日本赤十字看護大学附属災害救護研究所 キックオフセミナーを開催
~日赤の知見を活かした災害救護の研究を通じて、被災者の苦痛の予防と軽減を目指します~
そのキックオフイベントとして、3月26日(土)に日本赤十字看護大学(渋谷区広尾)にてセミナーを開催。今後の災害救護について、またその発展に向けての取り組みや研究所への期待等を、各界の専門家の皆さまと共に考えました。
13時から日本赤十字看護大学広尾ホールで開催されたセミナーには、会場とオンライン合わせて約360人が参加しました。
まず、研究所の各部門長が、今後の研究目標などについて発表。続いて、6名の専門家からは、「災害救護の展望と災害救護研究所への期待」についてお話をいただきました。
シンポジウムにおいて、四天王寺大学看護学部・大学院看護学研究科教授の山本あい子氏は「各部門で既存の資料・知識を集約・統合をしていき、公開されていくことを期待している。赤十字内では当たり前と思っていることが、他では知られていないことであったりもする」とコメントをしました。
また、国立病院機構災害医療センター臨床研究部部長・国立病院機構本部DMAT事務局長の小井土雄一氏は「国内外共に組織を有する団体のため、その強みを生かした研究を行い、併せて人材育成に取り組んでもらいたい」とコメントをしました。
研究所は、災害救護、心理社会的支援など10部門(設置予定を含む)で構成され、これまでにはなかった各部門の横軸の連携による発展も期待されます。
今回のキックオフセミナーを機に、研究所の活動が我が国の災害救護を牽引し、日本赤十字社が災害救護において「要」の団体として貢献し続ける力となることを目指して、本格的な活動が始動します。
研究所設立の目的 |
赤十字の救護活動を中心とする諸活動等で得た知見を広く社会に発信・還元するとともに、災害救護に関する研究・教育活動を通じて、我が国の救護の質・量の向上と活動領域の拡大に寄与することで、人々の尊厳を守り、被災者の苦痛の予防・軽減に資することを目的としています。
目標 |
- 赤十字の有する災害救護の知見を集約し、実務的に利用可能な形に発展させる。
- 新たな知見・技術に関する研究を実施するとともに、日赤の活動に還元し、我が国及び国際赤十字の災害救護の発展に貢献する。
- 主要な関連学会等において積極的に研究成果の情報発信を行うとともに、これら学会等の運営に積極的に貢
献する。
主な活動内容 |
- 災害救護に関する調査研究活動
- 災害関連の研究及び教育成果の積極的な発信
- 災害関連に関する教育活動
- 日本赤十字社(救護・福祉部等)から委託された業務の実施
- 災害関連の主要な学会等における研究成果発表及び、これら学会等の運営にかかる主要な立場からの積極的な参画
各部門紹介 ※設置予定も含む |
1.災害救護部門 部門長:中野 実(前橋赤十字病院 病院長) |
【主な災害対応履歴等】
2004年 中越地震の救援(救護班長)
2008年 岩手・宮城内陸地震の救援(救護班長)
2011年 東日本大震災の救援(群馬県DMAT調整本部長)
【研究目的】
医療救護に関する研究と教育を実施して災害救護の発展に貢献する
2.国際医療救援部門 部門長:中出 雅治(大阪赤十字病院 国際医療救援部長) |
【主な災害対応履歴等】
1995年 阪神淡路大震災の救援
2003年 スーダン内戦への派遣
2004年 中越地震の救援及びスマトラ沖地震への派遣
2005年 福知山線脱線事故の救援
パキスタン北部地震への派遣
2006年 ジャワ中部地震への派遣
2007年 中越沖地震の救援
2011年 東日本大震災の救援2016年 熊本地震の救援
【研究目的】
長年の日赤の海外医療支援の知識と経験を活かして未来に寄与する
3.災害看護部門 部門長:内木 美恵(日本赤十字看護大学 国際・災害看護学教授) |
【主な災害対応履歴等】
2004年 イラン南部地震への派遣
2005年 スマトラ沖地震津波への派遣
2010年 北部ウガンダ母子保健事業への派遣(母子保健専門家)
2011年 東日本大震災の救援(こころのケア班)
2012年 福島第一原発被災者の住民支援活動
