フォルシア・京都大学共同研究 多様な業界へのダイナミックプライシング導入を推進する基礎理論を構築
~国際学術誌「Scientific Reports」に掲載~
フォルシアと京都大学は、様々な商材において発生する需給バランスの不整合がもたらす社会課題(機会損失、在庫ロス)の解消を目的として、2018年から4年間に渡って需給状況に応じた最適価格設定(ダイナミックプライシング)についての共同研究を進めてきました。本研究の中で、両者はホテル、レンタカー、美容院など様々な実際のブッキングカーブ(予約曲線)の中に、普遍的な数理法則―指数法則―が成⽴することを発⾒しました。
このほど発表した研究論文では、ホテル・旅館をはじめとした予約を要するサービス産業における人々の予約パターンに普遍的な数理法則が存在することを証明しました。顧客の行動特性を、指数関数への類似性で分類し、顧客ごとの行動パターンの違いを当日に向けた予約数の累積時系列を表した曲線(ブッキングカーブ)に落とし込むことで、人々の予約パターンが業界・市況によらず指数関数的であることを統計的に立証しました。これは、業種、市況に依らずに成り⽴ち、指数法則を特徴付けるパラメーターによって、ビジネス環境の中での競争⼒、顧客の特徴といった通常数値化することが困難な特性を定量化する新たなマクロ指標を構築できる可能性を示すものです。
サービスの予約行動に関する経済物理学的なアプローチ、すなわち、実データの解析と市場原理のモデル化の両面から証明に成功した例は世界でも類を見ません。ブッキングカーブには、曜日やシーズナリティに加え、競合他社やイベント状況まで、全ての需給状況が予約の集積として反映されます。本法則の証明は、在庫数と販売期限を持つあらゆる業界のプライシングで使える汎用的技術の基礎理論として、鉄道を始めとする公共インフラなど従来ダイナミックプライシングが適用されてこなかった業界への社会実装が期待されます。
【論文概要】
タイトル:Average booking curves draw exponential functions(平均的な予約曲線は指数関数を描く)
著者:Masaru Shintani and Ken Umeno
掲載誌:Scientific Reports(https://www.nature.com/articles/s41598-023-42745-3)
要旨:
コロナ禍前後2年分のホテルやレンタカー施設の全予約データを集積し、ブッキングカーブについて分析調査
経済物理学観点から、均衡した需給状況において平均ブッキングカーブが指数関数的になることを理論的に証明
需給変動とブッキングカーブの指数関数性の関係をモデル化、理論モデルの実データによる裏付けを証明
【参考情報】
京都大学との共同研究で「汎用ダイナミックプライシング技術」の新技術を発明 ~顧客の属性等を考慮した高精度アルゴリズムによる実用化へ~(2022年9月30日)
https://www.forcia.com/news/2022/09/30.html
京都大学との共同研究「汎用ダイナミックプライシング技術」で特許を取得(2022年8月5日)
https://www.forcia.com/news/2022/08/05.html
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