日本への武力攻撃時に米国は「状況により守ってくれない」48%
--- 日本防衛費「GDP比2%まで」31%、非核三原則見直しに賛成41%反対38% ---

[KSIオンライン調査] 日本の防衛力と国防に関する意識調査(第3回)
新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役社長:別所直哉)は、月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたオンライン調査を行っています。
■調査の概要
ロシアとウクライナの停戦に向けた米ロ間の協議が始まり、和平実現への期待がある一方、欧州では米国に依存しない安全保障の構築に向けた動きが活発化しています。世界の安全保障環境が急速に変化する状況を踏まえ、日本の防衛力強化と国防に関する第3回オンライン調査を、3月6日に全国の18歳以上の1,000人を対象に実施しました。
■調査結果サマリ
米国は「状況により守ってくれない」48%
日米安全保障条約は、日本が武力攻撃を受けた場合に米国が日本を防衛する義務を定めているが、有事の際に米国が日本を守ってくれると思うかどうか聞いたところ、「状況によっては守ってくれないと思う」48.5%(22年11月10日調査48.4%)、「最優先ではないが守ってくれると思う」21.9%(27.3%)、「守ってくれないと思う」21.0%(15.3%)、「最優先で守ってくれると思う」2.7%(3.2%)、「わからない」5.9%(5.8%)だった。

「状況によっては守ってくれない」「守ってくれない」と答えた人を年代別に見ると、大まかに言って年代が上がるほど増える傾向が見られ、50、60代では7割台となった。地域別では、北海道が唯一4割台で最低だった。支持政党別では、自由民主党、公明党、れいわ新選組が5割台で低さが目立った。
ウクライナ侵略を通じたロシア・北朝鮮関係の緊密化や、中国の軍事費増加や東シナ海、南シナ海等の海空域における軍事活動の拡大・活発化などを踏まえ、現状の日本周辺の安全保障環境に不安を感じるかどうか聞いたところ、「非常に不安を感じる」「ある程度不安を感じる」が計85.2%だったのに対し、「あまり不安を感じない」「まったく不安を感じない」は計10.5%だった。
ウクライナ和平を巡り、仮にロシアにとって一般的に有利とみられる条件で交渉がまとまった場合、力による現状変更を事実上容認したことになるとの指摘があるが、台湾有事(中国が台湾統一に向けて軍事侵攻すること)が起きるかどうかや北方領土問題に影響があると思うかどうか聞いたところ、 「影響があると思う」「ある程度影響があると思う」が計79.6%だったのに対し、「あまり影響はないと思う」「影響はないと思う」は計10.6%だった。
防衛費「GDP比2%まで」31%
米国のトランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)の加盟国の国防費についてGDP比5%以上とするよう求めており、NATOのルッテ事務総長が加盟国に対し国防費を同3%(現目標2%)以上とするように示唆したとの報道があった。日本の本年度防衛費は同1.6%で、日本政府は27年度に同2%に増やす方針であるが、今後の日本の防衛費についてどう考えるか聞いたところ、「GDP比2%への引き上げにとどめるべきだ」31.1%、「GDP比2%より増やすべきだ」19.2%、「GDP比2%への引き上げをやめ現行水準で良い」16.7%、「現行水準より削減すべきだ」10.7%、「わからない」22.3%だった。「GDP比2%より増やすべきだ」とした人を支持政党別に見ると、保守の5割、自民、日本維新の会、参政党の3割台が相対的に多かった。

ウクライナ和平協議の現状「望ましくない」60%
ロシアとウクライナの停戦に向けた米ロ間の協議で、ウクライナの頭越しに進められ欧州の関与も薄いなどとする懸念が出ている状況を「望ましくないと思う」60.2%、「望ましいと思う」15.6%、「わからない」24.2%となった。「望ましくない」と答えた人を年代別に見ると、年代が上がるにつれ増加し、20、30代は4割台だったのに対し60代以上の各層は7割台となった。
米ワシントンでの米・ウクライナ首脳会談が決裂したことに関し、石破首相が国会で答弁した「どちらかの側に立つつもりはまったくない。いかに米国の関与をつなぎ留め、G7全体の結束を図るかに日本として尽力していきたい」との方針を「妥当だと思う」48.3%、「妥当ではないと思う」28.3%、「わからない」23.4%だった。
非核三原則見直し賛成41%、反対38%
ウクライナ侵略を巡り、フランスのマクロン大統領は欧州において米国に依存しない安全保障を構築するため、フランスの核抑止力活用を提案している。世界の安全保障環境が変化するなか、日本が「非核三原則」(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を見直すことに「賛成」41.8%、「反対」38.0%、「わからない」は20.2%だった。非核三原則見直しに「賛成」とした人を支持政党別に見ると、与党内では自民の5割台に対し、公明は1割台にとどまった。

核共有に賛成37%、反対41%
石破首相は首相就任前に行われた24年9月の自民党総裁選討論会などで、米国の核兵器を日本に配備し共同運用する「核共有」は非核三原則に抵触しないとの認識を示し、議論の必要性を指摘したが、核共有を行うことの賛否を聞いたところ、「反対」41.4%(22年4月7日調査34.7%)、「賛成」37.6%(40.7%)、「わからない」21.0%(24.6%)だった。
核共有に「賛成」と答えた人を職業別に見ると、会社役員・団体役員が6割台でトップ、会社の正社員・団体の正職員、自営業・専門職(士業等)・自由業が4割台で続いた。内閣支持層では4割台後半だったのに対し、不支持層では3割台後半だった。支持政党別では、保守が8割台、自民が5割台、国民民主が4割台の順となった。
参院選の比例投票先、自民が国民民主を抜き返す
夏の参院選の比例代表で投票したい政党、投票したい候補者が所属する政党を聞くと、自民13.3%(前回25年2月24日調査12.8%)、国民民主12.4%(13.0%)、立憲7.3%(9.3%)、維新4.7%(4.6%)、れいわ2.4%(3.7%)と続いた。未定は44.2%あった。25年2月24日の調査では国民が自民を上回ったが、今回自民が抜き返した。比例代表の投票先で1位だった政党を年代別に見ると、20~40代はいずれも国民民主、50、60代は自民、70代以上は自民、立憲が同率だった。
調査レポート(クロス集計あり)の詳細
https://ksi-corp.jp/topics/survey/2025/web-research-85.html
過去の調査
・第2回:能動的サイバー防御で「早急な法改正を」64%(2023年12月27日)
https://ksi-corp.jp/topics/survey/2023/web-research-62.html
・第1回:日本の「反撃能力」保有賛成6割強(2022年11月15日)
https://ksi-corp.jp/topics/survey/2022/web-research-44.html
・核共有について議論することに賛成する人は7割に達した(2022年5月12日)
https://ksi-corp.jp/topics/survey/2022/web-research-32.html
紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI:https://www.ksi-corp.jp/)について
KSIは2017年にZホールディングス株式会社の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業です。代表取締役の別所直哉は、1999年よりヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の法務責任者として、Yahoo! JAPANが新規サービスを立ち上げるにあたり大変重要な役割を担ってきました。
その中で培った幅広いネットワークや政策提言活動を通じて得られた知見をもとに、新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ(ロビイング)領域で総合的なコンサルティング行っているほか、KSI官公庁オークション、自治体のデジタル化や地域支援、シンクタンクや調査など、社会に貢献していくという方針を軸に多様なサービスを提供しています。
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