ファストドクター、AIで働く人の「心の不調」を支援するサービス開発を加速 経産省の支援事業に採択
ファストドクター株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:菊池亮〈医師〉・水野敬志)は、この度、経済産業省が主管する令和6年度補正「先端技術活用メンタルヘルスサービス開発支援事業費補助金」に採択されたことをお知らせします。本補助金は、先端技術を活用したメンタルヘルスサービスの社会実装を目的とし、特に中小企業における対策の強化と、サービスの有効性に関するエビデンス構築が期待されています。
これにより、2022年から当社が取り組んできた精神科の医療アクセス課題への対応の一環として、予防領域におけるソリューションを強化し、適切なセルフケアと医療の接続を支援するサービス開発を推進します。本採択を機に、国内のデジタルメンタルヘルス(DMH)サービスの社会実装を一層加速してまいります。

▍ 概要|セルフケアから医療まで、一貫型DMHサービス
本サービスは、中小規模の事業所を主な導入対象とし、AIおよびデジタル技術を活用して従業員のメンタルヘルスを支援するサービスです。 気分や体調のセルフチェック機能、対話形式のセルフケア支援、心理状態の定量的なモニタリングに加え、必要に応じてカウンセリングや提携医療機関によるオンラインでの精神科診療、さらに専門的な対面診療が必要と判断された場合には地域医療への接続までを一貫して提供します。企業向けには、匿名化されたレポートを通じて「組織内の心の状態」を可視化する機能のほか、そのレポートに応じて専門家が対応策をアドバイスする体制も備え、企業規模やリソースにかかわらず実行可能な支援体制を構築可能です。
日常的なストレスへのセルフケア支援から、心の状態に応じた医療的介入の支援、地域医療への接続までを同一サービス内で一貫して提供するDMHサービスは、国内ではほとんど前例がありません。 ファストドクターは自社プラットフォームに医療リソースを保有し、医療提供体制の運用とテクノロジー開発を一体で推進する体制を強みに、実効性の高いサービスの社会実装を進めてまいります。
現在は、従業員数50名未満の事業所への導入を想定し、2025年秋頃のクローズドテストを開始予定です。また本サービスの有効性については、外部の研究機関と連携のうえ検証を進め、補助金事業の最終報告にて結果を公表する予定です。
企業側の導入メリット
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従業員の心の健康に関する相談・支援体制を、企業規模を問わずに簡易に構築できる
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組織内のメンタルヘルス状態を匿名でレポート化し、早期の状態変化の察知と対処が可能になる
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レポートをもとに、精神科医やカウンセラーと連携しながら具体的な対策を実行に移すための仕組みが構築できる
補助金概要:令和6年度補正予算「先端技術活用メンタルヘルスサービス開発支援事業費補助金」(サービス提供事業者向け)」の公募について
▍ 背景|中小企業におけるメンタルヘルス支援の必要性
ファストドクターは創業以来、医療アクセスの格差軽減に取り組み、多様なサービスを展開してまいりました。2022年に開始した精神科オンライン診療では、初診までに数ヶ月を要する長期待機の問題や、特に地方部における精神科専門医の偏在・不在といった構造的な課題に対し、これまでに17万人を超える方々に新たな医療アクセスを提供しています。
今回採択されたプロジェクトで開発を進めるDMHサービスは、「治療を必要とする前段階」に焦点を当て、症状の進行や重症化を未然に防ぐことを目的とした予防支援サービスです。特に、メンタルヘルス対策が後回しになりがちな中小企業において、セルフケアと医療の適切な接続を支援することを目指しています。
日本の生産年齢人口は今後30年で約3割減少すると見込まれており、限られた労働力をどう支えるかは社会全体の重要課題です。一方で、働く人の8割以上がストレスを抱えており※1 、心の不調が生産性の低下や離職の大きな要因となっています。しかしメンタルヘルス対策は「効果測定の難しさ」「担当部門の曖昧さ」といった理由から企業内で後手にまわりやすい領域であり、実際に従業員向けの研修実施率は約2割、相談体制の整備も約3割程度にとどまっています※2。
こうした課題に対し、当社は治療に至る前の段階で支援が届く仕組みとして既存サービスをアップデートし、心の健康を守る社会基盤づくりに貢献できると考えています。
※1,2 厚生労働省 令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」
▍ 開発責任者コメント

