【“ゆるブラック”に関する調査】あなたの職場は“ゆるブラック”?…「そう思う」37.8% “ゆるブラック”だと感じる理由「収入が増えない」「やりがいを感じない」「昇級できない」が上位
“ゆるブラック”な職場では「働き続けたくない」59%、「転職を考えている」60.7% “ゆるブラック”を改善するには?「福利厚生の充実」「明確な評価制度」「キャリアアップ」が有効
20代~50代の会社員に、残業や厳しいノルマなどはなく働きやすさはあるものの自分の成長やスキルアップが見込めない職場、いわゆる“ゆるブラック”な職場かどうかについて聞いたところ、37.8%が“ゆるブラック”だと思うと回答しました。加えて、どういった点が“ゆるブラック”だと感じるかについては「収入が増えない」が67.0%と最も高く、「やりがいを感じられない」44.0%、「昇級できない・しづらい」43.0%と続きました。
また“ゆるブラック”を改善するにはどうすればよいかについて聞いたところ、最も多かったのは「福利厚生の充実」31.3%で、「明確な評価制度」30.7%、「キャリアアップが見込める」29.0%と続きました。そしてその「評価制度」について、「評価制度」があると回答したのは55.0%で、その内「評価制度」に納得していない方は66.1%にものぼりました。
■調査背景
近年、過度な長時間労働や残業、様々なハラスメントが横行する企業、いわゆる“ブラック企業”の改善が日本全体で進んでいる一方、もっと働きたいけれど働けない…、叱ってくれる上司がいない…、社員同士の仲が良すぎる…等、職場環境が“ゆるい”あまり、働き甲斐を得られない、またはモチベーションを保てないといった、“ゆるブラック”な企業にも注目が集まっています。
そこで今回は20代~50代の会社員に、自身の職場は“ゆるブラック”だと思うか?どういった点を“ゆるブラック”だと感じるのか?そして“ゆるブラック”を改善するにはどうすればよいのか?など、“ゆるブラック”に関する調査を様々な視点で行いました。
Q1.あなたの職場は“ゆるブラック”だと思いますか。
(単数回答、n=2353)
従業員数10名以上の企業に勤める20代~50代の会社員の方に、あなたの職場は“ゆるブラック”かどうかを聞いたところ、37.8%が「“ゆるブラック”だと思う」と回答しました。
性別や年代別で比較しても突出して高い層はなく、性年代関係なく、約4割近くの会社員の方が自身の職場を“ゆるい”と感じているようです
【以降、自身の職場が「“ゆるブラック”だと思う」と回答した方】
Q2.あなたの職場において、どのような点が“ゆるブラック”だと感じますか。
(複数回答、n=300)
自身の職場が“ゆるブラック”だと思うと回答した方に、どういった点が“ゆるブラック”だと思うかを聞いたところ、最も多かったのは「収入が増えない」で67.0%、続いて「やりがいを感じられない」44.0%、「昇級できない・しづらい」43.0%という結果でした。
“ゆるブラック”だと感じる点で挙げられたトップの“収入”と、続く“やりがい”との差は23.0%と、大きな開きがあり、やはり働いている以上、給与面での不満の蓄積が自身の職場を“ゆるブラック”と感じさせる要因になるようです。
Q3.あなたの職場が“ゆるブラック”だなと思うエピソードを具体的に教えてください。
(自由回答、n=300)
続いて自身の職場においてどういった点が“ゆるブラック”だと感じるのか、具体的にお聞きしました。
○給与面や待遇に関する意見
・残業が制限されており、もっと稼ぎたい気持ちがあるのだが稼ぐことができない。(32歳男性/品質管理・検査)
・お局さんや嫌な上司もいないが、給料の金額の決め方が曖昧で不平等である。そのため能力に見合った金額を貰えてない、もしくは能力以上に貰っている人がいる。(36歳女性/事務・総務)
・仕事はやりがいがあって頑張ってはいるのだが、あまり評価されてないので昇給率が低い。(51歳女性/生産管理)
○自身の成長やスキルに関する意見
・残業も少なく休みも取りやすいのだが、転職に活きるようなスキルは身に付かない。(38歳男性/研究・開発)
・やりがいのある仕事をなかなか任せてもらえないので自分の成長に繋がらない。(48歳女性/人事・労務)
・仕事がルーティン化しているため、1年以上勤務しても何も成長しない。(32歳女性/事務)
○モチベーションに関する意見
・私の職種であれば、残業も少ないし休みも比較的取りやすいが、資格取得などの自己研鑽に対する福利厚生や手当などがあまり充実していないので、モチベーションが湧かない。(28歳女性/事務・総務)
・働きやすい環境だけど昇進は望めないし仕事自体にやりがいがない。(50歳女性/人事・労務)
・ノルマは厳しくないが、収入も増えないし成長も見込めない等やりがいが感じられない。(27歳女性/販売・接客)
Q4.あなたは今の会社で働き続けたいと思いますか。
Q5.職場が“ゆるブラック”だという理由で転職を考えることはありますか。
(いずれも単数回答、n=300)
では、職場環境が“ゆるブラック”であることは自身にとってプラスになるのでしょうか。
まず、今の会社で働き続けたいかを聞いたところ、「働き続けたい」と回答したのは(「働き続けたい」「どちらかといえば働き続けたい」の合計)41.0%でした。また“ゆるブラック”な職場環境であるために転職を考えるかについても聞いたところ、転職を決めている方も含め、転職意向の方は60.7%という結果でした。やはり職場環境が“ゆるい”ことは社員にとってプラスには働いていないようです。
Q6.職場が“ゆるブラック”であることは、会社にとってプラスになると思いますか。
(単数回答、n=300)
Q7.上記のように回答した理由をお答えください。
(自由回答、n=300)
