「子どもの権利とビジネス研究会」の設立について
~「世界子どもの日」から活動を本格化。子どもの権利とビジネスの接点を明らかに~
株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、「子どもの権利とビジネス研究会」(以下「本研究会」)を10月に設立し、民間企業2社と共に活動を開始しました。
本研究会では、企業がそれぞれの製品・サービスおよび経営プロセスと子どもとの関係を明確にしながら、「子どもの権利を尊重する価値」「尊重するために必要な仕組み」について意見交換・共有を行います。
本研究会は、日本総研が掲げる、多様な個と社会が共に育ち幸せになる「共育ち社会」(注1)を推進する活動の一つです。子どもの権利条約が採択された「世界子どもの日」である本日11月20日から活動を本格化させますので発表します。
■設立の背景
こども基本法では、企業に対し、従業員の雇用環境についてこども基本法の基本理念にのっとって整備することを求めています。一方で、企業が提供する商品・サービスについては、何ら言及していません。
企業にとって、子どもは近い将来の顧客やビジネスパートナーでもあります。企業は、子ども一人ひとりの権利を意識することによって、持続可能な社会・経済があってこそ成り立つ企業の経営をさらに進化させられる可能性があります。
しかし、子どもと接触することが多いセクターから抽出した企業を対象に日本総研が調査を行った「子どもESG調査」(注2)および個別の聞き取り調査では、子どもの権利の尊重を意識して本業のビジネスに取り入れる企業は限定的でした。また、取り入れていても「子ども関連の取り組みは、ビジネスではなく、社会貢献活動として受け止められてしまう」「人権の取り組みはコンプライアンスのためだけに行っているとしか見られない」傾向があり、多くの企業が子どもの権利を意識してビジネスを行うようになるには、一層の後押しがが欠かせない実態が明らかとなりました。
■活動概要
本研究会では、企業が子どもの権利の尊重を意識して本業のビジネスに取り入れやすくすることを目的とした活動を行います。
具体的には、製品・サービスを起点とした子どもの権利へのポジティブおよびネガティブ影響のインパクト評価のためのロジックモデル(各社のビジネスと子どもの権利との関係を分析・図式化したもの)を作成し、子どもの権利とビジネスとの具体的な接点を明らかにします。
また、デジタル社会の進展の中で、企業が子どもに対し、これまでと異なるどのような配慮を行えばよいのか、答えが明確ではない問いについて意見を交わす場を提供します。
本研究会では、有識者を交え、主に以下に関する検討を行います。
・参画企業の製品・サービスを起点とした子どもの権利へのインパクト分析
・子どもの権利を尊重するために必要な経営プロセス
・日本では認知度の低い子どもの権利について普及啓発するための方策
■本研究会アドバイザーからのコメント
〇大谷美紀子氏(弁護士、国連子どもの権利委員会委員)
「国連子どもの権利委員会での活動を通じ、ビジネスが子どもの権利を侵害しない責任について意識を高めるとともに、ビジネスが子どもの権利を守る方向でできることについて、もっと関心をもってもらうことが必要だと感じてきました。この研究会が日本におけるその最初の機会になると思います」
〇堀江由美子氏(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部長)
「『子どもの権利とビジネス原則』をはじめ、企業が業種特性に応じて参照すべきガイドラインや国際基準は既に複数存在します。気候変動やデジタル社会が進むなか、企業が子どもとの接点を包括的に理解し、子どもの権利や子どもの声を経営に反映させる必要はますます増していくでしょう」
■本研究会参画企業
〇株式会社イオンファンタジー
「こどもたちの夢中を育み、“えがお”あふれる世界をつくる。」をパーパスとし、世界各地で子どもとファミリーが安全・安心に遊べる様々な形態の施設を展開しています。プレイグラウンド「ちきゅうのにわ」を通じ、訪れた親子が楽しみながら地球環境への関心を深め、会話や経験を広げるきっかけづくりや、他者と交わる機会の提供に貢献しています。
〇ソフトバンク株式会社
「情報革命で人々を幸せに」という経営理念のもと、長期ビジョン「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業へ」を掲げています。子どもにスポーツや学習における選択肢や専門性の高い助言に触れる機会を創出するために、スポーツ支援サービス「AIスマートコーチ」やAI活用人材を育成する教育プログラム「AIチャレンジ」を主に小中高校生向けに提供しており、成長の土台づくりに貢献しています。
(注1)日本総研では、多様な個と社会が共に育ち、幸せになる「共育ち社会」を掲げています。
https://www.jri.co.jp/service/special/content31/
(注2)日本総研では、2023年度から「子どもESG調査」に取り組んでおり、これまでに16業種・83社を対象に実施しています。また、その結果を踏まえた報告書として「子どもESGレポート」「子どもESGレポート2024」を取りまとめています。
子どもESGレポート
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2024/240411_kodomoesgreport.pdf
子どもESGレポート2024
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2024/241015_kodomoesgreport2024.pdf
◆日本総合研究所
日本総合研究所は、生活者、民間企業、行政を含む多様なステークホルダーとの対話を深めながら、社会的価値の共創を目指しています。シンクタンク・コンサルティング事業では、パーパス「次世代起点でありたい未来をつくる。傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく。」を掲げ、次世代経済・政策を研究・提言する「リサーチ」、次世代経営・公共を構想・支援する「コンサルティング」、次世代社会・市場を創発・実装する「インキュベーション」を、個人間や組織間で掛け合わせることで、次世代へ向けた価値創造を強力に推進しています。
■本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】 広報部 山口 電話: 080-7154-5017
【一般のお客様】 創発戦略センター 村上 メール: murakami.megumuatjri.co.jp
(メール送付の際はatを@と書き換えて送信してください)