データセンター内のサーバーを液体冷却、冷却電力の94%減を達成
~脱炭素に貢献するサステナブルな液浸データセンターを実現、2023年度中に提供開始~
KDDI、三菱重工業、NECネッツエスアイは、脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験を行い、冷却設備におけるティア4レベルでの安定稼働に成功しました。
従来型のデータセンターと比較し、サーバー冷却のために消費される電力を94%削減、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05を実現しました。
従来型のデータセンターと比較し、サーバー冷却のために消費される電力を94%削減、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05を実現しました。
KDDI株式会社
三菱重工業株式会社
NECネッツエスアイ株式会社
KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下 KDDI)、三菱重工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:泉澤 清次、以下 三菱重工)、NECネッツエスアイ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役執行役員社長:牛島 祐之、以下 NECネッツエスアイ)は、2023年2月28日、脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験(以下 本実証)を行い、冷却設備におけるティア4(注1)レベルでの安定稼働に成功しました。従来型のデータセンターと比較し、サーバー冷却のために消費される電力を94%削減(注2)、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05(注3)を実現しました。なお、本実証はKDDI小山ネットワークセンター(以下 KDDI小山NC)で実施しました。
3社は、大規模データセンターからコンテナ型データセンター(注4)まで幅広い活用を想定し、2023年度中に液浸データセンターの提供を開始します。
■本実証について
1.背景と課題
・世界的なDX の進展や新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化、自然災害へのBCP 対策により、クラウドサービスおよびデータセンターの需要が急速に拡大しています。
・一方でIT 機器の高性能化・高密度化により、IT 機器による発熱がこれまで以上に大きくなってきており、データセンターでの排熱処理が課題です。サステナブルなデータセンターを実現するためには、電力消費量の削減と排熱効率のよいデータセンター運用が重要です。サーバーが発する熱を高効率の冷却装置で冷却することで消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが求められています。
・今回、KDDI小山NCで液浸データセンターを試験運用し、各分野で社会インフラを担っている3社が持つ技術や知見をそれぞれ持ち寄り、安定性や成立性を確認しました。
2.実証概要
2022年4月1日からKDDI小山NCにて、100kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置をデータセンター内に収容し、試験運用する実証を行いました。最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置を開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化を実現しました。
また、液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を確認しました。
3.成果
(1)冷却効率の立証
・最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置(注5)を含む液浸システムを開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化をすることで、サーバー冷却のために消費される電力の94%削減とPUE値1.05を実現しました。
(2)高可用性の実現
・液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を立証しました。加えて、IT機器が発する騒音は空冷方式に比べて約35dBの低減(注6)を実現しました。
(3)商用化を見据えた、保守マニュアル整備
・国内での商用利用を見据え、保守体制の検討、保守マニュアルの整備も含めた実践的な運用を行いました。
4.各社の役割
・KDDI:本実証の円滑な管理推進。可用性を考慮したデータセンターへの液浸システム導入におけるシステム設計。IT機器の導入、保守、運用体制の課題解決に向けた取り組みとフィールドトライアル。
・三菱重工:フリークーリング(外気空冷)装置の開発および試作。液浸システムの設計、構築。液浸システムの制御および運用試験。フリークーリング(外気空冷)装置の保守・運用設計。
・NECネッツエスアイ:液浸データセンター向けの設備導入設計と課題抽出および改善。液浸装置、電源設備などの調達、設計、施工を通して課題抽出と改善。統合監視システムの SI設計構築を通して監視、管理、制御手法の検証。最適な保守設計、運用、保守スキームの確立。
5.試験運用への協力企業(ABC順)
ENEOSホールディングス株式会社
FXC株式会社
Giga Computing
Intel Corporation
MiTAC Computing Technology Corp
Super Micro Computer, Inc.