近年、メンタルヘルスの不調を抱える方は増加の一途をたどり、現代社会全体にとって深刻な課題となっています。初診までに数ヶ月を要することも珍しくなく、実際に当社が2023年から開始している精神科サービスをご利用した方からは、「相談したくてもどこに頼ればいいかわからなかった」「受診までに何週間も待った」という声が多数聞かれます。私自身、親しい人がメンタルヘルスの不調で苦しむ姿を過去に見てきました。ちょっとした不調のサインに気づかず、症状が悪化してからようやく医療にかかり、結果的につらい状況に陥ってしまった様子から、心の不調が気づかぬうちに日常や人生に大きな影響を及ぼすことを痛感しました。
心の健康状態が可視化され、ご自身である程度のセルフケアができ、不調が現れた際には適切なタイミングで専門的な医療やケアにつながる。このようなDMHサービスが普及することで、体の健康管理と同じように「心の健康管理」が当たり前になる社会が実現できるのではないでしょうか。
私たちは、医療オペレーションの知見と、現代の強力な武器であるAIを活用したテクノロジー開発を組み合わせることで、DMHの有効性を高めていきます。AIの活用により、不調の早期発見やパーソナライズされたケアの提供、そして医療機関へのスムーズな連携を可能にし、より多くの方々の「心の健康」をサポートできると確信しています。
▍ プロジェクトリーダーコメント

私自身、子育てと仕事を両立するなかで、心身のバランスを保つことの難しさを実感することがあります。 人生の中では、環境の変化や、自分の努力ではどうにもならない出来事によって、心や体のバランスを崩すことが誰にでも起こり得ることです。 当社の精神科サービスでも「休むことで仕事に支障が出るのでは」「周囲にどう思われるだろう」といった不安から、声を上げづらいと感じる人は少なくありません。 今回のプロジェクトでは、そうした “声に出せない不調” に対して、気軽にセルフケアを行ったり、必要に応じて専門家に相談できる環境を整えたいと考えています。
どんなライフステージにあっても、仕事や子育て、介護といった日常を保ちながら、「心の健康」を無理なく維持できる社会へ。その一歩となるよう、エビデンスと現場実感の両面から、必要なサービスの形を模索してきました。 この取り組みが、誰かが「おかしいな」と感じたそのときに、少しでも早く、そして自然にサポートにつながれる未来をつくる一助になることを願っています。
【ファストドクターについて】
ファストドクターは、2016年に創業した日本最大級の医療支援プラットフォームです。約5,000名の医師をはじめとする豊富な医療リソースを活かし、柔軟な医療体制を構築。救急往診やオンライン診療を通じて、地域の医療課題や社会的ニーズに応える多様なサービスを展開しています。医療機関や自治体と連携しながら地域医療の補完機能を担うとともに、生活者や企業に対しては新たな医療アクセスを提供し、両輪で持続可能な地域医療の実現に貢献しています。
オンライン診療領域では、ビジョン「1億人のかかりつけ機能を担う」のもと、急性期を基盤に慢性期医療への対応も進めています。通院が困難な地域や、時間的制約の大きい生活環境においても、必要な医療に柔軟につながれる仕組みとして、オンライン診療の特性を活かしてきました。特に、アクセスの壁が顕著な領域から優先的に対応を広げ、現在は、内科・小児科・アレルギー科・精神科・心療内科を含む11の診療領域において、それぞれのニーズに応じた柔軟な診療体制を支援しています。
※医療相談を含む医療行為はファストドクターが提携する医療機関所属の医師によって行われ、 ファストドクターが医療行為を行うものではありません
※ オンライン診療では、医師が診療前相談にて対面診療が必要と判断する場合があります。その際、費用は発生せず、必要に応じて地域の医療機関へのご案内・調整を行います。各診療分野において、適正な範囲での初期対応・相談を行っています
所在地:東京都渋谷区恵比寿4丁目20-3
設立 :2016年8月
代表者:菊池 亮(医師)・水野 敬志
URL :https://fastdoctor.jp/corporate/
【本件に関するお問合せ】
ファストドクター株式会社 広報 田島めぐみ
メール:pr@fastdoctor.jp 電話: 090-7843-9782
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