心地良さに重要な物性は触り方に応じて異なることを発見
スキンケア製品の感触の妙、エステ、セルフケアそれぞれに最適なスキンケア製品の開発へ
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、消費者のスキンケア製品への触り方が目的やシーンによって異なることに着目し、以下のことを発見しました。
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心地良さに重要なスキンケア製品の物性は触り方によって異なる
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パッシブタッチ(他者にスキンケア製品を塗られる)の心地良さには密着性に関わる物性が重要
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セルフタッチ(自分自身でスキンケア製品を肌に塗る)の心地良さには弾性に関わる物性が重要
スキンケア製品の触り方は目的やシーンによって異なることに着目
ポーラ化成工業では、化粧品を肌に塗ったとき時の満足感や「ずっと使いたい」と思える心地良い感触を重視しています。これまで化粧品業界では、心地良い感触を作り込むために、製品の粘度や滑らかさなどの物性と心地良さとの関係を明らかにし、改良を行ってきました。
化粧品の触り方は、目的やシーンによって全く異なります。スキンケア製品を例に取ると、アクティブタッチ、パッシブタッチ、セルフタッチがあります(図1)。アクティブタッチは開発者が実験・評価を行う際、パッシブタッチはお客様がエステやマッサージで施術される際、セルフタッチはお客様が自身の肌をケアする際など、それぞれ異なる触り方で化粧品の感触を感じています。しかし、それぞれの触り方において、ヒトが心地良く感じるスキンケア製品の物性がどのように異なるかは分かっていませんでした。そこで、10種類のスキンケア製品の心地良さを3通りの触り方で評価し、各スキンケア製品の物性との相関係数を、触り方ごとに比べました。
触り方ごとに心地よさに重要な物性が異なることを発見
異なる触り方ごとに心地良さとスキンケア製品の物性の関係を解析(補足資料1)した結果、アクティブタッチでは凹凸性(表面のなめらかさ・均一さ)、パッシブタッチでは密着性(製品が肌を包むように密着する度合い)、セルフタッチでは弾性(肌上でのハリや弾力)が重要であることが分かりました(補足資料2)。このことから、触り方が異なると、心地良さに最も関係する物性も異なることが明らかになり、お客様の使用目的や触り方に合わせた製品設計の重要性が示唆されました。
今後、本知見を応用してお客様の触り方に合わせた、より心地良いスキンケア製品を開発していきます。本内容は2023年12月6日の第1回日本化粧品技術者会学術大会にて「異なる触り方における触感に重要なスキンケア品の物性」という題目で口頭発表を行いました。
【補足資料1】 研究方法
10種類のスキンケア製品に対して、被験者32名が3つの触り方で触れた時の心地良さを評価し、これを3種類の触り方について繰り返しました。
さらに、指型デバイスで独自に物性値を算出するToccare system(※1) (トッカーレシステム)を用いて、各スキンケア製品について、人工皮革に塗布したときの物性を計測しました。各スキンケア製品に対して得られた物性計測値について、触り方ごとに心地良さの評価値との相関係数を算出し、心地良さと物性の関係性を調べました(図2)。
※1 Toccare system: 圧力・振動・温度を計測できる指型のデバイスを用いて、「押す」 「なでる」など、ヒトの触動作に近い触れ方で物質の物理情報を取得します。これらの情報をもとにした機械学習により、凹凸性、摩擦、付着性、温度、応力(密着性、弾性)など、15の物性項目を独自に算出できる計測システムです(Syntouch社製)。
【補足資料2】 触り方ごとに、心地良さに重要なスキンケア製品の物性が異なることを発見
触り方ごとに、Toccare systemで計測した物性項目と心地良さの評価値との関係を調べた結果、心地良さと相関する物性は触り方ごとに異なっていることが分かりました。
心地良さと相関していたのは、アクティブタッチでは「凹凸性」、パッシブタッチでは「密着性」、セルフタッチでは「弾性」と、全て異なる結果でした。またこれらの物性は、他の触り方では心地良さと有意な相関を示しませんでした。このことから、触り方が異なれば心地良さに重要な物性も異なると言えます。
各物性項目は、それぞれの触り方で以下のような触り心地に相当すると考えています。
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凹凸性 …… スキンケア製品を肌上に塗った際に感じる、表面のなめらかさ・均一さ
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密着性 …… スキンケア製品を肌上に塗られた際に感じる、肌が包まれている感覚
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弾 性 …… スキンケア製品を肌上に塗った際に感じる、ハリや弾力感
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