Western Digital Corporation
アリスタネットワークスジャパン合同会社
エヌビディア合同会社
株式会社DC ASIA
工業技術研究院 (ITRI)
シスコシステムズ合同会社
ソリダイム・ジャパン
デル・テクノロジーズ株式会社
日本AMD株式会社
日本フォームサービス株式会社
日本ヒューレット・パッカード合同会社
パンドウイットコーポレーション日本支社
3社は今後も、本実証を通じて、国内のデジタルトランスフォーメーション(DX)の発展に寄与するとともに、脱炭素化および地球環境保全に貢献していきます。
<別紙>これまでの取り組み
https://prtimes.jp/a/?f=d82252-20230303-b8b41deac86dfe533d9f82a9ebce1e01.pdf
(注1)ティアとは、データセンターの品質を評価・格付けする基準です。ティア4とは、付帯設備の冗長性などによりデータセンターとしての品質が最も高く維持されているという基準です。
(注2)PUE値1.7(現在稼働中の一般的なDCのPUE値)のデータセンターの総電力と比較した場合。
(注3)PUEとは、Power usage effectivenessの略称で、データセンターのエネルギー効率を測る一般的な指標です。「データセンター全体の消費電力量(kWh)÷IT機器の消費電力量(kWh)」で算出され、値が小さいほど
データセンターのエネルギー効率が良いとされています。
(注4)50kVA相当のサーバーを液浸システム(液浸冷却装置+フリークーリング装置)一式に実装し、よりエンドユーザーに近い場所で処理を行う可搬性を備えた小型のデータセンターです。
(注5)外気を利用して冷却水を直接冷やす方式で、空冷サーバー用に通常使用する空冷チラーを稼動させずに冷却水を供給し、空冷チラー内の圧縮機動力を必要とせずファン動力と冷却水の搬送動力のみで冷却ができます。これにより外気温次第でランニングコストの低減が可能となります。
(注6)dB(デシベル)は騒音の大きさを表現する際に利用されます。基準となる量との比を対数によって表すもので、今回の実証で確認できた静粛性は、空冷サーバー:地下鉄の構内レベルから、液浸サーバー:日常の会話レベルまで軽減できる騒音の大きさとなります。
以上
三菱重工業株式会社
NECネッツエスアイ株式会社
KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下 KDDI)、三菱重工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:泉澤 清次、以下 三菱重工)、NECネッツエスアイ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役執行役員社長:牛島 祐之、以下 NECネッツエスアイ)は、2023年2月28日、脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験(以下 本実証)を行い、冷却設備におけるティア4(注1)レベルでの安定稼働に成功しました。従来型のデータセンターと比較し、サーバー冷却のために消費される電力を94%削減(注2)、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05(注3)を実現しました。なお、本実証はKDDI小山ネットワークセンター(以下 KDDI小山NC)で実施しました。
3社は、大規模データセンターからコンテナ型データセンター(注4)まで幅広い活用を想定し、2023年度中に液浸データセンターの提供を開始します。
<液浸データセンター全景>
<室内:液浸冷却装置>
<室外:フリークーリング装置>
■本実証について
1.背景と課題
・世界的なDX の進展や新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化、自然災害へのBCP 対策により、クラウドサービスおよびデータセンターの需要が急速に拡大しています。
・一方でIT 機器の高性能化・高密度化により、IT 機器による発熱がこれまで以上に大きくなってきており、データセンターでの排熱処理が課題です。サステナブルなデータセンターを実現するためには、電力消費量の削減と排熱効率のよいデータセンター運用が重要です。サーバーが発する熱を高効率の冷却装置で冷却することで消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが求められています。
・今回、KDDI小山NCで液浸データセンターを試験運用し、各分野で社会インフラを担っている3社が持つ技術や知見をそれぞれ持ち寄り、安定性や成立性を確認しました。
<液浸データセンターの取り組み紹介動画>
2.実証概要
