インパクト志向金融宣言 2年間で署名が3.5倍、74機関へ
宣言の下でインパクトファイナンス残高 3倍弱 10兆7,240億円2024年、アセットオーナー向けの取り組みを強化
インパクト志向金融宣言は、銀行、保険会社、運用機関、ベンチャーキャピタル等の様々な業種の金融機関が、組織の目的として、金融を通じて環境・社会課題を解決するという考え方に基づき、2021年11月に21社で発足しました。本プログレスレポートでは、昨年と同様、署名機関が行うインパクト投融資を、「意図」「戦略」はあるが「測定」を実施していない場合(縦軸 0)、「意図」「戦略」を持ち、アウトカムを測定している場合(縦軸 1)、測定に加えてインパクト創出にかかる「マネジメント」を実施している場合(縦軸 2)の3つに分類し、後者2つ(縦軸 1+2 )をインパクトファイナンスとして残高を集計した結果、署名機関/賛同機関63社(12社非公開)による2023年時点のインパクトファイナンス残高総額合計が10兆7,240億円となりました。
昨年の3兆8,500億円より残高が約3倍に増加している理由は、①インパクトファイナンスの残高が大きい大手金融機関(三井住友銀行、農林中央金庫、日本生命等(残高順))がこの一年で新たに署名をしたこと、②既存の大手金融機関が残高を拡大したこと(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、SBI新生銀行、第一生命、かんぽ生命等(残高順))です。また、公開された残高のうち、国内・海外の区分はほぼ半々、アセットクラス別は融資が過半を占めています。
また、レポートでは、高倉透三井住友トラスト・ホールディングス株式会社取締役執行役社長、清水博日本生命保険相互会社代表取締役社長社長執行役員、田代桂子株式会社大和証券グループ本社取締役兼執行役副社長による特別座談会「インパクト志向金融宣言への期待~ なぜ今、金融がインパクトを志向すべきなのか~」の報告を掲載するほか、署名機関・賛同機関の個社のインパクト志向金融経営の取り組みを紹介しています。
さらに、2023年7月に策定した中期計画の内容を紹介し、7つの分科会・企画チーム「定義・算入基準」「インパクト測定・マネジメント(IMM)」「ソーシャル指標」「アセットオーナー・アセットマネジメント」「地域金融」「ベンチャーキャピタル」「海外連携」の進捗を掲載しています。
今後の大きな方向性として、インパクトファイナンスの重要な特色であるインパクト測定・管理(IMM)について、昨年に引き続き先進事例の共有や議論を進めるとともに、各分科会にIMM企画担当を設置し、分科会横断的な議論を進め、当宣言としての「IMMの基本的な在り方」の文書作成を目指します。地域金融については、融資と投資の接続について議論を深め、地域金融のインパクトファイナンスの新しい在り方について考えていきます。また、海外国外と比較すると、アセットオーナーによるインパクトファイナンスへの投融資の参画参加が少ないことから、さらなるインパクトファイナンス普及の鍵となるアセットオーナーへの取り組みを進める予定です。
https://www.siif.or.jp/wp-content/uploads/2024/01/ProgressReport2023_final.pdf
「インパクト志向金融宣言」ホームページ:https://www.impact-driven-finance-initiative.com/
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