オークネット GCVのリユース環境価値算定方法に関する報告書を公開
~2022年の環境価値は約385億円。経済学の観点から妥当性を評価~
GCVは、2021年にオークネットのサステナビリティポリシーを具体的なアクションにつなげるために定めた独自の経営指標で、オークネットの事業活動により“経済”とリユース品の流通などによる“環境”に与えた影響を貨幣価値化したものです。2022年のGCVについては、環境価値は約385億円となり、経済循環価値の約5,031億円と合わせ、合計約5,417憶円となりました。また、環境データの信頼性に関して、本年4月に独立機関による第三者保証※1を取得しております。
本報告書では、GCVのうち、特に環境に与えた影響の貨幣価値の算出手法※2を経済学的な観点から解説しており、GCVの基本的な考え方は、環境経済学におけるグリーン会計(Green National Accounting)の考え方と整合的であると結論付けています。
具体的には、①環境に与えた純効果の算出方法の妥当性、②純効果を構成する排出削減効果(環境面での機会)の算出方法の妥当性、③環境価値の貨幣換算方法の妥当性の三つの観点からの検討をふまえると、GCVの算出方法は環境経済学における理論とも整合性が高く、妥当な算定方法を採用していると思われるとする一方で、環境面での機会の算出の精度には一定の限界と改善の余地がある点には留意が必要との指摘もあります。
さらには、こうした環境価値の将来的なカーボン・クレジット化の可能性についても言及されています。
報告書URL:https://www.aucnet.co.jp/sustainability/img/excerptgcvreportja.pdf
本取組の背景
オークネットは、「価値あるモノを、地球規模で循環させる~Circulation Engine.(サーキュレーションエンジン)~」というサステナビリティポリシーのもと、世界中のパートナーとともにさまざまな業域で、あらゆる「価値あるモノ」を「必要な人のもと」へ循環させる循環型流通を構築し、創業当時より持続可能な地域環境の形成に貢献してまいりました。
本年6月には、ミッションステートメント「マーケットデザインで価値をつなげる。」を制定し、循環型のマーケットデザインをオークネットが手がけ、まだ流通していないモノやコトに価値を見出してパートナーとともに新たな市場を共創していくこと、およびオークションでモノの価値を適正化するだけでなく、その周辺サービスも提供し、マーケットそのものを創造していくことで、サステナビリティの向上に貢献し、「持続可能な社会」を目指しております。
近年、従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の枠組みを超え、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指しつつ新たなサービス・付加価値を創出するサーキュラーエコノミー(循環経済)の推進が、政策的な取り組みだけでなく民間企業の間でも図られています。さらにこのサーキュラーエコノミーは、資源の効率的な利用の促進によるGHG排出削減効果や資源制約の緩和等の、2050年のカーボンニュートラルに向けた気候変動対策との相乗効果が期待されています。一方でサーキュラーエコノミーの施策がどの程度のGHGの削減につながるのかを把握する手法について、統一された方法や算定ルールは存在せず、カーボンニュートラルに貢献することの社会的認知も限定的となっているのが現状です。こうした現状に対し、GCVの策定と本報告書の公開を通して、サーキュラーエコノミー関連施策のGHG削減効果の算定方法の確立に寄与し、カーボンニュートラルの達成とサーキュラーエコノミー型の社会構造への転換に貢献していきたいと考えています。
また、オークネットは、GCVを2025年に1兆円にするという目標を掲げて活動しており、今後も2100年の気温上昇を1.5℃未満に抑えるための活動を行い、未来世代に豊かな地球環境をつないでいくため、気候変動関連のリスクと機会への対応とさらなり情報開示の充実に取り組んでまいります。
株式会社オークネット 代表取締役社長CEO 藤崎 慎一郎のメッセージ
オークネットは創業以来、さまざまな商材の二次流通市場の創出と同時に、リユースの促進による環境負荷の低減にも寄与してまいりました。今回UTEconにご評価をいただいたGCVは、一定の妥当性を持った形でこうした環境価値を貨幣価値に取り込むものであり、経営やサービスの指標とすることで環境負荷低減と両立するビジネスの創出・拡大を促すものです。今後はUTEconのような学術的な知見も持つ専門家、メーカー・販売等の一次流通企業、公的機関等のさまざまなパートナー様と協力し、リユースだけでなくさまざまな環境価値を創出・可視化し、さらにはそれが経済的な価値につながっていくような仕組み・ビジネスの実現にも取り組んでまいります。
