台湾の台中栄民総医院に次世代陽子線治療システムの導入開始
住友重機械工業株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:下村真司、以下「当社」)は、2022年に受注した台湾の台中栄民総医院向けの次世代陽子線治療システム(以下「同システム」)に使用する超電導サイクロトロンの導入を開始しました。2021年に開発した次世代型の当該陽子線治療システムの初号機であり、超電導サイクロトロンはそのキーコンポーネントになります。
現地では記念式典が開催され、当社の最先端技術による医療の品質向上に対する期待が病院長より述べられました。また、同システムは2025年末までに第1治療室のビーム調整を開始する予定です。2026年に台中栄民総医院へ引き渡し、2027年に陽子線治療が開始される予定です。
当社は、がんになっても健康で長生きできる社会の実現を目指して、今後も陽子線治療システムの技術開発や品質向上に取り組んでいきます。


【台中栄民総医院 傅雲慶 院長コメント】
「今回納入した装置は、最先端技術を活用した世界でもトップレベルの陽子線治療装置です。台湾には、この装置の導入に大きな期待を寄せているがん患者が数多くいます。今後はより高精度かつ効果的な治療が可能となり、多くの患者により良い医療を提供できると確信しています」
【次世代陽子線治療システム】
近年の陽子線治療ではスキャニング照射が行われています。スキャニング照射とは、腫瘍の形状に合わせて細い陽子線を走査することで、腫瘍周辺の正常組織や臓器へのダメージを低く抑える治療法です。呼吸によって移動する肺や肝臓などの腫瘍をスキャニング照射で精度よく治療するためには、呼吸による移動を低減させながら、短時間で照射する必要があります。そのため、短時間照射の実現には、陽子線を高強度かつ超高速で走査する技術が不可欠ですが、従来、陽子線を照射するには時間が掛かりました。
今回、当社が開発した超電導サイクロトロンは、陽子線の強度を従来の3倍以上に高めており、高速スキャニング技術との組み合わせで照射時間を6秒以下に短縮することが可能になります。また、超電導磁石を使用することで、消費電力を従来比約40%削減し、陽子線治療システムを低コストで稼働させることも可能になりました。
*同システムは、現在医療機器として未承認であり、医療機器として販売していません。
本件に関するこれまでの取り組みはこちらをご参考ください。
・2021年10月26日公表「陽子線治療用の超電導サイクロトロンの開発に成功」
URL:https://www.shi.co.jp/info/2021/6kgpsq000000lfgo.html
・2022年6月22日公表「次世代陽子線治療システムの開発に成功 動く臓器をより短時間で照射が可能」
URL:https://www.shi.co.jp/info/2022/6kgpsq000000lnc8.html
・2022年12月01日公表「次世代陽子線治療システムを初受注、台湾の台中栄民総医院から」
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