人間国宝の狂言師・野村万作による袴狂言『釣狐』の映像記録制作 ―先端の8K技術で後世に伝える至芸―
株式会社NTT ArtTechnology(代表取締役社長 国枝 学、東京都新宿区、以下NTT ArtTechnology)は、8Kカメラ11台を用いた最新の映像技術を駆使して、人間国宝である狂言師・野村万作氏による袴狂言『釣狐』の映像記録を制作いたしました。
制作した映像をNHKに提供し、2022年5月29日(日)にNHK BS8Kにて、続いて6月26日(日)にNHK Eテレにて放送されます。
1. 映像記録制作の目的と背景
『釣狐』という、狂言の中でも特別な至難の曲を、私が初演したのは25歳の時でした。
六世万蔵が「私は狐役者だ」と自負していた芸を受継ぐことに始まり、高齢になってからの袴狂言に至りつくまで、数を重ねました。46歳の時、芸術祭大賞を頂き、以後は少しずつ創意も加えながら演じてきた『釣狐』、今回、後進の狂言演者、研究家、愛好家のため、そして何より日本伝統芸能の素晴らしさを普及するために、記録撮影を思い立ちました。8Kという新しい技術のもと、NTT ArtTechnologyの御援助を得、撮影・編集スタッフのお力を借りて出来上がった『釣狐』でございます。
一人の狂言の演者が試みてきた多年の芸を、御鑑賞いただければ幸いでございます。
野村 万作
NTT ArtTechnologyはデジタル技術を活用して、有形無形の貴重な文化財を保存・承継するとともに、新しい文化芸術鑑賞方法を開発し、それらを通じて地域の活性化、日本文化の世界に向けた発信を行なうことを目的としております。
この度、人間国宝の狂言師・野村万作氏が長年にわたって演じてきた古典の狂言作品『釣狐』を、8K映像として記録し、映像作品を完成させるに至りました。
「狂言は猿に始まり狐に終わる」という言葉で知られるように、『釣狐』は狂言修業の大きな関門であり、狂言師としての技術の粋が求められる大曲です。台詞・語リ・謡といった発声面、狐の物真似・アクロバット・舞といった身体面の両方に難易度の高い口伝・秘伝の連続が見られます。1931年生まれの野村万作氏は『釣狐』に強い思いをもって取り組み、多くの狂言師が生涯に一、二度しか演じない『釣狐』を、25歳(1956年)での初演以来これまでに26回演じ、近年は面・装束を付けず、紋付袴姿で演じる「袴狂言」としても回数を重ねてきました。その過程で伝統を継承しながらも自らの創意工夫もとり入れ、まさに「至芸」という域に達しております。この素晴らしい芸・技を後世に伝えるべく、この度、横浜能楽堂にて袴狂言『釣狐』を収録用に上演し、NTT ArtTechnologyが現時点で最高峰の映像技術で記録制作を行ないました。なお、シテが狐の本性を現す後場を、袴狂言として演じるのは野村万作氏にとっても初の試みです。狂言を学ぶ後進の方々はもちろんのこと、日本、さらには世界の人々にとって貴重な文化資産に値する作品と自負しております。
2. 映像記録作品の概要と構成
本映像記録作品は3つの映像で構成されています。袴狂言『釣狐』の本編、野村万作氏が狂言師として取り組んできた『釣狐』にまつわるエピソードを紹介する「インタビュー編」、『釣狐』で使用される装束や道具、面について紹介する「装束・道具・面編」からなります。目的や用途に応じてそれぞれの映像を活用・鑑賞頂ける構成となっています。
(1)本編:袴狂言『釣狐』(約64分)
白蔵主・狐 野村 万作
猟師 野村 萬斎
後見 深田 博治、高野 和憲
笛 松田 弘之
小鼓 鵜澤 洋太郎
大鼓 亀井 広忠
撮影:2021年8月6日、19日、20日
場所:横浜能楽堂
(2)インタビュー編
(3)装束・道具・面編
企画・制作 NTT ArtTechnology
制作協力 NHKエンタープライズ
3. 映像記録作品の特徴
「本編」の撮影は横浜能楽堂のさまざまな場所に設置した11台の8Kカメラによってマルチアングルで行ないました。また普段カメラが入ることのない、舞台上や鏡の間などでの撮影も実現いたしました。通常の舞台収録では見ることのできないアングルや、8Kが可能とする高精細な映像による細部のクローズアップや音の繊細さにより、野村万作氏がまさに目の前で演じているかのような臨場感を堪能できる作品となっています。
また「インタビュー編」「装束・道具・面編」においては野村万作氏自身が解説を行なっており、本編とあわせてご覧いただくことで『釣狐』に関する理解がいっそう深まる内容となっております。
4.今後の展開について
(1)テレビ放映
NHKに映像を提供いたします。放送予定は以下の通りです。
1)2022年5月29日(日)19:00~20:10 NHK BS8K
番組名:「至芸 狂言“釣狐”~人間国宝・野村万作90歳の奥儀」
2)2022年6月26日(日)21:00~23:00 NHK Eテレ
番組名:「古典芸能への招待」
(2)今後の予定
インターネット配信、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)における上映、文化施設や教育機関での活用等を検討してまいります。
