インベスコ、14 回目となるソブリン投資家へのグローバル調査結果を発表
不確実性が高まる中で、ソブリン投資家はレジリエンス・イノベーション・分散を重視
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中央銀行の71%、ソブリン・ウェルス・ファンドの54%が、ポートフォリオ設計においてレジリエンス(回復力)はリターンと同等に重要になりつつあると回答
インフラは、ソブリン・ウェルス・ファンドにとって過去5年間で最も成長しているオルタナティブ資産クラス
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ETFの採用はソブリン投資家の間で重要な水準に達しており、39%が活用。ただし、中央銀行とソブリン・ウェルス・ファンドでは、同じETFでも根本的に異なる目的で利用
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ソブリン・ウェルス・ファンドはAIを構造的変化と捉える一方、52%がAI関連投資における最大のポートフォリオリスクとして市場における集中度の高まりを指摘

ロンドン、2026 年6 月 29 日 – 第14回インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディによれば、約29兆米ドル(4,613兆円)*を運用するソブリン投資家は、ポートフォリオ構築の包括的な見直しに着手しています。本調査結果は、より複雑化する投資環境の中で、中央銀行およびソブリン・ウェルス・ファンドがレジリエンス、リターン、分散投資のバランスをどのように捉えているかに関して、根本的な変化が生じていることを浮き彫りにしています。
本調査は、90のソブリン・ウェルス・ファンドと54の中央銀行からなる計144の機関を対象に実施され、現在の地政学的環境がソブリン投資家の思考様式に変化をもたらし、かつてないスピードで投資戦略の見直しを促していることが示されています。グリーンランドを巡る米欧間の緊張、ウクライナ紛争の長期化、中東における新たな不安定化など、エネルギー安全保障、貿易ルート、サプライチェーンに直接影響を及ぼす複雑なリスクが存在しています。こうした要因が、レジリエンスと分散を重視したポートフォリオ構築への抜本的な再考を促しています。
レジリエンスがポートフォリオ設計の中核へ
レジリエンスは、分散投資の副次的な成果としての位置付けから、ポートフォリオ構築における明確な目的へと位置付けが変化しています。中央銀行の71%、ソブリン・ウェルス・ファンドの54%が、ポートフォリオ設計においてレジリエンスの重要性がリターンと同等に高まっていると回答しています。この傾向はポートフォリオのモニタリング手法にも反映されており、リスクの集中度分析やシナリオ分析が評価フレームワークの中核を占めるようになっています。中央銀行の82%がリスクの集中度のモニタリングを実施し、76%がシナリオ分析を活用しているほか、ソブリン・ウェルス・ファンドでも65%がリスクの集中度のモニタリングを実施し、62%がシナリオ分析を活用しています。
資金配分は、レジリエンスとリターンの双方を兼ね備えた資産へとシフトしています。エネルギー安全保障およびエネルギー転換に関連するインフラは、ソブリン投資家の80%が最も信頼できるレジリエンステーマと位置付けており、AIの普及拡大に伴う電力やデータインフラ需要の急増がこれを後押ししています。
レジリエンスへの対応は、ポートフォリオの枠を超えて広がっています。複数の機関では、米国を拠点とするカストディアンやカウンターパーティ、決済インフラへの依存度の見直しを進めており、一部ではすでに代替手段の構築に着手しています。5年前には、資産のカストディ先が戦略的な検討事項となることはほとんどありませんでしたが、2026年時点では重要な検討課題として位置付けられています。
インベスコでヘッド・オブ・グローバル・リサーチを務めるベンジャミン・ジョーンズは次のように述べています。「ソブリン投資家における最大の変化は、レジリエンスを『あれば望ましい要件』ではなく、『必須要件』へと考えを変えた点です。インフレショック、地政学的分断、市場集中の進行といった環境下で、投資家は従来の分散投資の前提を見直し、より多様なシナリオに耐え得るポートフォリオの再構築を進めています。流動性、ガバナンス、シナリオ分析、そして資産への運用アクセスといった要素が重視されています。これらの投資家は、次に起こるショックの予測や長期投資の放棄を目指しているのではなく、不確実性が高い世界においても機能する、より持続的な長期投資を実現するために、幅広いシナリオ下で耐久性を発揮するポートフォリオの構築を目指しているのです。」
