創業104年、ひょうたん温泉が「AI予測モデル」に挑戦
幹部だけでなく、全社員で検証する新たな温泉経営へ
大分県別府市・鉄輪温泉で1922年に創業した「ひょうたん温泉」は、AIを活用して来場動向や顧客ニーズを先読みする「AI予測モデル」の取り組みを開始しました。
目指しているのは、AIに経営を任せることではありません。
AIで予測し、人が考え、現場で試し、全社員で検証する。
これまで経営者や一部の幹部が中心となって考えてきた「次にどんなお客様が来るのか」「何を求めているのか」という問いを、現場で働く社員一人ひとりまで共有し、実際の来場者数や売上、お客様の反応と照らし合わせながら次の施策につなげていきます。
創業104年を迎えた老舗温泉が、昔ながらの温泉文化を守りながら、AIを経営にどう生かせるのか。
ひょうたん温泉の新たな挑戦が始まっています。
「AIを使えば、もっと楽になると思っていました」
生成AIが身近になり、文章作成や画像制作、情報整理など、さまざまな場面でAIが使われるようになりました。
ひょうたん温泉でも当初は、業務を効率化するためのツールとしてAIの活用を始めました。
しかし、使い続ける中で一つの疑問が生まれました。

「AIを、もっと経営そのものに使えないだろうか。」
単に文章を書いてもらう。
画像をつくってもらう。
それだけではなく、
「次の10日間は、どんなお客様が増えそうか」
「そのお客様は、何を求めて別府に来るのか」
「ひょうたん温泉だから提供できる価値は何なのか」
そんな未来の仮説をAIと一緒に考え、現場の施策にまで落とし込む取り組みへと発展しました。
もちろん、AIが出した答えがそのまま正解になるわけではありません。
現場の社員から、
「実際のお客様はそんな動きをしていない」
「この企画では伝わらないのでは」
と意見が出て、つくった仮説が大きく修正されることもあります。
だからこそ、ひょうたん温泉では、AIが答えを出すことよりも、AIをきっかけに社員みんなで考えることを重視しています。
AIで「次に来るお客様」を先読みする
観光施設の来場者数は、気温、天候、曜日、連休、季節行事、旅行需要など、さまざまな要因によって変化します。
さらに「県外から来るお客様」と一括りにしても、
福岡方面から車で訪れる家族、
友人同士の旅行、
卒業旅行の学生、
カップル、
海外から別府を訪れる旅行者など、
来館する理由も、求める体験も異なります。
そこでひょうたん温泉では、過去の来場データや季節要因、観光動向などをもとにAIを活用し、
「いつ、誰が、何を求めて来るのか」
を仮説として可視化。
その予測を、SNS発信、広告、イベント、商品開発、館内POP、接客、飲食メニューなどの施策につなげていきます。
予測して終わらない。「答え合わせ」までがAI活用
今回の取り組みで最も大切にしているのは、予測の的中率だけではありません。
AIで予測する
↓
顧客を具体的に考える
↓
現場で施策を実行する
↓
来場者数・売上・利用状況を見る
↓
全社員で答え合わせをする
↓
次の予測へつなげる
このサイクルを繰り返します。
「寒くなれば温泉客が増える」という大きな括りだけではなく、
誰が増えたのか。
何時に来たのか。
どの温泉を利用したのか。
何を食べたのか。
何を利用しなかったのか。
そこまで細かく見ることで、次の施策を考えていきます。
幹部だけではなく「全社員」で検証
今回のAI活用のもう一つの特徴が、取り組みを経営者や幹部だけで完結させないことです。
ひょうたん温泉では、社員がAIを学ぶ機会を設け、実際の施設の課題や顧客データを題材にしながら、
「次は誰が来ると思う?」
「その人に何をしたら喜んでもらえる?」
「やってみた結果はどうだった?」
を現場で考えます。
AIを使える社員を増やすことそのものが目的ではありません。
目指しているのは、
社員一人ひとりが、お客様を見て、自分で考え、行動し、結果を振り返れる組織です。
経営を一部の人だけが考えるのではなく、現場まで含めた全社員で考える。
AIは、そのための共通言語の一つとして活用しています。
年間来場40万人へ。数字の先にあるもの
ひょうたん温泉には現在、年間30万人台のお客様が訪れています。
次に掲げる目標は、年間来場40万人です。
しかし、単純に来場者数だけを増やすことが目的ではありません。
40万人のお客様を迎えるためには、
誰に来てもらいたいのか。
その人は何を期待しているのか。
どんな体験なら「来てよかった」と感じてもらえるのか。
そこまで考えなければ、来場者数だけを追いかけても長くは続きません。
だからこそ、
AIで未来を予測することと、目の前のお客様を見ること。
その両方を大切にしながら、40万人という目標に挑戦します。
創業104年。「温泉は守る、経営は変える」
ひょうたん温泉は1922年創業。
源泉100%かけ流しの「源泉十割」や、100℃近い源泉を水で薄めることなく自然の力で冷却する「湯雨竹」など、温泉そのものの価値を守り続けてきました。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでは三ツ星を獲得。
昔ながらの温泉文化を大切にする一方で、経営のやり方まで昔のままである必要はないと考えています。
守るべきものは守り、変えるべきものは変える。
100年以上続く温泉と、AIという新しい技術。
一見すると遠く見える二つを掛け合わせながら、次の100年につながる温泉経営をつくっていきます。
代表コメント
「AIというと、ものすごいシステムを導入して、コンピューターが経営判断をしてくれるようなイメージを持たれるかもしれません。
でも、私たちがやっていることは、もっと人間くさいものです。
AIに『次はどんなお客様が来るだろう』と問いかけて、みんなで考えて、実際にやってみる。
やってみたら全然違うこともあります。
その時は、またみんなで考え直す。
私一人が考えて社員に指示するのではなく、番頭や社員たちが自分たちで考えて動いてくれるようになってきました。
AIに仕事を任せるのではなく、AIを使って人がもっと考える。
そんな会社にしていきたいと思っています。」
ひょうたん温泉について
1922年創業、大分県別府市・鉄輪温泉にある温泉施設。
源泉100%かけ流しの「源泉十割」をはじめ、大浴場、名物の瀧湯、砂湯、蒸し湯、家族湯など、多様な温泉体験を提供しています。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン三ツ星。
創業以来、温泉を通じて訪れる人の元気を取り戻し、温泉でもっと日本を元気にすることを目指しています。
施設名:ひょうたん温泉
所在地:大分県別府市鉄輪159-2
営業時間:9:00~25:00(最終受付24:00)
運営:株式会社ユーネット
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