙げられます。
一方でアジア圏が相対的に減少しているのは、求職者がドル高に魅力を感じることや、アジア圏でパンデミックによる規制が未だ強いこと、情勢の不安定化などに起因していると考えられます。
3.パートタイムの求人検索は英語圏の広範囲の地域で増加
【注】本データは、2019年1月1日〜2022年10月31日における、Indeed上での日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるTop8関心先別パートタイム検索数の割合を示したもの。波線は、パンデミック宣言時期(2020年2月1日)、1ドル130円超を最初に記録した時期(2022年6月1日)を表す。
日本在住者の海外のパートタイム求人の検索*について、2022年10月時点における検索割合が高い上位8カ国、米国、カナダ、英国、ベトナム、韓国、オーストラリア、フィリピン、フランス、それぞれの検索推移をみると、米国、カナダ、英国、オーストラリアの英語圏が特に直近3ヶ月程度で急激に増加していることが分かります。
一方でアジア圏をみると、求人検索全体の傾向と同様にパートタイム求人の検索においても、2022年から減少がみられます。
*求人検索時に、「パートタイム」というワードを入れて検索したものを対象としています。
<エコノミストによる分析>
フルタイムよりも実際に海外で働ける蓋然性がより高いパートタイムの求人検索においては、米国やカナダに加え、英国やオーストラリアといった、英語圏のより広範囲の地域で増加が顕著でした。これは円安ドル高の影響に加え、フルタイムより門戸が広いパートタイムの仕事検索では、求職者はより広い範囲の海外対象地域に関心をもつ傾向があり、かつ日本語以外で最も身近な言語である英語が話されている地域で顕著であることが示唆されます。
4.オーストラリアでのワーキングホリデーに関する検索はパンデミック前を超える水準に
【注】本データは、2019年1月1日〜2022年10月31日における、Indeed上で日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるオーストラリアへのワーキングホリデー検索数の割合を示したもの。波線は、パンデミック宣言時期(2020年2月1日)、1ドル130円超を最初に記録した時期(2022年6月1日)を表す。
海外において長期滞在が許可され、就学や旅行、就労とその国で生活することができる就労生活形態には「ワーキングホリデー」があり、年齢制限があるものの、海外で働くことのできる制度として、門戸が開かれています。「ワーキングホリデー」が可能な国での「ワーキングホリデー」のキーワードを含む求人検索について調査したところ、特にオーストラリアへの検索割合が最も大きくなっていました。
日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるオーストラリアへの「ワーキングホリデー」の検索割合は、新型コロナウイルスの感染拡大とともに減少傾向となりましたが、2021年12月頃から上昇し、2022年10月はパンデミック前を上回る水準に増加しています。
<エコノミストによる分析>
日本からオーストラリアの「ワーキングホリデー」に関する検索は新型コロナウイルスの規制及び円安の影響を大きく受けていたといえます。検索割合はコロナ禍には低い水準で推移し続けたものの、オーストラリアでは2022年2月にコロナワクチン接種を条件にすべての国と地域からの渡航者の受け入れを再開したため、この頃から特に回復の傾向がみられます。2022年7月にはコロナワクチン接種の条件を含む渡航制限が撤廃され、「ワーキングホリデー」の検索もさらに増加しました。
直近の検索上昇においては急激な円安の進行が大きく影響していると考えられます。「ワーキングホリデー」が可能な国として認知が高く地理的にも渡航しやすいオーストラリアは、日本と比較して給与水準も高く、「ワーキングホリデー」を活用した就労により、高収入を得ることを期待している求職者が増加している可能性を示唆しています。
Indeedは「We help people get jobs.」をミッションに掲げ、全ての人が自分に合った仕事が得られる社会の実現を目指しています。今後も労働市場の動向など、Indeedに蓄積された仕事検索に関するデータに基づき分析した有益な情報を、求職者と雇用主を始め社会に広く提供してまいります。
■エコノミストプロフィール
Hiring Labエコノミスト(日本担当)青木 雄介
2012年東京工業大学工学部卒、2013年英国UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)経済学修士。その後、外資系コンサルティングファーム等でエコノミスト・データサイエンティストとして政府・民間・司法機関に向けた経済統計分析及び報告書作成に従事。2022年8月より現職。Indeedのデータを活用してOECD及び日本の労働市場を分析し、外部関係者に向けて分析結果・インサイトを発信している。
■調査概要
調査主体:Indeed Japan株式会社
調査期間:2019年1月〜2022年10月
調査対象:Indeed上で行われた日本在住者の海外求人への検索
調査方法:
1.日本在住者の検索数全体のうち、日本在住者の海外求人の検索割合を算出
2.日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるTop8関心国別検索数の割合を算出
3.日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるTop8関心国別の「パートタイム」というワードを含む検索数の割合を算出
4.日本在住者の海外求人の検索数全体に占めるオーストラリアへの「ワーキングホリデー」というワードを含む検索数の割合を算出
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*出典:Comscore 2022年9月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2022年4~9月
■プレスリリースはこちらからもご確認いただけます。
Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20221223/
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