より厳しさを増す環境下における長期投資
不確実性が高まる環境において、長期投資の重要性は一段と高まっていますが、実務面でそれを維持することはより困難になっています。ソブリン・ウェルス・ファンドの約40%は、実際の投資期間が想定している投資期間を下回っていると回答しており、とりわけ投資ソブリンおよび債務ソブリンの間で乖離が大きく見られます。流動性プレミアムや長期投資リターンの獲得は、機関投資家が標榜する忍耐強い資金運用の実行に依存しており、現実にはそれが十分に達成されていないケースもあると考えられます。
こうした環境の下、資金は集中度の高い上場株式からの分散を進めています。ソブリン・ウェルス・ファンドの65%がプライベート市場を主要なリターン源と位置付けており、特にインフラとプライベートクレジットへの配分拡大が顕著です。
インフラ投資は2026年時点でソブリン・ウェルス・ファンド資産全体の9.0%に達し(2022年の4.9%から上昇)、過去5年間で最も成長したオルタナティブ資産クラスとなりました。地域を問わず、インフラ投資は脱炭素化、再生可能エネルギー、デジタルインフラ、データセンターといったテーマに支えられており、生産性向上と長期的な経済成長への寄与が期待されています。
拡大するETFの役割
2025年末時点で、世界のETF資産残高は約19.5兆ドルに達し、過去20年間にわたり年率約15%で成長しています(出所:ETFGI)。ETF市場は、従来のパッシブ株式にとどまらず、債券、アクティブ運用、テーマ型戦略へと大きく拡大しています。
こうした成長の背景には、機関投資家による柔軟性、流動性、運用効率へのニーズの高まりがあります。中央銀行およびソブリン・ウェルス・ファンドは従来、ETF市場の主要なプレーヤーではなく、個別性の高い直接投資やカスタマイズ型の運用を重視してきましたが、現在では採用が加速しており、回答者の39%がETFを利用するなど、一定の普及段階に達しています。
ETFの採用状況はソブリン投資家の分類**によって大きく異なります。投資ソブリンの58%、債務ソブリンの53%がETFを活用しているのに対し、中央銀行では31%にとどまり、開発ソブリンは24%と最も選択的です。これは、上場商品よりも直接投資や戦略的出資、アクティブな関与ができるマンデートを重視する傾向を反映しています。
中央銀行にとって、ETFは内部リソースや運用インフラ、オペレーションの負担を増やすことなく投資機会にアクセスする手段となっています。中央銀行の67%はETFを戦略的エクスポージャーの獲得に活用している一方、ソブリン・ウェルス・ファンドは戦術的資産配分(64%)や流動性管理(52%)への活用を重視しています。重視される要因も異なり、中央銀行では使いやすさ(82%)が最重要視される一方、ソブリン・ウェルス・ファンドは透明性と流動性を優先しています。
両者ともに、パッシブ株式およびパッシブ債券ETFが依然として主流である一方、テーマ型ETFは特にソブリン・ウェルス・ファンドにおいて存在感を高めています。コモディティETFは中央銀行にとって特定の用途を持ち、現物保有に伴うオペレーション負担を伴わずに金へのエクスポージャーを確保する手段として活用されています。
ただし、アクティブETFの採用は依然として初期段階にあり、多くの機関で導入には至っていません。ソブリン・ウェルス・ファンドのうち既に配分を行っているのは7%にとどまるものの、さらに26%が導入を検討しています。
インベスコ 中東・アフリカ地域責任者ジョゼット・リズクは次のように述べています。
「ソブリン投資家のポートフォリオにおいて、ETFはより広範かつ明確な役割を担うようになっています。中央銀行は新たな資産クラスへの効率的なアクセス手段として活用する一方、ソブリン・ウェルス・ファンドは戦術的な柔軟性やターゲット型のエクスポージャー確保の手段として利用しています。特にアクティブ運用やESG戦略における採用は依然として限定的ですが、その方向性は明確です。ETFは単なる実装ツールから、ポートフォリオ構築に組み込まれた重要な構成要素へと進化しつつあります。」
AI:投資機会と運用ツール