また今後のデジタル技術の進展により、映像以外のメディア展開も視野にいれ取り組んでまいります。
袴狂言『釣狐』(本編)より
1. 映像記録制作の目的と背景
『釣狐』という、狂言の中でも特別な至難の曲を、私が初演したのは25歳の時でした。
六世万蔵が「私は狐役者だ」と自負していた芸を受継ぐことに始まり、高齢になってからの袴狂言に至りつくまで、数を重ねました。46歳の時、芸術祭大賞を頂き、以後は少しずつ創意も加えながら演じてきた『釣狐』、今回、後進の狂言演者、研究家、愛好家のため、そして何より日本伝統芸能の素晴らしさを普及するために、記録撮影を思い立ちました。8Kという新しい技術のもと、NTT ArtTechnologyの御援助を得、撮影・編集スタッフのお力を借りて出来上がった『釣狐』でございます。
一人の狂言の演者が試みてきた多年の芸を、御鑑賞いただければ幸いでございます。
野村 万作
NTT ArtTechnologyはデジタル技術を活用して、有形無形の貴重な文化財を保存・承継するとともに、新しい文化芸術鑑賞方法を開発し、それらを通じて地域の活性化、日本文化の世界に向けた発信を行なうことを目的としております。
この度、人間国宝の狂言師・野村万作氏が長年にわたって演じてきた古典の狂言作品『釣狐』を、8K映像として記録し、映像作品を完成させるに至りました。
「狂言は猿に始まり狐に終わる」という言葉で知られるように、『釣狐』は狂言修業の大きな関門であり、狂言師としての技術の粋が求められる大曲です。台詞・語リ・謡といった発声面、狐の物真似・アクロバット・舞といった身体面の両方に難易度の高い口伝・秘伝の連続が見られます。1931年生まれの野村万作氏は『釣狐』に強い思いをもって取り組み、多くの狂言師が生涯に一、二度しか演じない『釣狐』を、25歳(1956年)での初演以来これまでに26回演じ、近年は面・装束を付けず、紋付袴姿で演じる「袴狂言」としても回数を重ねてきました。その過程で伝統を継承しながらも自らの創意工夫もとり入れ、まさに「至芸」という域に達しております。この素晴らしい芸・技を後世に伝えるべく、この度、横浜能楽堂にて袴狂言『釣狐』を収録用に上演し、NTT ArtTechnologyが現時点で最高峰の映像技術で記録制作を行ないました。なお、シテが狐の本性を現す後場を、袴狂言として演じるのは野村万作氏にとっても初の試みです。狂言を学ぶ後進の方々はもちろんのこと、日本、さらには世界の人々にとって貴重な文化資産に値する作品と自負しております。
2. 映像記録作品の概要と構成
本映像記録作品は3つの映像で構成されています。袴狂言『釣狐』の本編、野村万作氏が狂言師として取り組んできた『釣狐』にまつわるエピソードを紹介する「インタビュー編」、『釣狐』で使用される装束や道具、面について紹介する「装束・道具・面編」からなります。目的や用途に応じてそれぞれの映像を活用・鑑賞頂ける構成となっています。
(1)本編:袴狂言『釣狐』(約64分)
白蔵主・狐 野村 万作
猟師 野村 萬斎
後見 深田 博治、高野 和憲
笛 松田 弘之
小鼓 鵜澤 洋太郎
大鼓 亀井 広忠
撮影:2021年8月6日、19日、20日
場所:横浜能楽堂
(2)インタビュー編
(3)装束・道具・面編
企画・制作 NTT ArtTechnology
制作協力 NHKエンタープライズ
3. 映像記録作品の特徴
「本編」の撮影は横浜能楽堂のさまざまな場所に設置した11台の8Kカメラによってマルチアングルで行ないました。また普段カメラが入ることのない、舞台上や鏡の間などでの撮影も実現いたしました。通常の舞台収録では見ることのできないアングルや、8Kが可能とする高精細な映像による細部のクローズアップや音の繊細さにより、野村万作氏がまさに目の前で演じているかのような臨場感を堪能できる作品となっています。
また「インタビュー編」「装束・道具・面編」においては野村万作氏自身が解説を行なっており、本編とあわせてご覧いただくことで『釣狐』に関する理解がいっそう深まる内容となっております。
4.今後の展開について
(1)テレビ放映
NHKに映像を提供いたします。放送予定は以下の通りです。
1)2022年5月29日(日)19:00~20:10 NHK BS8K
番組名:「至芸 狂言“釣狐”~人間国宝・野村万作90歳の奥儀」
2)2022年6月26日(日)21:00~23:00 NHK Eテレ
番組名:「古典芸能への招待」
(2)今後の予定
インターネット配信、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)における上映、文化施設や教育機関での活用等を検討してまいります。
また今後のデジタル技術の進展により、映像以外のメディア展開も視野にいれ取り組んでまいります。
袴狂言『釣狐』(本編)より
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