小西祥文(UTEconアドバイザー 慶応義塾大学経済学部教授)、
渡辺安虎(UTEcon取締役 東京大学大学院経済学研究科及び公共政策大学院教授) のメッセージ
サステナブルな未来に向けて企業が目指すべき「真の企業価値」とは何か?そのような企業価値を考える上で、環境への貢献度やリユースの価値をどう測るのが正しいのか?いずれも経済学の学知が役立つ問題でありながら、必ずしも経済学の知見が確立されていない難題です。オークネット社のGCVの取り組みは、サステナブルな未来に向けて社会を一歩前進させるために、難題であることを十分に認識しつつ、この難題に真正面から向き合った企業努力の成果だと考えます。一部の算定方法に限界はあり、算定された価値に学術的な不確実性は存在するものの、基本的な考え方と算定方法は現時点における経済学の知見と整合的であり、サステナブルな未来に向けた正しい企業努力の第一歩として高く評価したいと思います。
※1: 第三者保証書の詳細URL
https://www.aucnet.co.jp/sustainability/img/third_party_warranty_report.pdf
“環境” に与えた影響額には、サプライチェーンによる温室効果ガス排出量(Scope1・2・ 2 3)およびオークネット独自で算出した「機会(リユース品の流通による潜在的な温室効果ガス排出減少量やオンラ イン市場による潜在的な温室効果ガス排出減少量)」と「リスク(オークションで取引された商品の輸送の際 に発生した温室効果ガス排出量)」が含まれます。
※2:環境に与えた影響の貨幣価値の算出方法
環境への純効果に内部炭素価格(Internal Carbon Price; ICP)を乗じて算出され、環境への純効果は、オークネットが主にBtoBの領域で手掛ける、中古車、中古デジタル機器、ブランド品、花き、中古バイク、中古医療機器等の多様な商品のリユース流通事業による潜在的なGHG排出削減量(①新規生産の抑制・②廃棄物の減少)とオンライン市場による潜在的なGHG排出削減量(③輸送距離の短縮・④人の移動減少)から、オークネットの事業活動によるGHGの実排出を差し引いて計算されています。
【UTEcon 概要】
2020年8月に東京大学大学院経済学研究科との深い連携のもと、指定国立大学法人の特定研究成果活用事業制度に基づき東京大学により設立。
経済学、会計学、マーケティング等に関する専門知識を有する東京大学の教員をはじめとする国内外のUTEconのエキスパートが信頼性の高い分析を行い、需要予測、価格戦略、政策評価、機械学習に基づいた倒産や不正会計予測、マーケットデザイン、ナウキャスティング、独占禁止法等の法規制、計量・行動マーケティングなど幅広い分野で研究成果を活用したコンサルティングを行っている。
社名:東京大学エコノミックコンサルティング株式会社
本社:東京都文京区本郷7-3-1 国際学術総合研究棟922号室
代表者:代表取締役社長 川原田 陽介
設立:2020年8月
URL:https://utecon.net/
【オークネット会社概要】
社名:株式会社オークネット
本社:東京都港区北青山二丁目5番8号 青山OMスクエア (〒107‐8349)
代表者:代表取締役社長CEO 藤崎 慎一郎
創業年月日:1985年6月29日
資本金:1,807百万円 (2022年12月31日現在)
連結売上高:40,455百万円(2022年12月期)
連結従業員数:860名(2022年12月31日現在)
事業内容:インターネットを利用したオークションの主催および運営等の情報流通支援サービス事業
株式:東証プライム(証券コード:3964)
URL:https://www.aucnet.co.jp/
■本件に関するお問い合わせ
株式会社オークネット
サステナビリティ委員会 藤原、利根川、長谷川
MAIL:sustainability_aucnet@ns.aucnet.co.jp
■本件に関する報道関係者様からのお問い合わせ
株式会社オークネット 新井、伊藤、新(しん)
TEL:03-6440-2530 MAIL:request@ns.aucnet.co.jp
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