韓国におけるダリドレキサントの第Ⅲ相臨床試験で最初の被験者を組み入れ
クービビック®錠25 mgおよび50 mg(一般名:ダリドレキサント)は日本における製造販売承認を取得しており、2024年第4四半期に日本で発売予定
ネクセラファーマ株式会社(旧そーせいグループ株式会社、以下「当社」)は、韓国における不眠症患者を対象とした、当社が開発中である新規デュアルオレキシン受容体拮抗薬のダリドレキサントの第Ⅲ相臨床試験において、最初の被験者の組み入れを行いましたので、お知らせいたします。
不眠症は、入眠または睡眠の維持が困難であることを特徴とするもので、これが身体的にも精神的にも悪影響を及ぼします。韓国では、成人人口の15~25%、人数にして約650~1,100万人が不眠症に悩まされていると言われています。
本第Ⅲ相臨床試験は、不眠症の成人および高齢者を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照試験であり、韓国国内の複数の施設において被験者を募集する予定です。この試験の目的は、北米、欧州、日本においてすでに完了している試験で得られた豊富なデータに加え、さらなる有効性および安全性データを収集することであり、これは韓国における本剤の販売承認取得に際して韓国食品医薬品安全処(MFDS)が条件としているものです。試験期間は約12ヵ月を予定しており、2026年前半には試験結果が判明する見込みです。
ダリドレキサント25mgおよび50mgは、日本における第Ⅲ相臨床試験ですべての主要評価項目および副次評価項目を達成しました。国内臨床試験データを含む良好な有効性および安全性データに基づき、2024年9月24日に日本で承認されました。当社は、ダリドレキサントの日本およびAPAC(中国を除く)における権利を保有しています。塩野義製薬との日本における流通と販売に関する提携契約を締結し、日本では「クービビック®錠」として2024年第4四半期に発売される予定です。QUVIVIQ™は米国、欧州、およびその他の国においても承認されており、Idorsia Pharmaceuticals Ltdが販売しています。
当社子会社であるNxera Pharma Korea Co., Ltd.の代表取締役社長であるMinBok Leeは次のように述べています。「韓国における不眠症患者は非常に多いうえ、いくつかの深刻な疾患に関係しているため、単なる睡眠不足以上に深刻な健康問題であり、何百万人もの人々の日常生活に影響を及ぼしています。QUVIVIQ™は、米国、欧州、そして最近では日本を含むいくつかの市場で承認されています。当社は、この新規臨床試験を実施し、韓国に多くいる不眠症に苦しむ患者さまにこの薬剤をお届けするために、必要な追加データを収集することに全力を尽くします。」
なお、本件が当社の 2024 年 12 月期の連結業績に与える影響は軽微です。
以上
不眠症について
不眠症は、入眠または睡眠の維持が困難であることを特徴とし、日中の活動の重要な部分において臨床的に明確な苦痛や機能不全を引き起こすと定義されています。睡眠量または睡眠の質に対するこの影響は、十分な睡眠の機会にもかかわらず、少なくとも週3日起こり、3カ月の間持続するものとされています。
不眠症は睡眠中の過剰な覚醒シグナルの状態であり、研究によると、不眠症患者では睡眠中でも覚醒に関連する脳の領域がより活動的なままであることが示されています。
疾病としての不眠症は短時間の睡眠不足とはまったく異なり、身体的にも精神的にも大きな負担となり、日中の活動性に悪影響を与える持続的な状態です。質の悪い睡眠は、集中力、気分、エネルギーレベルなど、日常生活の多くの側面に影響を与える可能性があることが研究により明らかになっています。
不眠症の治療目標は、睡眠の質と量を改善し、日中の活動への影響を減らすとともに、有害事象と翌朝の持ち越し効果を回避することです。現在推奨されている不眠症の治療には睡眠衛生指導、認知行動療法、薬物療法などがあります。
複数の疫学調査によると、韓国では成人人口の約15~25%、人数にして約650~1,100万人が不眠症に悩まされていると言われており、特に女性と高齢者に多く見られます[1],[2]。韓国の健康保険審査評価院(HIRA)が最近発表したデータによると、慢性不眠症患者の治療者数は2018年の597,529人から2022年には722,440人と21%増加しています。これらの患者のうち、50%は60歳以上で、61%は女性です。
オレキシン系について
覚醒と睡眠のシグナル伝達は、脳内の複雑な神経回路によって調節されています。このプロセスの重要な因子の1つが覚醒を促進するオレキシン系です。神経ペプチドであるオレキシンは、神経細胞が脳内で互いに情報伝達するためのタンパクであり、オレキシンAとオレキシンBの2種類があり、その受容体 OX1R と OX2R を介して覚醒を促進します。この神経ペプチドとその受容体がオレキシン系を構成しています。オレキシン系は覚醒系の標的ニューロンを刺激し、覚醒を促進するいくつかの化学伝達物質(セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリン、ノルエピネフリン)の放出を誘導します。通常、オレキシンの量は覚醒の促進とともに一日を通して上昇し、その後夜間に低下します。この覚醒系の過剰な活性化は、不眠症の重要な要因であると考えられています。
韓国における第Ⅲ相臨床試験について
韓国における第Ⅲ相臨床試験は、不眠症の成人および高齢者を対象にダリドレキサントの有効性および安全性を検討することを目的とした、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験です。
本試験の主目的は、睡眠日誌(eDiary)を用いて主観的総睡眠時間(sTST)を測定し、不眠症の成人および高齢者におけるダリドレキサントの4週後の有効性を評価することです。それらの評価のほかにも、主観的睡眠潜時(sLSO)および主観的中途覚醒時間(sWASO)の測定による有効性および安全性の評価も行います。
被験者は無作為に割り付けられ、ダリドレキサント50mgまたはプラセボを1日1回、28日間投与します。各患者の試験期間は最長12週間です。本試験のトップライン結果は2026年上期に明らかになる予定です。
ネクセラファーマについて
ネクセラファーマ株式会社(旧そーせいグループ株式会社)は、テクノロジーに立脚したバイオ医薬品企業であり、日本および世界中のアンメットニーズにお応えし、患者さまの生活の質を向上させる新しいスペシャリティ医薬品をお届けすることを目指しています。
日本で販売されている複数の製品に加え、探索から後期臨床段階にある30品目を超えるプログラムからなる幅広いパイプラインの開発を、自社で、あるいは大手製薬企業やバイオ医薬品企業との提携により推進しています。このパイプラインは、神経疾患、消化器疾患、免疫疾患、代謝性疾患、希少疾患などの大きく成長する治療分野における主要なアンメットニーズにお応えすることに重点を置いており、業界をリードする独自のGPCR構造ベース創薬「NxWave™」プラットフォームを活用して、ベストインクラスまたはファーストインクラスの候補化合物を持続的に創出しています。
当社は、東京、大阪、ロンドン、ケンブリッジ、バーゼル、ソウルに主要拠点を展開しており、350名を超えるグローバル従業員が活躍しています。
詳しくは、ホームページwww.nxera.life/jpをご覧ください。
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