2022年4月1日からKDDI小山NCにて、100kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置をデータセンター内に収容し、試験運用する実証を行いました。最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置を開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化を実現しました。
また、液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を確認しました。
<液浸冷却装置およびフリークーリング装置の構成>
3.成果
(1)冷却効率の立証
・最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置(注5)を含む液浸システムを開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化をすることで、サーバー冷却のために消費される電力の94%削減とPUE値1.05を実現しました。
(2)高可用性の実現
・液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を立証しました。加えて、IT機器が発する騒音は空冷方式に比べて約35dBの低減(注6)を実現しました。
(3)商用化を見据えた、保守マニュアル整備
・国内での商用利用を見据え、保守体制の検討、保守マニュアルの整備も含めた実践的な運用を行いました。
4.各社の役割
・KDDI:本実証の円滑な管理推進。可用性を考慮したデータセンターへの液浸システム導入におけるシステム設計。IT機器の導入、保守、運用体制の課題解決に向けた取り組みとフィールドトライアル。
・三菱重工:フリークーリング(外気空冷)装置の開発および試作。液浸システムの設計、構築。液浸システムの制御および運用試験。フリークーリング(外気空冷)装置の保守・運用設計。
・NECネッツエスアイ:液浸データセンター向けの設備導入設計と課題抽出および改善。液浸装置、電源設備などの調達、設計、施工を通して課題抽出と改善。統合監視システムの SI設計構築を通して監視、管理、制御手法の検証。最適な保守設計、運用、保守スキームの確立。
5.試験運用への協力企業(ABC順)
ENEOSホールディングス株式会社
FXC株式会社
Giga Computing
Intel Corporation
MiTAC Computing Technology Corp
Super Micro Computer, Inc.
Western Digital Corporation
アリスタネットワークスジャパン合同会社
エヌビディア合同会社
株式会社DC ASIA
工業技術研究院 (ITRI)
シスコシステムズ合同会社
ソリダイム・ジャパン
デル・テクノロジーズ株式会社
日本AMD株式会社
日本フォームサービス株式会社
日本ヒューレット・パッカード合同会社
パンドウイットコーポレーション日本支社
3社は今後も、本実証を通じて、国内のデジタルトランスフォーメーション(DX)の発展に寄与するとともに、脱炭素化および地球環境保全に貢献していきます。
<別紙>これまでの取り組み
https://prtimes.jp/a/?f=d82252-20230303-b8b41deac86dfe533d9f82a9ebce1e01.pdf
(注1)ティアとは、データセンターの品質を評価・格付けする基準です。ティア4とは、付帯設備の冗長性などによりデータセンターとしての品質が最も高く維持されているという基準です。
(注2)PUE値1.7(現在稼働中の一般的なDCのPUE値)のデータセンターの総電力と比較した場合。
(注3)PUEとは、Power usage effectivenessの略称で、データセンターのエネルギー効率を測る一般的な指標です。「データセンター全体の消費電力量(kWh)÷IT機器の消費電力量(kWh)」で算出され、値が小さいほど
データセンターのエネルギー効率が良いとされています。
(注4)50kVA相当のサーバーを液浸システム(液浸冷却装置+フリークーリング装置)一式に実装し、よりエンドユーザーに近い場所で処理を行う可搬性を備えた小型のデータセンターです。
(注5)外気を利用して冷却水を直接冷やす方式で、空冷サーバー用に通常使用する空冷チラーを稼動させずに冷却水を供給し、空冷チラー内の圧縮機動力を必要とせずファン動力と冷却水の搬送動力のみで冷却ができます。これにより外気温次第でランニングコストの低減が可能となります。
(注6)dB(デシベル)は騒音の大きさを表現する際に利用されます。基準となる量との比を対数によって表すもので、今回の実証で確認できた静粛性は、空冷サーバー:地下鉄の構内レベルから、液浸サーバー:日常の会話レベルまで軽減できる騒音の大きさとなります。
以上
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