世界初、4インチ窒化アルミニウム(AlN)単結晶基板の製造に成功
UV-C LEDの生産性向上や次世代パワーデバイスへの展開につながるブレークスルー
Crystal IS社のAlN基板には欠陥密度が低く、紫外線透過性が高く、不純物濃度が低いという特徴があります。その特徴を活かし、これまで殺菌用途を中心としたUV-C(深紫外線) LEDでの活用を進めてきました。また、非常に広いバンドギャップエネルギー(※2)を持つAlNは、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりも電力損失が小さく、耐圧が高いポテンシャルを有することから、エネルギー効率に優れ、次世代のパワーデバイスへの適用やRF(高周波)アプリケーションへの展開も期待されています。
AlN基板の製造には2000℃以上となる昇華炉内部において精緻な温度コントロールが必要であり、これが基板のスケールアップ(大口径化)において最も難しい課題でした。Crystal IS社は1997年の創業以来、本分野のノウハウを蓄積し続けており、これまでも複数回のスケールアップを実現してきました。現在は年間数千枚の2インチ基板を製造していますが、4インチ基板の商業化が実現すれば、1枚あたり従来の4倍の面積で各種デバイスを製造できるようになり、生産能力・効率の大幅な向上に貢献します。これはCrystal IS社のAlN単結晶成長プロセスが、今後広がる需要に応えるスケーラビリティを持つことを示します。なお、このたび製造に成功した4インチ基板はその面積の80%以上が使用可能(※3)ですが、2023年度中に使用可能領域を99%以上とすることを目指してさらなる改善を行っていきます。
Crystal IS社は、1997年にAlN基板を開発するスタートアップとして設立され、現在は2インチ基板を用いて殺菌用途向けの「Klaran(クララン)」、分析用途向けの「Optan(オプタン)」といったUV-C LED製品を製造しています。主力製品の「Klaran」は260nm~270nmの殺菌に理想的な波長を出力でき、殺菌用途を中心に様々な場所で利用されています。
本件については、8月13日から18日の間、アリゾナ州ツーソンで開催された23rd American Conference on Crystal Growth and Epitaxyにおいて8月17日にCrystal IS社より発表されました(全て米国山岳部時間)。
※1 … これまでの学会発表や論文などから当社グループ調べ。
※2 … 結晶のバンド構造における、価電子帯と伝導帯の間に電子が存在しない禁制帯のエネルギー幅
※3 … 現行のCrystal IS社のUV-C LEDの製造要件に基づく
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