再エネ拡大に伴う新たな課題「電力系統の慣性低下」の課題解決へエナリスと北海道大学、配電系統におけるGFMインバータの系統安定化効果寄与度評価手法に関する共同研究を開始

株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木吾朗、以下、エナリス)および国立大学法人北海道大学(所在地:北海道札幌市、総長:寳金清博)大学院情報科学研究院(以下、北海道大学)は、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入拡大に伴い懸念される「電力系統における慣性低下」を背景に、配電系統に連系されたGFM(グリッドフォーミング)インバータによる系統安定化効果の寄与度評価手法に関する共同研究を開始しました。
エナリスおよび北海道大学は、2024年度からの2か年の共同研究において、再エネの出力制御回避や局所的な系統混雑の緩和に向けて、分散型エネルギーリソース(DER)を活用して電力の需給を柔軟に調整する「ローカルフレキシビリティ」の検証を実施しました。本研究はそれに続く取り組みとして、再エネ主力電源化における新たな課題である「電力系統における慣性の確保」を目指すものです。
再エネ増加に伴う社会課題と研究の背景
カーボンニュートラル実現に向け、太陽光や風力などの再エネの大量導入が急速に進む一方、従来の火力・水力発電など同期発電機(回転子を回転させて発電する大型発電機)の運転機会が減少しています。同期発電機は、発電機の重い回転子が「回転し続けようとする性質(=慣性)」を持つため、需要と供給のバランスの乱れによる電力系統の急激な変動を抑え、停電を防ぐ重要な役割を担っています。同期発電機の減少により、同期発電機が担ってきた慣性が電力系統全体で低下し、系統の安定性が損なわれるという新たな課題が指摘されています。慣性が低下した系統では、系統事故のような瞬時の変化が発生した場合に広域的な停電に陥るリスクが高まります。
解決策としての「GFMインバータ」
この課題に対する解決策の一つとして注目されているのが、「GFM(グリッドフォーミング)インバータ」です。インバータとは、太陽光発電や蓄電池の直流(DC)の電気を、電力系統に流せるよう交流(AC)の電気に変換・調整する装置のことです。一方で、インバータは同期発電機と異なり慣性を持ちません。そこで切り札となるのがGFMインバータです。GFMインバータは従来のインバータが持たない慣性を疑似的に実現する機能を具備したインバータであり、低下した慣性を補うことが期待できます。
研究内容
北海道大学 電力システム研究室では、再エネの大量利用を見据えたさまざまな研究に取り組んでいます。GFMインバータの研究もその一つで、その導入効果を評価するためのシミュレーション技術の開発や、それを活用したパラメータ設計や実効慣性推定に関する研究を行っています。
一方のエナリスは、国内最初のアグリゲーターとして、低圧リソースも含めたアグリゲーションに取り組んできました。低圧リソースのアグリゲーションが実装された先に見えてくる課題として慣性減少による系統安定度低下を予測しており、欧州への視察等を経て、アグリゲーターがGFMインバータを制御/運用支援することで系統安定化に貢献できる可能性があると考えています。
そこで、北海道大学とエナリスは共同で研究を行い、配電系統にGFMインバータを導入することによる系統安定化効果への寄与度の評価と、時間帯や季節、発電・系統状態の変化に応じた制御パラメータの最適管理・設定手法の考案に取り組んでまいります。
期待される成果と将来の展望
本研究により配電系統でのGFMインバータの評価手法や制御ルールが明確化されることで、アグリゲーターが分散型エネルギーリソース(DER)等を一括して高度に管理し、過不足のない最適な慣性を系統へ供出する仕組みの構築を目指します。
エナリスおよび北海道大学は、これまで取り組んできた配電系統での混雑緩和(ローカルフレキシビリティ)の研究成果に加え、本研究を通じた「電力系統における慣性の確保」の解決へのアプローチを推し進めることで、安全で持続可能な次世代電力システムの実現に貢献してまいります。
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研究件名 |
配電系統に連系されたGFMインバータの安定化効果寄与度評価に関する研究 |
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研究期間 |
2026年6月~2028年3月 |
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目的 |
配電系統におけるGFMインバータによる最適な慣性供出 |
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研究概要 |
・ 配電系統におけるGFMインバータの慣性供出効果と、系統安定化効果への寄与度を正しく評価する手法の明確化 |
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主な期待・効果 |
・ 配電系統における分散型エネルギーリソース(DER)を活用した慣性確保手法の確立 |
株式会社エナリスについて https://www.eneres.co.jp/
auエネルギーホールディングス株式会社の子会社、電源開発株式会社(J-POWER)の関連会社。2004年創業以来培ってきた需給管理のノウハウを基盤に、エネルギーの効率的な利用を支える各種サービスを提供。2016年より経済産業省のVPP実証事業に取り組み、2019年にはIoTによって分散型電源を一括制御する独自のVPPシステム基盤(DERMS)を開発し、2021年には「VPPプラットフォームサービス」の提供を開始。2018年からDRサービスとして電源Ⅰ´(調整力公募)に取り組み、2021年にはDRサービスに節電還元サービスを追加。2022年4月、特定卸供給事業者(アグリゲーター)第1号に認定。現在はアグリゲーターとして容量市場、需給調整市場への供出を行う。2023年9月に、2030年度までに事業活動におけるGHG排出量実質ゼロを目指すカーボンニュートラルを宣言。
北海道大学について https://www.hokudai.ac.jp/
北海道大学は、大学院に重点を置く基幹総合大学であり、その起源は、1876年に設立された札幌農学校に遡ります。その後、帝国大学を経て新制大学に至る長い歴史の中で、「フロンティア精神」「国際性の涵養」「全人教育」及び「実学の重視」という教育研究に関わる基本理念を掲げ、培ってきました。これらの基本理念を再確認するとともに、社会に対する説明責任を認識しつつ、知の創成、伝承、実証の拠点として発展していきます。
本リリースのお問い合わせ先
▶株式会社エナリス 広報室
電話:03-4226-2613 email:pr@eneres.co.jp
▶北海道大学大学院情報科学研究院 准教授 原 亮一
電話:011-706-6475 email: hara@ssi.ist.hokudai.ac.jp
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