カンボジアの副教材として認定~就学前教育導入ガイドブック完成式典を開催~

全州の教育局にハンドブックを渡し、カンボジアの就学前教育の質向上に寄与

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(所在地 東京都新宿区/会長 若林恭英/以下シャンティ)が活動するカンボジアにおいて2024年2月2日、カンボジア教育・青年・スポーツ省主催により、就学前教育導入のガイドブック完成式典が開催されました。

このガイドブックは、JICA草の根技術協力事業として2020年9月から開始された、幼児教育カリキュラムに基づく「遊びや環境を通した学び」実践のための基盤構築事業の中でシャンティが開発し、2023年12月28日に教育省による最終承認を受け、カンボジアにおいて公式に副教材となりました。

ハンチュン・ナロン カンボジア王国副首相兼教育・青年・スポーツ大臣と当会の若林会長


開発にあたっては、教育省幼児教育局、教員養成局、幼稚部教員養成校、バッタンバン州教育局、バッタンバン州中央幼稚園などの職員や教員で構成されるタスクチームと密に連携し、事業対象園のモニタリング結果や全州の教育局とのコンサルテーションワークショップの結果も踏まえ、現職の幼稚園教員が活用しやすくなるように、幾度も協議を重ねて完成しました。また、天竜厚生会チームカンボジアの皆さまにも、オンラインや現地指導の機会を通して、ガイドブックの内容に対する多くのご助言をいただきました。

式典には、ハンチュン・ナロン カンボジア王国副首相兼教育・青年・スポーツ大臣をはじめ、植野篤志特命全権大使、讃井一将JICAカンボジア事務所長、河合育世 天竜厚生会子育てセンターみゅうのおか園長・チームカンボジア代表、当会より若林恭英会長、神津佳代子常務理事、カンボジア全州の教育局長やプノンペン市教育局職員など、150名以上が出席しました。

式典の中で、大臣による承認宣言があり、このガイドブックを大変評価しており、全国の幼稚園で活用してほしいというお話がありました。その後、若林会長より、全州の教育局にガイドブックが手渡されました。

これから開発されたガイドブックが全土に普及され、カンボジアの就学前教育の質をさらに高めることに寄与することを願っています。


式典の様子


ご来賓のごあいさつ文(一部抜粋)

駐カンボジア日本国特命全権大使 植野 篤志様より

「このたび、シャンティ国際ボランティア会が天竜厚生会と連携して実施したJICA草の根技術協力事業をもとに、日本の幼児教育の基礎である”遊びを通じた学び”に関するガイドブックが制作され、今後カンボジア全土の幼稚園で活用されるとお伺いし、大変嬉しく思います。

今回、日本の幼児教育がモデルとなり、カンボジアの未来を担う子ども達の成長を手助けできることを誇りに思います。このガイドブックが、カンボジアの幼児教育の発展に大いに役立つのみならず、両国の絆をさらに深める上でも有益なものとなることを期待しています」


独立行政法人 国際協力機構 カンボジア事務所長  讃井一将様より

「”遊びを通した学び”は、幼児期の知的、身体的、情緒的な発達に不可欠です。子どもたちは何からでも学べるのは皆さんもご存じの通りです。幼稚園でも教室の中で勉強するだけではなく、いろいろなところから学ぶことができます。また、友だちと積極的に遊ぶことで、認知能力だけでなく、さまざまな能力の基礎となる非認知能力も育まれます。
今後も、教育・青年・スポーツ省の強力なリーダーシップにより、このガイドブックが全国に普及し、活用されることを期待しています。」

 

社会福祉法人 天竜厚生会 チームカンボジア代表 河合育世様より

「天竜厚生会(TKK)はシャンティ国際ボランティア会の協力団体として、2016年から本事業に参加させていただき、保育の専門家としてカンボジア王国の幼児教育について皆様と一緒に考え、時にアドバイスさせていただきました。天竜厚生会の54年間という長い実績の中で、私たちが培ってきた保育の知識と技術を、カンボジア王国の皆様に還元できる機会をいただけたことを心から感謝しております。