AI(人工知能)は、ソブリン・ウェルス・ファンドにとって重要性と難しさが同時に高まるテーマの中心にあります。その構造的な重要性に対する確信は非常に高く、77%が長期的に大きな成長をもたらす変革的技術と認識しており、その経済的影響に疑問を呈する回答はわずか2%にとどまっています。しかしながら、その確信を明確なポートフォリオエクスポージャーに落とし込むことは容易ではありません。
AIの投資機会はソフトウェア領域を超えて、物理インフラ、エネルギーシステム、国家の産業基盤へと広がっています。こうした中、ソブリン・ウェルス・ファンドの52%が、AI関連投資における最大のポートフォリオリスクとして市場における集中度の高まりを挙げています。
投資対象としては、インフラおよび生産性向上を支える領域が選好されており、いずれもソブリン・ウェルス・ファンドの69%が最も魅力的な長期テーマと認識しています。また、AIインフラの次の拡張局面における最大の制約はエネルギー供給であると見られており、今後の展開はテクノロジーだけでなく、エネルギーの確保や地域的な供給能力にも大きく左右されると考えられます。
一方、組織内部におけるAI活用は急速に拡大しており、投資プロセスにAIを活用しているソブリン・ウェルス・ファンドは2024年の33%から69%へと倍増しました。主な用途はリサーチや情報統合ですが、オペレーション効率の向上、アイデア創出、意思決定支援などにも広く活用されています。
分散投資を模索する中央銀行
中央銀行における外貨準備運用は、インフレの進展、地政学的分断、市場環境の変化を背景に構造的な転換期を迎えています。株式、社債、インフレ連動債といった資産への配分拡大傾向が見られ、ガバナンスや規制上の制約が存在する中でも、従来の債券偏重からの脱却を模索している姿が読み取れます。
米ドルに対する懸念も強まっており、中央銀行の61%が米国の債務水準がドルの基軸通貨としての長期的地位に悪影響を及ぼしていると認識しています(2024年の20%から大幅上昇)。ただし、現実的な代替通貨が存在しないことから、ドルからの分散は段階的なものにとどまっています。
こうした流れの中で、金は恩恵を受ける主要資産の一つとなっており、引き続き中央銀行の外貨準備戦略の中核的な位置を占めています。3分の1超の中央銀行が今後3年間で金の配分を拡大する意向を示しています。この背景にはインフレヘッジとしての役割が重視されており、その比率は2025年の35%から2026年には72%へと大きく上昇しています。また、金は伝統的に地政学リスクへのヘッジ手段としての役割も引き続き評価されています。
本レポートでは、過去の不確実性の局面から得られる教訓として、分散された資産への投資を継続する重要性を改めて示しています。レポートでより詳細な解説をしています。是非、ご一読頂ければ幸いです。
詳細は下記から御確認いただけます。
インベスコ・グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ 2026 WEBサイト
「第14回 インベスコ・グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ 2026年(英語版)」へのリンク:
インベスコ・グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ 2026 レポート(PDF)
注記: インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディの発行は 2013 年に始まり、今回で14回目となります。本調査は、ソブリン・ウェルス・ファンドと中央銀行の投資動向について詳細な分析を提供するものです。今年の調査では、90のソブリン・ウェルス・ファンドと 54 の中央銀行の投資責任者、資産クラスの責任者、シニア・ポートフォリオ・ストラテジスト、計 144 名への個別面談調査を行いました。2026年のソブリン・ウェルス・ファンドのサンプルは、3 つの主要なセグメンテーション・パラメータ(ソブリン投資家セグメント、地域、運用資産規模)に分類されています。2026年の中央銀行のサンプルは、地域別に細分化されています。本調査のためのフィールドワークは、NMG によって 2026 年 1 月から 3 月にかけて実施されました。 NMG コンサルティング提供:サンプル対象者の総資産は 2026 年 3 月時点で 29兆ドル。(1 米ドル 159.09円換算で 4,613 兆 円)
