暴言や威圧的態度、能力を超えた過度な要求…。教育現場に蔓延る“グレーゾーン”、子どもを傷つける「不適切な指導」に斬り込む
教育者たちの不適切な指導は何故なくならない? その発生要因を、業界の構造的な問題から検討し、教師という職業が抱える「不安」に寄り添う
株式会社東洋館出版社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:錦織圭之介)は、『教室マルトリートメント』を2022年4月28日に刊行します。
https://bit.ly/3Mztrov
教育現場における教師の不適切な指導の報道が、連日あとをたちません。それは、これまで、何がどう不適切なのか、「教育」や「指導」の定義や意味が非常に曖昧であったことが、要因の一つなのではないでしょうか。学校で「指導」の名の下に子どもたちを傷つけるような関わりが、知らず知らずのうちに行われていることがなかっただろうか。そのような問題意識のもとに、本書は生まれました。
本書のタイトルである「教室マルトリートメント」という言葉は、筆者である川上康則氏(東京都立矢口特別支援学校主任教諭)の造語です。教室内で行われる指導のうち、体罰やハラスメントのような違法行為として認識されたものではないけれども、日常的によく見かけがちで、子どもたちの心を知らず知らずのうちに傷つけているような「適切でない指導」のことを指しています。
例えば、事情を踏まえない頭ごなしの叱責、子どもたちを萎縮させるほどの威圧的・高圧的な指導などは分かりやすい例ですが、本書ではもう少し掘り下げて、褒めるべき時に褒めない、「子どもにナメられるから」という理由で笑顔を見せない、といったことについても、教室内を重い空気感で包んでしまう指導として取り上げます。
「マルトリートメント」という概念は、海外ではチャイルド・マルトリートメント( child maltreatment )という表現で広く知られています。mal(マル=悪い)+treatment(トリートメント=扱い)で、マルトリートメント。「不適切な養育」「避けたいかかわり方」などの意味で使われます。
日本の児童虐待防止法で定められた内容(身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待)よりも広い概念で語られ、子どもの将来のためによかれと思って行う「しつけ」や、大人が過去に受けてきたからという理由で行われる指導であったとしても、子どもの育ちにマイナスであれば許されていません。
マルトリートメントは、子どもの心にトラウマ(心的外傷)をつくるとされ、脳の一部の萎縮や肥大などの変形につながることも、小児神経科医の友田明美氏の研究によって報告されています(参照:友田明美『子どもの脳を傷つける親たち』NHK出版新書 など)。
マルトリートメントは、基本的に親子関係の養育において扱われる概念です。
しかし、不適切な関わり方や本来であれば行われるべきでない指導といった視点から見てみると、教育関係者こそ、常に気を付けておくべき概念なのではないか――。本書では、そのような問題意識のもと、密室空間である教室で、「指導」の名の下に子どもたちを傷つけるような関わりが、知らず知らずのうちに行われていることがないか、検討していきます。
例えば、このような指導を見たこと・体験したことがないでしょうか。
あるいは、このような発言を聞いたこと・言われたことがないでしょうか。
本書では、違法行為の一歩手前のレベルの「行き過ぎた指導」から、これまでは当たり前に行われていた指導だけれども、改めて考えると子どもの心を傷つける要素をもつ指導まで、幅広く「教室マルトリートメント」として整理していくことを試みます。
そして、教室マルトリートメントに陥らないための予防としての子どもたちとの信頼関係づくりの方法や子ども理解のために知っておきたい発達に関する知識を押さえていきます。さらに、自分が「教室マルトリートメントをしてしまっているかもしれない」という場合に、今すぐに実践したい立て直しから、常に行いたい教師としての自己検証のやり方まで、その改善方法を具体的に提案していきます。
一方で、このような子どもの心を傷つける毒語、威圧的・支配的態度などの不適切な指導が発生する「要因」は、どこにあるのでしょう。その背景に目を凝らしていくと、職員室での人間関係、教師の労働環境、教育界の抱える構造的な問題が立ち現れてきます。
教師という職業に漂う「不安」。
特別支援学校教諭として、長年、障害のある子に対する教育実践を積み、公認心理士・臨床発達心理士でもある著者が、教師の不適切な指導、そしてその発生要因としての現代の教師が置かれている現実というテーマに真正面から向き合った、今この時代だからこそ届けたい、渾身の1冊です。
川上康則(かわかみ・やすのり)
東京都立矢口特別支援学校主任教諭
公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザー。NHK Eテレ『ストレッチマンV』『ストレッチマン・ゴールド』番組委員。立教大学卒業、筑波大学大学院修了。肢体不自由、知的障害、自閉症、ADHDやLDなどの障害のある子に対する教育実践を積むとともに、地域の学校現場や保護者などからの「ちょっと気になる子」への相談支援にも携わる。著書に、『こんなときどうする? ストーリーでわかる特別支援教育の実践』(学研プラス)、『通常の学級の特別支援教育 ライブ講義 発達につまずきがある子どもの輝かせ方』(明治図書出版)、『子どもの心の受け止め方』(光村図書出版)など。
[書籍情報]
書 名:教室マルトリートメント
著 者:川上康則
判 型:四六判
頁 数:308
発売日:4月28日
価 格:2,200円(税10%)
ISBN:9784491042626
発行元:東洋館出版社
URL:https://bit.ly/3Mztrov
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4491042624/
「体罰」や「連帯責任」だけではない。教室に蔓延る「不適切な指導」が、子どもの健康を害している――。現場を見つめる著者がくれる、改善のための数々のヒントたち。――評論家・荻上チキ
