巧みな木彫りと手仕事で知られる「中世アナトリアの木造多柱式ジャーミィ」 トルコ国内で21番目の「ユネスコ世界遺産」に登録
9月にサウジアラビアのリヤドで開催された第45回ユネスコ世界遺産委員会において、巧みな木彫りと手仕事で知られる中世アナトリアの木造多柱式ジャーミィがトルコ国内で21番目の「ユネスコ世界遺産」に登録されました。
この歴史的ジャーミィは、アナトリアの木造多柱式ジャーミィを代表するものとして際立っている他、トルコ初の一連の世界遺産としてリストに登録されました。登録された一続きの世界遺産は、13世紀後半から14世紀半ばにかけてアナトリアで建設された5つの多柱式ジャーミィで構成され、それぞれトルコ国内の異なる県に位置しています。
立地条件は異なるものの、これらのジャーミィには共通の技術的特徴が見られます。ユネスコによると、ジャーミィの特徴的な建築デザインは、石造りの外壁と、木造の平らな天井と屋根を支える木造の内部柱(多柱式建築)で構成されており、その複雑な木彫りや手仕事も際立っています。説教壇は、「キュンデキャーリ」と呼ばれる、幾何学的な形にカットされた小さな木片を接合して大きな面を形成する装飾芸術の手法を採用、「カレム・イシ」と呼ばれる彫刻のような装飾、そして扉、柱頭、天井の梁、コーベル(*)に施された丁寧な木工細工など、並外れた工人の技巧と美意識が表現されています。これらの歴史的建造物は中世から今日まで保存状態が良く、アナトリアの生活と文化を忠実に反映しています。
(*)=壁から突き出した構造物で、その上に張り出した重量を支持する建築技術の一つ。持ち送り、持出し、送り積み、受け材ともいう。
セルジューク朝やオスマン帝国時代の木造ジャーミィは、釘を使わずに木材を使用する素朴な木の使い方と印象的な手作りの装飾を持つ宗教建築の珍しい例です。木造屋根と木造円柱のジャーミィを建てる伝統は、オスマン帝国時代から20世紀初頭まで続きました。
詳細はこちらから:https://faith.goturkiye.com/authentic-wooden-mosques(英語)
ユネスコ世界遺産に登録されたジャーミィ
ベイシェヒル・エシュレフオール・ジャーミィ(コンヤ県)
アナトリアの木造円柱と梁のジャーミィの中で最大のものです。1296年から1299年の間に建築され、セルジューク王朝時代の石造りと木造建築の素晴らしさを併せ持っています。多くのセルジューク王朝時代のモスクに見られる、木造柱、「カレム・イシ」のモチーフで装飾された天井、木造の説教壇など、全ての特徴を備えています。
シヴリヒサール大ジャーミィ(エスキシェヒル県)
こちらも、アナトリアでは珍しい木造の大規模な円柱のジャーミィで、8世紀の歴史を持ちます。2,500人が同時に礼拝することができ、4つの入り口の扉と67本の木柱に支えられた屋根を備えています。柱の上部には「カレム・イシ」のモチーフが飾られています。このジャーミィは、幾何学模様と花の装飾が美しいクルミ材の説教壇でも有名です。
カサバキョイ・マフムト・ベイ・ジャーミィ(カスタモヌ県)
セルジューク朝の衰退によって設立された公国のひとつであるチャンダルのベイリクの時代、1366年に建設されました。釘を一本も使わずに建てられたこと、その独特な内部と木造の構造が特徴です。芸術の傑作であるモスクの門は、現在カスタモヌ民族学博物館に保管されています。
アヒ・シェレフェッディン・ジャーミィ(アンカラ県)
ジャーミィの東にある墳墓群の壁に埋められていた古代のライオンの像から、トルコ語でライオンの隠れ家を意味するアルスランハネとしても知られています。13世紀初頭に建てられ、外観は非常に地味であるにも関わらず、8世紀の歴史を持つ重要な作品です。平屋建てのモスクは、24本の木造柱と大理石の柱頭から、スポリア(*)の素材と木の調和を見ることができます。
