2021年34%超から現在13%未満へ、ソフトウェア市場鈍化でR&D生産性強化を提言【A.T. カーニー】

ソフトウェア予算は約30%削減圧力、R&D投資はROIと価値創出の両面で再評価が必要に

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考「ソフトウェア企業に求められる、R&D生産性の抜本的強化」を公開しました。

本稿では、ソフトウェア市場の成長率が2021年の34%超から現在13%未満へ低下している一方で、SaaS企業・従来型ソフトウェア企業のいずれにおいても、R&Dの成長率が売上成長率を上回り、EBITDAマージンを圧迫していることが示されています。CFOがSaaS購買に深く関与し、ソフトウェア予算を約30%削減する指示を出すケースが増えていることも、購買側の規律強化を示す動きとして指摘されています。

今後、ソフトウェア企業には、開発者単位の生産性指標に偏らず、リードタイムやスループット、手戻り率、変更失敗率、復旧時間といった効率性・有効性の両面からR&D投資を評価することが求められます。加えて、プラットフォーム投資や技術的負債への対応を含め、R&Dを次の成長原資へ転換するポートフォリオ視点が重要になります。

 

34%超から13%未満へ、成長鈍化でR&D生産性が競争力の焦点に

資本コストやソフトウェア投資の高騰を背景に、ソフトウェアに対する世界的な需要の勢いは鈍化しています。本稿によると、2021年には34%超で成長していたソフトウェア市場は、現在では成長率が13%未満に低下し、上場ソフトウェア企業上位100社の成長率はほぼ横ばいとなっています。

一方で、ソフトウェア企業はR&D予算の拡大を続けており、SaaS企業、従来型ソフトウェア企業のいずれにおいても、R&Dの成長率は売上成長率を上回っています。かつて成長によって賄われていたイノベーション投資を補完するには、R&D生産性と効率性の本格的な向上が不可欠であると本稿は指摘しています。

 

約30%の予算削減圧力、部分最適な指標ではR&D課題を捉えきれない

購買側では、コスト管理と投資対効果の最大化に対する関心が高まり、厳格な予算統制、需要管理の強化、ベンダーとの価格交渉が広がっています。本稿では、CFOがSaaS購買に深く関与し、ソフトウェア予算を約30%削減する指示を出すケースが増えていることに加え、米国では連邦政府のソフトウェア調達効率を約25%向上させることを目的とした「Better Contracting Initiative」が開始されていることが紹介されています。

こうした環境下で、生産性に関する議論を「何を測るべきか」という指標定義だけに閉じることには限界があります。DORAメトリクスのような一般的な指標は、コード変更の速度や品質を捉える一方で、全体のリードタイムやスループット、オペレーティングモデル上の非効率性を十分に捉えきれない場合があります。AIによるコード生成が普及し始める中では、手戻り率、変更失敗率、復旧時間といった有効性指標と組み合わせ、根本原因を特定する視点が一段と重要になります。

そのため、R&D投資は、効率性、有効性、そして全体のオペレーティングモデルの観点から評価されるべきだと本稿は指摘しています。環境構築に代表される煩雑な社内プロセス、開発ツール標準化を目的とした過度に厳格なITガイドライン、営業・プロダクト・エンジニアリング間の分断によるサイロ型の働き方が、足かせとなるケースが多いとされています。

 

3つの教訓と2つの価値軸、R&D支出はROI起点で再設計へ

本稿は、R&D生産性を高めるための教訓として、指標への近視眼的な偏りを避けること、生産性向上を戦略的に活用すること、支出だけでなく価値とのバランスで評価することの3点を挙げています。R&D全体のポートフォリオを構造的に捉え、生産性向上によって生まれた余力を、正しい製品・ソリューションへ再投資する視点が重要です。

ROIを重視したR&Dマネジメントでは、成熟した製品と新規製品のリスク特性を踏まえた投資配分、共通インフラや開発ツールなどのプラットフォーム投資、技術的負債への対応を一体で評価する必要があります。価値の把握においては、既存収益の防衛と新たな収益源の創出という2つの軸を理解することが不可欠です。

R&D投資が新市場の獲得にどのように寄与するかを把握するためには、平均取引額や年間経常収益に加え、月次の新規顧客獲得数、新地域・新業界への展開、新製品・新サービスから生まれる売上を併せて評価すべきだと本稿は指摘しています。規律ある指標管理、ROIへの強いコミットメント、戦略的パートナーシップを含むオペレーティングモデル変革が、次の成長局面に向けた鍵になります。

 

-       論考について

 論考名:「ソフトウェア企業に求められる、R&D生産性の抜本的強化」 

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/how-can-software-companies-supercharge-rd-productivity-to-ignite-the-next-wave-of-growth

 

-       監修者

 川﨑 健史 パートナー 

東京大学理学部卒、Duke University, Fuqua School of Business (MBA) 修了。NTT東日本、米系戦略コンサルティングファーム、Big4コンサルティング部門等を経て、A.T. カーニーに入社。日系及び東南アジアの通信・ハイテク企業を中心に、中期経営計画・グローバル経営マネジメント・テクノロジー戦略・事業モデル変革・業務パフォーマンス変革等の幅広いCXOアジェンダに従事。近年では、戦略コンセプトの立案から実行サポートまで一貫したデジタルトランスフォーメーションのサポートも数多く手掛ける。

 

 早川 純平 パートナー 

東京大学大学院 情報理工学系研究科修了。株式会社みずほ銀行を経て、A.T. カーニーに入社。
テクノロジー企業、ヘルスケア企業を中心に、事業戦略、M&A戦略、新規事業開発、営業マーケティング改革、組織文化変革など幅広いテーマを手掛ける。

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。詳しくはWebサイトをご覧ください。https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月