教育現場における教師の不適切な指導の報道が、連日あとをたちません。それは、これまで、何がどう不適切なのか、「教育」や「指導」の定義や意味が非常に曖昧であったことが、要因の一つなのではないでしょうか。学校で「指導」の名の下に子どもたちを傷つけるような関わりが、知らず知らずのうちに行われていることがなかっただろうか。そのような問題意識のもとに、本書は生まれました。
- 「違法ではないが適切ではない指導」が、子どもを傷つける
本書のタイトルである「教室マルトリートメント」という言葉は、筆者である川上康則氏(東京都立矢口特別支援学校主任教諭)の造語です。教室内で行われる指導のうち、体罰やハラスメントのような違法行為として認識されたものではないけれども、日常的によく見かけがちで、子どもたちの心を知らず知らずのうちに傷つけているような「適切でない指導」のことを指しています。
例えば、事情を踏まえない頭ごなしの叱責、子どもたちを萎縮させるほどの威圧的・高圧的な指導などは分かりやすい例ですが、本書ではもう少し掘り下げて、褒めるべき時に褒めない、「子どもにナメられるから」という理由で笑顔を見せない、といったことについても、教室内を重い空気感で包んでしまう指導として取り上げます。
- マルトリートメント=不適切なかかわり
「マルトリートメント」という概念は、海外ではチャイルド・マルトリートメント( child maltreatment )という表現で広く知られています。mal(マル=悪い)+treatment(トリートメント=扱い)で、マルトリートメント。「不適切な養育」「避けたいかかわり方」などの意味で使われます。
日本の児童虐待防止法で定められた内容(身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待)よりも広い概念で語られ、子どもの将来のためによかれと思って行う「しつけ」や、大人が過去に受けてきたからという理由で行われる指導であったとしても、子どもの育ちにマイナスであれば許されていません。
マルトリートメントは、子どもの心にトラウマ(心的外傷)をつくるとされ、脳の一部の萎縮や肥大などの変形につながることも、小児神経科医の友田明美氏の研究によって報告されています(参照:友田明美『子どもの脳を傷つける親たち』NHK出版新書 など)。
マルトリートメントは、基本的に親子関係の養育において扱われる概念です。
しかし、不適切な関わり方や本来であれば行われるべきでない指導といった視点から見てみると、教育関係者こそ、常に気を付けておくべき概念なのではないか――。本書では、そのような問題意識のもと、密室空間である教室で、「指導」の名の下に子どもたちを傷つけるような関わりが、知らず知らずのうちに行われていることがないか、検討していきます。
例えば、このような指導を見たこと・体験したことがないでしょうか。
- 強い叱責、懲罰、締め付けなどの指導がされている
- 教室ができていない子を報告し合うような監視社会化している
- 多くの子どもたちが黙って高圧的な教師に従っている
- 教師の一方的な語りが多く、子どもたちが発言できない空気感が教室を支配している
- 先生の顔色を見ながら子どもが動いている(考えて動けない)
あるいは、このような発言を聞いたこと・言われたことがないでしょうか。
- 「何回言われたら分かるの?」:質問形式での問い詰め
- 「やる気がないんだったら、もうやらなくていいから」(→本当は、やりなさい) :本来の意図の裏を読ませる
- 「早くしないと、○○させないから」:脅しで動かす
- 「校長先生に叱ってもらうから」:虎の威を借る
- 「そんなこと1年生でもやりません」:下学年との比較
- 「ダメって言ったよね」:指導者に責任が無いことの強調
- 「じゃあ、もういい」「さよなら」:見捨てる
本書では、違法行為の一歩手前のレベルの「行き過ぎた指導」から、これまでは当たり前に行われていた指導だけれども、改めて考えると子どもの心を傷つける要素をもつ指導まで、幅広く「教室マルトリートメント」として整理していくことを試みます。
そして、教室マルトリートメントに陥らないための予防としての子どもたちとの信頼関係づくりの方法や子ども理解のために知っておきたい発達に関する知識を押さえていきます。さらに、自分が「教室マルトリートメントをしてしまっているかもしれない」という場合に、今すぐに実践したい立て直しから、常に行いたい教師としての自己検証のやり方まで、その改善方法を具体的に提案していきます。
- 何が、教師をそこまで追い詰めているのか
一方で、このような子どもの心を傷つける毒語、威圧的・支配的態度などの不適切な指導が発生する「要因」は、どこにあるのでしょう。その背景に目を凝らしていくと、職員室での人間関係、教師の労働環境、教育界の抱える構造的な問題が立ち現れてきます。
教師という職業に漂う「不安」。
特別支援学校教諭として、長年、障害のある子に対する教育実践を積み、公認心理士・臨床発達心理士でもある著者が、教師の不適切な指導、そしてその発生要因としての現代の教師が置かれている現実というテーマに真正面から向き合った、今この時代だからこそ届けたい、渾身の1冊です。
【著者紹介】
川上康則(かわかみ・やすのり)
東京都立矢口特別支援学校主任教諭
公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザー。NHK Eテレ『ストレッチマンV』『ストレッチマン・ゴールド』番組委員。立教大学卒業、筑波大学大学院修了。肢体不自由、知的障害、自閉症、ADHDやLDなどの障害のある子に対する教育実践を積むとともに、地域の学校現場や保護者などからの「ちょっと気になる子」への相談支援にも携わる。著書に、『こんなときどうする? ストーリーでわかる特別支援教育の実践』(学研プラス)、『通常の学級の特別支援教育 ライブ講義 発達につまずきがある子どもの輝かせ方』(明治図書出版)、『子どもの心の受け止め方』(光村図書出版)など。
[書籍情報]
書 名:教室マルトリートメント
著 者:川上康則
判 型:四六判
頁 数:308
発売日:4月28日
価 格:2,200円(税10%)
ISBN:9784491042626
発行元:東洋館出版社
URL:https://bit.ly/3Mztrov
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4491042624/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像