国内の筋力トレーニング推計人口は約1,629万人。2000年と比べ倍増も、コロナ禍以降は低調。
スポーツ・フォー・エブリワンを推進する笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区赤坂 理事長:渡邉一利 以下:SSF)では、1992年から隔年で「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」を実施しています。全国の18歳以上を調査対象に、頻度・時間・運動強度からみた SSF独自の指標である「運動・スポーツ実施レベル」をはじめ、スポーツ観戦率やスポーツボランティア実施率、好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
最新の2024年調査では、20歳以上の年1回以上・筋力トレーニング実施率は15.9%、推計実施人口は約1,629万人となりました。
▼公式ウェブサイト
https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/data/workout.html

■調査結果のポイント
1. 年1回以上の筋力トレーニング実施率:15.9%
2000年(7.3%)から2020年(17.6%)右肩上がりに上昇も、2022年(15.9%)は減少に転じた。
2. 年1回以上の筋力トレーニング推計実施人口:約1,629万人
2000年(約726万人)から2倍以上増加。2020年(約1,820万人)からは減少。
3. 20歳代:22.9% → 2020年(29.7%)から減少傾向。特に20歳代女性で顕著。
4. 70歳以上:12.4% → 2020年(11.7%)から微増。2000年(1.4%)からは大幅に増加。
■研究担当者コメント
筋力トレーニング実施率は2000年以降、近年まで右肩上がりで増加してきた。2000年当時のフィットネス業界ではターゲット層の拡大に向けた業態開発が大手企業を中心に積極的に行われ始めていた。マイクロジムやパーソナルトレーナーといったオーダーメイド型のトレーニングにも注目が集まったが、現在ではそうしたコアユーザーだけでなく、実施頻度の低いライトユーザー向けの低価格サービスも展開され、より気軽に筋力トレーニングを実施できる環境が整いつつある。
しかし、昨今の実施率をみると2020年から2022年にかけて全体として減少傾向にある。20~30歳代の若年層、特に20歳代女性で顕著であり、コロナ禍に始めた人たちの多くが継続的な実施には至っていないとみられる。2024年も前回から大きな変化はないが、50歳代では男女ともに2020年から緩やかな減少が続いている。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では成人および高齢者に対して週2~3日の筋力トレーニング実施を推奨すると同時に、その目的は運動機能の維持・増強から疾病予防まで幅広いことから、個人の特性や能力に合わせた「個別性の原則」の重要性を唱えている。しかし実際には、自身の運動能力や目的に見合った方法がわからず二の足を踏んでいる人や思うように継続できず途中でやめてしまう人も一定数いると推察される。
【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー 水野 陽介】
<主な調査結果>
■年1回以上の「筋力トレーニング」実施率と推計実施人口(万人)の年次推移:全体・性別
全体の年1回以上の実施率は15.9%であった。2000年(7.3%)から2020年(17.6%)までは20年間にわたって右肩上がりに上昇した。しかし2022年(15.9%)は減少に転じて2018年ごろの水準まで落ち込み、2024年も横ばいとなっている。
性別にみると、総じて女性よりも男性のほうが高いものの2020年までは男女ともに上昇していた。特に女性は2000年の4.4%と比べて約3.5倍の16.2%まで増加した。2024年は男性の増加(前回比0.4ポイント増[18.9%→19.3%])に対して女性は減少(前回比0.5ポイント減[12.9%→12.4%])し、いずれも僅差ではあるものの男女で異なる傾向がみられた。2000年と2024年で比較すると全体で8.6ポイント増(7.3%→15.9%)となり、この四半世紀の間に性別を問わず広く浸透が進んだものとみられる。
年1回以上の推計実施人口を算出すると、2024年では約1,629万人 が筋力トレーニングを実施しているとみられ、2000年の約726万人から2倍以上増加した。男性の推計実施人口は約955万人、女性では約657万人となり、2000年と比較すると男性で約2倍、女性では約3倍に増加した。
表1. 年1回以上の「筋力トレーニング」実施率と推計人口の年次推移:全体・性別(20歳以上)

注1)図の人口は住民基本台帳の20歳以上人口に、実施率(%)を乗じて算出
注2)推計値を算出する際に端数が発生するため、全体の人口と男性・女性を合計した人口は一致しない
■年1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移:年代別
年代別に年1回以上の実施率をみると、2018年までは全ての年代で実施率は上昇傾向にあったが、2020年以降は年代によって推移に違いがみられる。2022年は60歳代を除くすべての年代で減少したが、2024年は30歳代(17.6%→19.6%)、40歳代(15.8%→17.0%)、70歳以上(10.7%→12.4%)が増加したのに対し、20歳代(23.3%→22.9%)、50歳代(16.8%→15.5%)、そして2022年に唯一増加した60歳代(13.3%→9.9%)も減少した。これにより70歳以上が60歳代の実施率を2.5ポイント上回る結果となった。
表2. 年1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移(2000~2024年):年代別(20歳以上)

■年1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移:性別×年代別
性・年代別で2022年と2024年の年1回以上実施率を比較してみると、男性では20~40歳代で増加した。女性では2000年代以降、20歳代、40歳代、50歳代が減少傾向にある。 一方で30歳代が増加したため30~50歳代の実施率はほぼ横並びとなった。また男女ともに70歳以上では増加がみられる反面、2022年に増加傾向だった60歳代は減少に転じた。
表3. 年1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移(2000~2024年):性・年代別(20歳以上)

【「スポーツライフ・データ2024」調査概要】
調査内容:運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・同好会・チーム、スポーツ観戦、スポーツボランティア、日常生活における身体活動、生活習慣・健康 他
調査対象:全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性: 1,498人、女性1,502人)
地点数:300地点(大都市90地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村24地点)
調査時期:2024年6月7日~7月7日
※スポーツライフに関する調査報告書「スポーツライフ・データ2024」に関するプレスリリースは2025年4月にご案内済
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