 

国は違っても、子どもに対する思いは同じだということに気づき、多くの職員の励みと喜びとなりました。また、本事業に関わったことで当法人の職員、園児がカンボジア王国を知り、交流をさせていただいたことでグローバルな視点で保育を考える機会を得るとともに、自分たちの保育を振り返り、改めて子ども主体の保育実践の重要さに気づくことができたことは大きな収穫です。」

 

シャンティ国際ボランティア会 若林恭英

今日に至るまで、シャンティ国際ボランティア会は、事業のタスクチームと密に連携し、コロナ禍で集まることすら厳しい時期もありましたが、現場の先生方に活用しやすい内容になるように、文言一つ一つや使用する写真に至るまで、何度も議論を重ねながら開発を進めてまいりました。また、日本人専門家として社会福祉法人天竜厚生会のチームカンボジアの皆さまにも、オンラインや現地指導の機会を通して、ガイドブックの内容に対する多大なご助言をいただきました。 

本日、こうして完成式典の日を無事に迎えることができたことは、弊会カンボジア事務所職員にとっても大変な誇りであり、そして、関係者の皆さまとの密な協働を通してこそ成し遂げられたものだと感じており、ご尽力いただいた皆様に感謝申し上げます。 」

 

就学前教育導入ガイドブックについて
・プロジェクト概要

 乳幼児期は人間の発達の基礎を培う大切な時期である。この時期に適切なケアや教育を受けられるようにすることは、あらゆる側面での発達を促進し、生涯にわたる学習意欲や将来的な生産性にもつながるが、カンボジアの就学前教育はアクセスや質において様々な課題を抱えている。教育省は2018年、就学前教育の新カリキュラムを承認し、幼児にとっての学習は「遊び」を通して行われるべきであるとの方針を打ち出した。しかし、この指導アプローチを経験したことのない現場の教員にとって遊びのコンセプトを実践するのは容易ではなく、教員が新カリキュラムのコンセプトに基づいた活動を実践し、質の高い教育を園児に提供できるようになるためには支援が必要である。

 本事業は、こうした背景のもと、教育省幼児教育局がカリキュラムに基づく「遊びや環境を通した学び」の実践を各州に普及する準備が整うことを事業目標とし、(1) その実践促進に向けた教員向けの指導ガイドブックおよび活動事例集の開発、(2)実践手法を普及する人材の育成、(3)パイロット州の事業対象幼稚園の活動の質の向上のための活動に取り組んできた。

 今回承認された就学前教育導入のガイドブックは、本事業の中で、「遊びや環境を通した学び」の実践を促進するために作成されたものであり、「環境構成」「おはなし」「教材」の3種で構成される。開発したガイドブックは、全州の教育局、中央幼稚園、郡教育局等に配布され、その後、各幼稚園での活動実践に活用される予定である。

 

・これまでの流れ

2020年9月:事業開始、ガイドブック開発のためのタスクチームを結成

2020年10月~2022年3月:タスクチームにて3種(環境構成、おはなし、教材)のガイドブック草稿

2022年3月:15州の教育局・中央幼稚園を招聘し、コンサルテーションワークショップを実施

2022年4月~2023年5月:パイロット州の対象幼稚園にて教員向け研修、活動モニタリング等を実施後、その結果をガイドブックに反映

2023年6月:全州の教育局・中央幼稚園を招聘し、最終コンサルテーションワークショップを実施

2023年7月~11月:ガイドブックの最終化、教育省による承認手続き

2023年12月:教育省によるガイドブックの最終承認

 

・参考リンク

JICA草の根技術協力事業「幼児教育カリキュラムに基づく『遊びや環境を通した学び』」実践のための基盤構築事業」概要

https://www.jica.go.jp/Resource/partner/kusanone/country/ku57pq00001jwgb9-att/cam_30_p.pdf








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会社概要

URL
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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都新宿区大京町31 慈母会館 2・3階
電話番号
03-5360-1233
代表者名
若林 恭英
上場
-
資本金
-
設立
1981年12月