通信障害に強いネットワークづくりは、経営課題に【A.T. カーニー】

ソフトウェア化・クラウド化が進む通信ネットワークで、障害リスクに備える経営対応を提言

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考「ネットワーク・レジリエンス――CTO・CEO・取締役会が担うべき経営課題」を公開しました。本論考は、グローバルのTier 1通信事業者およびハイパースケーラーを対象に、ネットワーク・レジリエンスの実績、志向、課題を評価した調査と、Kearneyの通信プラクティスチームの経験・技術知見を踏まえて作成されました。

本稿では、ネットワーク・レジリエンスが、通信事業者の技術部門だけでなく、CEO、CTO、取締役会が扱うべき経営テーマになっているという点を示しています。つまり、通信ネットワークのレジリエンスが、サイバーセキュリティ、財務、顧客体験目標、環境・社会・ガバナンス(ESG)目標と並び、通信事業者リーダーの議題の前面に浮上していると言えます。先進的なTier 1事業者は、コアネットワーク可用性99.999%以上、顧客一人当たり年間5分以内の全国規模サービス中断、障害発生時の30分以内復旧を目標にしています。また、最新のデータでは、障害発生から10分以内に顧客へ連絡することが、悪影響の最小化に不可欠であることを示しています。

一方で、ネットワークのソフトウェア化、仮想化、クラウドネイティブ化が進む中、管理プレーン起点の脆弱性がレジリエンス上の課題として浮上しています。本稿では、調査した事業者の多くが、近年の大規模障害の半分は管理プレーンの事象に起因していたと回答したことも紹介しています。

99.999%以上・年5分以内・30分以内、先進事業者の目標は可用性から復旧まで拡張

通信事業者にとって、ネットワーク障害は単なる運用上の問題にとどまりません。本稿では、ネットワーク・レジリエンスをブランド評価と顧客ロイヤルティの核心に関わる論点として位置づけています。先進的なTier 1事業者は、コアネットワーク可用性99.999%以上、顧客一人当たり年間5分以内の全国規模サービス中断、障害発生時の30分以内復旧を目標にしています。

背景には、常時接続サービスに対する顧客期待の高まりがあります。利用者は、買い物、フード注文、リモート勤務、リモート学習など、日常生活の多くの場面で信頼できる接続性を求めています。障害発生時には、Downdetectorのようなオンライン基盤やSNSを通じて情報が広がるため、可用性に加えて、復旧速度や顧客への連絡も重要な論点になっていると示唆されます。

調査対象の多くが「半分は管理プレーン起点」と回答、冗長化中心の手法だけでは保証困難に

本稿では、調査した事業者の多くが、近年の大規模障害の半分は管理プレーンの事象に起因していたと回答したことを紹介しています。管理プレーンとは、ネットワーク運用をオーケストレーション、自動化、管理するアプリケーション層を指します。ネットワークの仮想化、クラウド化、ソフトウェア定義化が進む中、この層の脆弱性は、複数の冗長ネットワーク領域をまたいで障害を伝播させる可能性があります。

従来、通信事業者のネットワーク・アーキテクチャのレジリエンスは、冗長性、余剰能力の増加、障害ブラスト半径の縮小を通じて対処されてきました。しかし、本稿は、ノードやパスに冗長層を加えるといった伝統的なネットワーク工学手法だけでは、障害に対するレジリエンスを保証できないと指摘しています。今後は、管理プレーンとサービスプレーンの分離、管理プレーンの地域分割、一度に適用可能な変更範囲の制限などにより、ブラスト半径を縮小することが重要と示唆されます。

AIOps予測精度は50%未満、1〜5%以下の初期展開で変更リスクを抑制

ネットワークの複雑化とソフトウェア起点の脆弱性の増加を踏まえると、すべての障害を防ぐことはできないと本稿は指摘しています。そのため、予防だけでなく、迅速な検知と復旧を重視する必要があります。AIOps、すなわちネットワーク運用へのAI活用は有力な手段と位置づけられていますが、通信ネットワーク向けAIOpsはなお成熟初期の技術であり、当社調査によれば、今日時点で最先端のAIOpsにおける障害予測精度は50%未満にとどまります。

同時に、技術だけではなく、プロセス、スキルセット、文化の見直しも求められます。本稿では、規律ある変更管理プロセスの一例として、ラボ試験に続き、本番ネットワークのごく限定的な範囲で初期展開を行う方法を示しています。この初期展開は、通常、顧客接続の1〜5%以下しか担わない回転区画で行われ、その後、本番ネットワーク全体に対して小さなバッチで段階的に更新を展開します。

 

- 論考について

• 論考名:「ネットワーク・レジリエンス――CTO・CEO・取締役会が担うべき経営課題」
• URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/network-resilience-a-strategic-imperative-for-ctos-ceos-and-boards

- 監修者

針ヶ谷 武文 日本代表 マネージングディレクタージャパン / シニアパートナー

東京大学教養学部卒業。大手通信会社で営業企画・事業企画・サービス開発を経て、A.T. カーニーに入社。通信・ハイテク・メディア企業を中心に、約20年の超えるコンサルティング経験を有する。事業会社における様々な組織横断での事業推進の経験を下敷きに、デジタルを始めとするトランスフォーメーション、海外事業戦略、新規事業戦略、事業ポートフォリオの再構築、事業ターンアラウンドのテーマを中心に地の足の付いた実効性の高いコンサルティングサービスを提供。

滝 健太郎 シニアパートナー

東京大学経済学部経済学科を卒業後、A.T. カーニーに入社。約10年のコンサルティング経験を有する。通信・金融機関・消費財を中心に、戦略~新規事業・R&D~M&A~マーケ・営業~オペレーション~コスト~人事・組織など、経営に係わる幅広いテーマを手掛け、特に、全社レベルでの大規模デジタルトランスフォーメーションを得意とする。

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。詳しくはWebサイトをご覧ください
https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月