(*)=古代の建物から他の建物に転用された円柱などの要素や建材を指す。
アフヨンカラヒサール大ジャーミィ(アフヨンカラヒサール県)
1272年から1277年の間に建てられた、この街で最も大きなジャーミィのひとつです。木造と煉瓦造りに釉薬のかかったタイルを使用しており、セルジューク王朝時代のユニークな建築例のひとつとして数えられています。木造の梁屋根は40本の木造柱に支えられ、その柱頭は熟練した職人によって作られました。
ユネスコ世界遺産登録リスト
1. ギョレメ国立公園とカッパドキア(中央アナトリア地方、ネヴシェヒル)/ 世界遺産登録年:1985年
2. ディヴリーイ大ジャーミィと病院(中央アナトリア地方、シヴァス)/ 世界遺産登録年:1985年
3. イスタンブル歴史地区(マルマラ地方、イスタンブル)/ 世界遺産登録年:1985年
4. ヒッタイト帝国の都ハットゥシャシュ(黒海地方、チョルム)/ 世界遺産登録年:1986年
5. ネムルート山(南東アナトリア地方、アドゥヤマン)/ 世界遺産登録年:1987年
6. ヒエラポリスとパムッカレ(エーゲ海地方、デニズリ)/ 世界遺産登録年:1988年
7. クサントス・レトゥーン(地中海地方、アンタルヤ-ムーラ)/ 世界遺産登録年:1988年
8. サフランボル市街(黒海地方、カラビュク)/ 世界遺産登録年:1994年
9. トロイ考古遺跡(マルマラ地方、チャナッカレ)/ 世界遺産登録年:1998年
10. セリミエ・ジャーミィと社会複合施設群(マルマラ地方、エディルネ)/ 世界遺産登録年:2011年
11. チャタルホユックの新石器時代遺跡(中央アナトリア地方、コンヤ)/ 世界遺産登録年:2012年
12. オスマン帝国の発祥地ブルサとジュマルクズック(マルマラ地方、ブルサ)/ 世界遺産登録年:2014年
13. ベルガマと重層的な文化的景観(エーゲ海地方、イズミル)/ 世界遺産登録年:2014年
14. ディヤルバクル城とヘヴセル庭園(南東アナトリア地方、ディヤルバクル)/ 世界遺産登録年:2015年
15. エフェス(エーゲ海地方、イズミル)/ 世界遺産登録年:2015年
16. アニ考古遺跡(東アナトリア地方、カルス)/ 世界遺産登録年:2016 年
17. アフロディシアス(エーゲ海地方、アイドゥン)/ 世界遺産登録年:2017 年
18. キョベクリテペ(南東アナトリア地方、シャンルウルファ)/ 世界遺産登録年:2018年
19. アルスランテペ古墳(東アナトリア地方、マラティヤ)/ 世界遺産登録年:2021年
20. ゴルディオン(中央アナトリア地方、アンカラ)/世界遺産登録年:2023年
21. 中世アナトリアの木造多柱式ジャーミィ(中央アナトリア地方、アンカラ-コンヤ-エスキシェヒル-アフヨンカラヒサール、黒海地方、カスタモヌ)/世界遺産登録年:2023年
トルコについて
地中海沿岸に位置し、有名なボスポラス海峡が隔てるアジアとヨーロッパを結ぶトルコは、何世紀にもわたり文化的な交流と多様性の拠点と考えられてきました。多様な文明が反映された歴史、遺跡、自然や美食を有し、多目的なデスティネーションです。伝統とモダンが融合した芸術やファッションをはじめ、ダイナミックなショッピングやエンターテインメントライフによって世界中から訪れる人々を魅了し続けています。2022年には全世界から約5,140万人の訪問者を迎え、世界第3位の観光市場となっています。2023年はトルコ共和国として建国100周年の年です。
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