一方で、職場が“ゆるブラック”であることは企業にとってプラスになのでしょうか。
その内訳をみてみると、「プラスになると思う」(「プラスになると思う」「ややプラスになると思う」の合計)はわずか12.3%で、当然ではありますが、職場環境が“ゆるブラック”であることは、企業にとって大きなマイナスのようです。
またその理由については、以下のような意見が挙がりました。
○マイナスだと思う方の意見
・人材が育たないし、人離れしていく。(53歳女性/財務・会計・経理)
・やる気のある人がどんどん辞めていく。(42歳女性/事務・総務)
・人がいつかない。要領の良い人だけが生き残る。(56歳女性/事務・総務)
・結果的に人材育成や離職率が高いので、マイナスだと思う。(55歳男性/警備)
・現状維持が進み、会社としては衰退していく。(38歳男性/研究・開発)
・勉強したい人は退職してしまうので、向上心のない人材が集まってしまう。(41歳女性/医療)
○プラスだと思う方の意見
・働きやすいから。(50歳女性/事務・総務)
・若い子が子育てと両立しやすい環境だから。(50歳女性/人事・労務)
・人件費削減になっているから。(29歳女性/財務・会計・経理)
Q8.どのような点が改善されれば、“ゆるブラック”が改善されると思いますか。
(複数回答、n=300)
次に、“ゆるブラック”を改善するにはどうすればよいかについて聞いたところ、最も多かったのは「福利厚生の充実」31.3%で、「明確な評価制度」30.7%、「キャリアアップが見込める」29.0%と続きました。この会社に“所属してよかった”と思えることができたり、Q3での“ゆるブラック”だと思うエピソードでも挙げられた“自己研鑽ができる”という理由での「福利厚生の充実」、そしてこの会社に“所属し続けたい”と思わせるために必要な「明確な評価制度」と「キャリアアップ」が、“ゆるブラック”を改善することに有効だと考えているようです。
Q9.あなたの職場には評価制度がありますか。
(単数回答、n=300)
Q10.評価制度があると回答した方にお聞きします。その評価制度に納得していますか。
(単数回答、n=165)
では、“ゆるブラック”を改善することに有効な点として挙げられた「評価制度」について、自身の職場におけるその有無を聞いたところ、評価制度が「ある」と回答したのは55.0%でした。
また評価制度があると回答した方で、その評価制度に納得しているかについても聞いたところ、「納得している」と回答した(「納得している」「どちらかと言えば納得している」の合計)のは33.9%でした。このことから、やはり自身の職場を“ゆるブラック”だと感じるのは「評価制度」の有無と、その納得感が関係していることがわかります。
【まとめ】
今回の調査で、自身の職場が“ゆるブラック”だと思っている会社員は約4割いることがわかりました。その内訳をみてみると、性年代別での差はほとんどなく、どんな性別や世代でも4割近くの方が自身の職場を“ゆるブラック”だと感じているようです。
そして、その“ゆるブラック”だと感じる理由については、「収入が増えない」が最も多く67.0%で、次点の「やりがいを感じられない」44.0%、「昇級できない・しづらい」43.0%とは、20ポイント以上の差がありました。これはやはり、いくら残業がないなどの働きやすさがあったとしても、“収入”が伴っていなければ、“ゆるブラック”だと感じてしまうということなのでしょう。
次に、“ゆるブラック”を改善するための方法として多く挙げられたのが、「福利厚生の充実」(31.3%)、「明確な評価制度」(30.7%)、「キャリアアップが見込める」(29.0%)の3点でした。
「福利厚生の充実」については企業の規模や予算に左右されるためどんな企業でも実現できるかについては難しい部分がありますが、次点の「明確な評価制度」については、どんな企業でもすぐに着手できる手段でしょう。“ゆるブラック”だと感じている社員の半数近くが「評価制度」がないと回答し、「評価制度」があったとしても、その「評価制度」に6割強の方が納得していないと回答していることからもわかるように、やはり「明確な評価制度」を構築していくことが“ゆるブラック”を改善する大きな近道といっていいでしょう。併せて、自身の成長やスキルアップを企業がサポートしていくことも、大きな投資を必要としない有効な打ち手となり得るでしょう。そのためには、企業側は求めるものを明確に提示し、アウトプットに対して、時には厳しい評価を下す必要もあります。それによって従業員は自分の不足を認識し、不足を修正する行動を取り、出来なかったことができるようになっていく過程で、自身の成長実感に繋がるのではないでしょうか。
“ゆるブラック“な会社にならないために、従業員と真摯に向き合っていく企業側の覚悟が問われているのかも知れません。
■調査概要
調査機関:株式会社識学
調査対象:20歳~59歳の会社員
有効回答数:スクリーニング…2353サンプル/本調査…300サンプル
調査期間:4月12日(金)~4月13日(土)
調査方法:インターネット調査
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。
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<例>「株式会社識学が実施した調査結果によると……」
■識学について
https://corp.shikigaku.jp/
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「識学」を使った従業員向け研修
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