*為替レートは2026年3月末基準、159.09円/米ドルで換算、WMロイターのレートに基づく。
**ソブリン投資家分類について
ソブリン投資家は、その目的によって分類され、レポートでは以下のように定義しています。
投資ソブリン
投資ソブリンは、資金調達を目的とする特定の負債を保有 していません。これは通常、このセグメントが特に長期的な投資期間と、非流動性資産やオルタナティブ資産クラスへの高い許容度を前提としていることを意味します。長期投資のリターン目標は高くなる傾向があり、これは追加的なリターンプレミアムを獲得する能力を反映しています。
債務ソブリン
一方、債務ソブリンは特定の債務の資金調達を目的としており、債務ソブリンは、既に債務の資金調達を行っているソブリン(流動債務ソブリン)と、債務の資金調達要件がまだ将来に及ぶソブリン(部分債務ソブリン)に細分化されます。債務ソブリンは一般的に、資金調達対象の債務のデュレーションに合わせてポートフォリオを構築しようとします。資金調達要件がまだかなり将来に及ぶソブリンは、そのアプローチにおいて投資ソブリンに類似しています。現在多額の資金調達要件を抱えているソブリンは、依然として多様な長期ポートフォリオを保有する傾向がありますが、より流動性と利回りが高くなる傾向があります。
流動性ソブリン
流動性ソブリンは、経済ショック発生時のバッファーとして機能するように運用されます。最も一般的には、為替レートの変動が激しい新興市場や、商品価格の変動に大きく影響される資源依存型経済に所在しています。これは、予測可能な資金配分と迅速な対応が重視されるためです。流動性ソブリンは、投資期間がはるかに短く、リターンよりも流動性を重視して投資を行います。
開発ソブリン
ソブリン投資家セグメンテーション開発ソブリンは、部分的にだけポートフォリオ投資家として活動します。彼らの主な目的は、ポートフォリオのリスクとリターンの最適なバランスを取ることではなく、国内経済の成長を促進することです。これは、地域経済の発展と雇用の拡大に大きく貢献する企業への戦略的投資によって実現されます。彼らは、戦略的投資の規模と特性の影響を受けるその他の資産を用いて、ポートフォリオ戦略を追求します。
中央銀行
中央銀行は、自国経済において、政府への銀行業務、通貨の発行、短期金利の設定、マネーサプライの管理、銀行システムの監督など、幅広い国内的役割を担っています。また、中央銀行は対外的にも幅広い役割を担っており、これには外国為替政策や、輸入代金/輸出代金の受取、政府の海外借入といったオペレーションの管理が含まれます。 中央銀行は、これらの機能を支え、信頼性を確保するために、多額の準備金を保有しています。これらの準備金は、 伝統的に、資本保全と流動性確保を優先して運用されてきました。
インベスコについて
インベスコ・リミテッド(以下、「インベスコ」)は、グローバルな運用力を提供する世界有数の独立系資産運用会社です。インベスコは、グローバル市場で培った特色ある運用力を強みとするブランドを傘下に収め、世界中の個人投資家、機関投資家などの顧客の資産運用ニーズに対し、グループの総合力を結集して包括的な解決策を提供しています。インベスコは、世界20ヵ国以上に拠点を置き、ニューヨーク証券取引所に上場しています(証券コード:IVZ)。インベスコに関する詳しい情報は、ウェブサイト(英語)で入手することができます。
https://www.invesco.com/corporate/en/home.html
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インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、グローバルな運用力を提供する世界有数の独立系資産運用会社インベスコの日本拠点です。インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、内外の公的年金・企業年金、事業法人、銀行や保険会社など機関投資家を対象に、株式や債券などの伝統的な投資戦略からオルタナティブなど非伝統的な投資戦略まで幅広い商品およびサービスを提供しています。また、銀行・証券会社・保険会社などを通じて個人投資家向けの投資信託およびサービスを提供しています。インベスコ・アセット・マネジメント株式会社に関する詳しい情報は、ウェブサイトで入手することができます。
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