大林組とトヨタ自動車未来創生センター共同開発の施工シミュレータ「GEN-VIR®」、姿勢生成・筋疲労分析機能を用いて作業員の負担軽減につながる作業改善を実現
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、トヨタ自動車株式会社未来創生センター(所在地:愛知県豊田市、センター長:古賀伸彦)と共同で開発した施工シミュレータ「GEN-VIR(ゲンバー)」(※1)を東名リニューアル工事(東名多摩川橋、以下本工事)(※2)で活用し、作業シミュレーションを通して工事現場の作業効率向上や労働災害予防を推進してきました。
このたびGEN-VIRに実装した、作業時の姿勢をシミュレータ上に生成する機能と、改良した筋疲労の分析機能を活用し、作業員の肉体的負担軽減につながる工程や作業の改善を実現しました。

1.背景
GEN-VIRは3DCGによる工事現場と作業を再現するシミュレーション技術で、綿密な作業順序や作業員配置を検討することが可能です。大林組は、高速道路上の作業時間や空間が限られ、綿密な作業検討が求められる本工事で、GEN-VIRを活用し、作業改善につなげてきました(※3)。生産性向上を重視した作業は、作業員の肉体的な負担や疲労が増す懸念があることから、それらを分析する機能を実装しました。
2.GEN-VIRへ実装および改良を加えた機能
(1)作業姿勢の自動生成機能
実際の作業姿勢に近い形でバーチャル現場内の作業員の作業姿勢を生成する機能を新たに追加しました。本機能を筋疲労分析に使用することで、より高い精度で筋疲労を数値化することが可能です。
(2)筋疲労分析機能
各作業に対する筋疲労を時系列に算出する機能を改良しました。これにより、実際の作業時により近い筋疲労の数値算出が可能になりました。
※詳細はトヨタ自動車未来創生センターのレポートを参照ください。
3.改善実施内容
(1)作業員の筋疲労を考慮した工程、機械導入の検討
本工事におけるモルタル打設作業について、作業員7名1班体制で計画していましたが、GEN-VIRを使用して1班6名体制の施工シミュレーションを行った結果、1班6名体制がより効率的な配置であることが分かり、作業員の待機時間が短縮され、1班7名と同様の作業時間で施工できるという結果が得られました。


人員減による筋疲労増加への対応策検討のため、モルタル打設作業の手順を細分化して筋疲労分析をしたところ、部位ごとの筋力への負担が特に大きいのは、ハンドミキサーを使用したモルタル練り混ぜ作業であることが分かりました。練り混ぜ作業の負担を軽減するため、モルタルミキサーの導入を検討しました。

(2)改善内容を反映したシミュレーションと手順説明会の実施
モルタルミキサーを用いた施工シミュレーションでは、ハンドミキサー使用時と比べて40分の作業時間の短縮と、筋疲労軽減が確認できました。シミュレーション映像は手順説明会にて、施工手順や人員配置、安全対策の確認にも活用しました。
職長や作業員からは「人員配置や作業工程など、シミュレーションを見てイメージできていたのでスムーズに作業できた」といった声が上がるなど、未経験の作業工程でも事前に全員の共通認識にできたことで、効率的かつ作業員の負担を軽減した工程改善を実現しました。


今後は、GEN-VIRを、高速道路リニューアル工事をはじめとした工事現場で活用し、さらなる機能開発や改良を進めていきます。大林組はGEN-VIRを活用して、生産性向上と作業員の負担軽減を両立した、安全・安心なインフラの構築に貢献していきます。
※1 GEN-VIR(ゲンバー)現場作業員の生産性向上やリスク回避を目的とした3DCGによる作業シミュレーション技術
詳細はトヨタ自動車未来創生センターのレポートを参照ください
URL:https://global.toyota/jp/mobility/frontier-research/42215095.html
※2 東名リニューアル工事(東名多摩川橋)
工事区間 東名多摩川橋 上下線(E1 東名 東京IC~東名川崎IC間)
工事概要 老朽化した橋梁のコンクリート床版を新しい床版に取り替える
工事工事期間 2021年11月下旬~2024年11月下旬(約3年間)
※3 東名リニューアル工事に「施工シミュレータ」を初適用し、バーチャル現場を構築(2023.03.24付)
東名リニューアル工事にて施工シミュレータ「GEN-VIR®」を活用(2024.03.22付)
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