三菱ケミカルグループの高剛性・軽量の航空宇宙用途部材が、月面探査車YAOKIの月面撮影・画像データ送信成功に貢献
三菱ケミカルグループ(以下「当社グループ」)の航空宇宙用途部材を使った月面探査車YAOKI(ヤオキ)が、日本時間2025年3月7日未明に月面に到着し、月面での撮影、地球への画像データ送信に成功しました。YAOKIは、ロボット・宇宙開発ベンチャーの株式会社ダイモンが開発、当社グループも参画する民間プロジェクトとして、日本初の月面で稼働した月面探査車となりました。


YAOKIを搭載した米国の宇宙開発企業Intuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)の月着陸船が着陸時に横倒しになり、当初予定されていたYAOKIの月面への放出と月面走行は行われませんでしたが、YAOKIは月着陸船に搭載されたまま撮影を行い、画像を地球に送信しました。また、打ち上げから全工程でデータを取得し、車輪の回転など予定されていたすべての機能が正常に動作することが、地球から確認できました。
<参考>2025年3月8日付ダイモン プレスリリース
月面探査車「YAOKI」日本の民間企として初めて月面に到達し撮影成功!
https://dymon.co.jp/news/yaoki_on_the_moon_20250307/
民間企業の参入により宇宙関連市場は世界的に拡大しており、2040年までに140兆円規模になると予測されています※。当社グループは、YAOKIでの取り組みも契機にして、2025年度から、月面向け部材開発プロジェクト、革新的グラファイトシート事業開発プロジェクトなど、航空宇宙関連のプロジェクトを始動させます。当社グループは、競争力のある多様な技術を組み合わせることで、革新的なソリューションを創出していきます。
※経済産業省2024年3月25日「第1回 産業構造審議会 製造産業分科会 宇宙産業小委員会」資料5参照
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/space_industry/001.html
YAOKIに使われている当社グループの製品・技術

①スライダーの構造設計:コンプライアントメカニズム
通常の射出成形では造形が不可能な複雑形状を、スーパーエンジニアリングプラスチックを用いた射出一体成形で実現。
2024年4月12日プレスリリース「コンプライアントメカニズムを適用した設計部材が月面探査車YAOKIに採用」 https://www.mcgc.com/news_release/01915.html
②本体・デプロイヤー(ケース):シアネートエステル樹脂製CFRP (炭素繊維強化プラスチック)
高耐熱性と高強度を両立したシアネートエステル系の炭素繊維強化プラスチック。YAOKI本体を従来のアルミからCFRPに切り替えることで、月面の厳しい温度環境に耐え、耐衝撃強度の安全率を5倍に高めることに成功、さらに30%の軽量化を実現。
③タイヤ: PAI(スーパーエンプラ・ポリアミドイミド)
ポリアミドイミド(PAI)樹脂を押出/圧縮成形した素材で、連続使用温度が250℃のスーパーエンジニアリングプラスチック。耐寒耐熱性、耐摩耗性、衝撃強度に優れており、落下時の衝撃に耐えられる。
④レンズ: レゴリス付着抑制コーティング剤
月を覆う砂「レゴリス」がレンズに付くことを防ぐ、付着抑制コーティング剤。レゴリスは、約50ミクロン(1mmの20分の1)の細かく尖った粒子で、このコーティング剤により、走行中に巻き上がったレゴリスがレンズに付着することを防ぐ。
宇宙産業展2025にて展示(P.15)
https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/cfcm/expo/2025ISIEX_jp.pdf
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