UWB干渉抑制技術が国際標準規格「IEEE 802.15.6-2026」に採用
低遅延・安定の無線通信技術で、モビリティやウェアラブル機器など多様な分野に応用

株式会社デンソーテン(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:米本 宜司)が提案したUWB (Ultra Wideband)※1無線の干渉抑制技術が、国際標準規格「IEEE 802.15.6-2026」に採用されました。当社は、車両内のワイヤーハーネス※2を無線化することで、車両の軽量化・省スペース化・省資源化を実現し、次世代モビリティの高度化に貢献する技術開発に取り組んでいます。今回の国際標準採用を契機に、UWBチップメーカーをはじめとする関係各社との連携を一層強化し、本技術の社会実装を加速していきます。
■IEEE 802.15.6-2026の概要
本標準規格は、2012年に策定された人体向け無線通信規格「IEEE 802.15.6-2012」を拡張し、車載分野を対象に加えたUWB無線通信規格です。車両や人体に配置された複数のデバイス(センサー、アクチュエーターなど)間の無線通信であるBAN(Body Area Network)※3での利用を想定しています。今後、モビリティやウェアラブル機器の普及により、多数のBANが近接して動作する利用シーンの増加が見込まれています。一方で、BAN同士の電波干渉により、通信遅延や不安定化が生じることが課題となっています。こうした周波数を共用する無線機器間の混信・干渉環境下でも高い信頼性を確保するため、高信頼無線BANの新規格「IEEE 802.15.6ma」が2026年に採択され、「IEEE 802.15.6-2026」として規格化されました。
■採択された技術の特長
従来のBAN間干渉対策では、データパケットの衝突を回避するハイブリッドMACプロトコル※4が用いられてきました。しかし、多数のBANが近接する環境では通信待ち時間が長くなるという課題がありました。そこで、当社は、UWB通信フレームの先頭に配置されるプリアンブルコードの準直交性※5に着目し、複数のBANが同時に通信可能な方式を提案しました。本方式により、BAN間の干渉を抑制しつつ通信待ち時間を短縮でき、低遅延で安定した通信周期を実現します。これらの有効性が評価され、本技術は「IEEE 802.15.6-2026」の技術基準として採用されました。
■今後の展開
当社は、ワイヤーハーネスの無線化を起点とした本技術により、車両内配線の削減による軽量化・省スペース化に加え、設計自由度や拡張性の向上を実現し、実用化・製品化に向けた取り組みを加速していきます。
また、SDV(Software Defined Vehicle)向けの後付け機器をはじめ、車載用途にとどまらず、モビリティの枠を超えた分野への展開も視野に入れています。具体的には、ウェアラブル機器や見守り用途、高齢者施設・介護施設向けシステムなど、人に身近な分野での多様な無線製品・サービスへの応用を想定しています。当社は今後も、UWB無線技術を通じてワイヤーハーネスレスの実現を推進し、モビリティ業界における新たな価値創出に貢献していきます。
■「IEEE 802.15.6-2026のTask Group 802.15.6ma」議長 河野隆二様コメント
駐車場内で隣接する車両間で複数BANの通信領域が重なる場合や、BANを身につけた複数の乗客が混み合う場合などで、電波干渉により生じる誤りに対して有効な新規技術です。今後、普及した環境下での高信頼性確保の鍵となる要素技術となります。
※1 UWB(Ultra Wideband): 比帯域幅が中心周波数の20%以上、または500MHz以上の極めて広い帯域幅を利用して送受信を行なう超広帯域無線通信方式。
※2 ワイヤーハーネス: 電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にして集合部品としたもの。
※3 BAN(Body Area Network): 人体の周辺に配置されたセンサーやアクチュエーターを、数メートル程度の近距離無線通信で接続するネットワーク。医療分野では、体内に埋め込むインプラント機器や身につけて使用する心電計、カプセル内視鏡などを接続するHuman BAN(HBAN)を指す。車両分野では、車室内外に配置された各種車載センサー・アクチュエーターを無線接続するVehicle BAN(VBAN)を指す。
※4 ハイブリッドMACプロトコル: センサノードなどからの複数のデータパケットの衝突(コンテンション)を避けるためのメディアアクセス制御(Medica Access Control: MAC)技術。事前にパケット毎に時間スロットを割り付け予約するコンテンションフリープロトコルと、キャリアセンスなどによりパケット衝突を検知した場合に再送するコンテンションアクセスプロトコルを1フレーム内で期間を分けて組み合わせたプロトコル。
※5 プリアンブルコードの準直交性: 複数のデータパケットからなるフレームの先頭を検出するためのプリアンブルに使われる識別コード(プリアンブルコード)が、共存するBAN毎にできるだけ直交するような相関特性にすることにより、同一時刻に同一周波数のフレームが重なっても分離できる特性。第3世代(3G)携帯電話に採用されたCDMA(符号分割多元接続)と同様。
今回の取り組みを通じて、以下のSDGsの達成を目指します。



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