世界初、4インチ窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板の製造に成功

UV-C LEDの生産性向上や次世代パワーデバイスへの展開につながるブレークスルー

旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「当社」)は、子会社であるCrystal IS, Inc.(本社:米国ニューヨーク州、以下「Crystal IS社」)が4インチ(直径100mm)の窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板(以下「AlN基板」)の製造に世界で初めて(※1)成功したことをお知らせします。Crystal IS社はこれまでAlN基板を活用し、自社でUV-C(深紫外線) LEDを製造・販売してきましたが、今後は次世代パワーデバイス等への展開を見据え、AlN基板の外部販売に向けた活動も強化してまいります。

2インチ(左)・4インチ(右)AlN基板2インチ(左)・4インチ(右)AlN基板


Crystal IS社のAlN基板には欠陥密度が低く、紫外線透過性が高く、不純物濃度が低いという特徴があります。その特徴を活かし、これまで殺菌用途を中心としたUV-C(深紫外線) LEDでの活用を進めてきました。また、非常に広いバンドギャップエネルギー(※2)を持つAlNは、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失が小さく、耐圧が高いポテンシャルを有することから、エネルギー効率に優れ、次世代のパワーデバイスへの適用やRF(高周波)アプリケーションへの展開も期待されています。


AlN基板の製造には2000℃以上となる昇華炉内部において精緻な温度コントロールが必要であり、これが基板のスケールアップ(大口径化)において最も難しい課題でした。Crystal IS社は1997年の創業以来、本分野のノウハウを蓄積し続けており、これまでも複数回のスケールアップを実現してきました。現在は年間数千枚の2インチ基板を製造していますが、4インチ基板の商業化が実現すれば、1枚あたり従来の4倍の面積で各種デバイスを製造できるようになり、生産能力・効率の大幅な向上に貢献します。これはCrystal IS社のAlN単結晶成長プロセスが、今後広がる需要に応えるスケーラビリティを持つことを示します。なお、このたび製造に成功した4インチ基板はその面積の80%以上が使用可能(※3)ですが、2023年度中に使用可能領域を99%以上とすることを目指してさらなる改善を行っていきます。


Crystal IS社は、1997年にAlN基板を開発するスタートアップとして設立され、現在は2インチ基板を用いて殺菌用途向けの「Klaran(クララン)」、分析用途向けの「Optan(オプタン)」といったUV-C LED製品を製造しています。主力製品の「Klaran」は260nm~270nmの殺菌に理想的な波長を出力でき、殺菌用途を中心に様々な場所で利用されています。


本件については、8月13日から18日の間、アリゾナ州ツーソンで開催された23rd American Conference on Crystal Growth and Epitaxyにおいて8月17日にCrystal IS社より発表されました(全て米国山岳部時間)。


※1 … これまでの学会発表や論文などから当社グループ調べ。

※2 … 結晶のバンド構造における、価電子帯と伝導帯の間に電子が存在しない禁制帯のエネルギー幅

※3 … 現行のCrystal IS社のUV-C LEDの製造要件に基づく

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

旭化成株式会社

34フォロワー

RSS
URL
https://www.asahi-kasei.com
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井タワー
電話番号
03-6699-3000
代表者名
工藤 幸四郎
上場
東証1部
資本金
1033億8900万円
設立
1922年05月