【研究目的】
被災者の健康と生活に関する研究を行い災害救護・減災に寄与する
4.防災減災部門 部門長:白土 直樹(日本赤十字社 総務局総務企画部 次長) |
【主な災害対応履歴等】
1995年 阪神・淡路大震災の救援(本社派遣要員)
2002-2004年 ベトナム・マングローブ植林を通じた防災事業担当
2004年 新潟県中越地震の救援(本社派遣要員)
2011年 東日本大震災の救援・復興(岩手心のケア活動調整要員・福島県支部災害対
策本部支援)
2005-2010年 スマトラ島沖地震・津波災害の支援(復興支援事業担当)
2009-2010年 インドネシア・スマトラ島パダン沖地震・津波災害の支援(復興支
援事業担当)
2011-2018年 本社救護・福祉部救護課長・次長として日赤防災教育事業の立ち上
げ、熊本地震対応等を担当
【研究目的】
自助・共助の力を高め実用に資する防災・減災のあり方を追求する
5.国際救援部門 部門長:佐藤 展章(日本赤十字社 事業局国際部 国際救援課長) |
【主な災害対応履歴等】
2013年 フィリピン中部台風への派遣
2014年 エボラ出血熱(リベリア等)への支援
2015年 ネパール地震への派遣
2017年 バングラデシュ南部避難民への派遣
【研究目的】
日本から世界へ、世界から日本へ、災害や危機に向き合う力を高める
6.心理社会的支援部門 部門長:森光 玲雄(諏訪赤十字病院 臨床心理課長) |
【主な災害対応履歴等】
2011年 東日本大震災の救援(こころのケア班)
2013年 フィリピン台風災害の救援(こころのケア部門)
2014年 御嶽山噴火災害の救援(こころのケア班)
2015年 ネパール地震への派遣(こころのケア部門)
2016年 熊本地震の救援(こころのケアコーディネーター)
2017年 ウクライナ紛争避難民こころのケア支援プロジェクトのモニタリング
【研究目的】
災害時の心理社会的支援の発展と変革に寄与する
7.感染症部門 部門長:古宮 伸洋(日本赤十字社和歌山医療センター感染症内科部長) |
【主な災害対応履歴等】 ※国内災害対応を除く
2014年 フィリピン中部台風への派遣
2014年 エボラ出血熱(リベリア)への派遣
2015 年 ネパール地震への派遣
2016 年 中東難民(ギリシャ)への派遣
2017年 コレラ(ソマリア)への派遣
2017-2018 年 バングラデシュ南部避難民事業への派遣(合計3回)
2018年 インドネシア・スラウェシ島地震への派遣
2019 年 サイクロン(モザンビーク)への派遣
【研究目的】
災害時の感染症対策に関する研究を進め、被災地の安全な環境作りに貢献する
8.災害ボランティア部門 部門長:安江 一(日本赤十字社事業局パートナーシップ推進部 次長) |
【主な災害対応履歴等】
2004年 スマトラ島沖地震・津波災害の復興支援
2004年 スリランカでの初期事業発掘・形成調査等の支援
2009年 東日本大震災の救援(本社災害対策本部医療救護班調整担当)
2019年 日本赤十字社が行う救護・社会活動に関する外部環境、内部環境の分析と対
応策の策定
【研究目的】
人間のいのちと健康、尊厳を守るボランティアの活動を支援する
9.災害救援技術部門 部門長:曽篠 恭裕(熊本赤十字病院 国際医療救援部 救援課長) |
【主な災害対応履歴等】
2008年 サイクロン災害(ミャンマー)への派遣
2011年 ハイチ地震(コレラ救援)への派遣
2013年 フィリピン台風への派遣
2016年 熊本地震の救援(避難所の手洗い場所、シャワー、電源装置の設置等)
2018年 西日本豪雨災害の支援(病院の復旧等)
2020年 令和2年7月豪雨災害の救援
【研究目的】
災害時、生命と尊厳を守り、苦痛を軽減する「人道技術」を共創し、発信拠点となる
10.高齢者生活支援(地域包括ケア)部門 ※設置予定 |
各部門の詳細はHPをご覧ください(https://jrcdmri.jp/sections/)
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像