CEOの76%がビジネスモデル再評価、地政学を経営に組み込む重要性を示唆 【A.T. カーニー】

最大7.4兆ドルの経済損失リスクも、分断対応を一過性から継続機能へ

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、地政学を企業戦略に統合するための経営体制に関する論考「地政学に向き合う経営の再構築」を公開しました。

本稿では、制約のないグローバル化を前提とした経営環境が、地域ブロック、貿易制限、長期化する紛争へと置き換わりつつある中で、地政学を危機時の個別対応ではなく、継続的な経営能力として扱う必要性を指摘しています。The Conference Boardの「CEO信頼感指数」によれば、世界のCEOの76%が地政学的緊張を理由にビジネスモデルを再評価しています。

また、貿易障壁の上昇が世界経済を分断する恐れがある中で、IMFは世界の経済産出が最大7.4兆ドル減少し得ると試算しています。本稿は、専任の地政学チームを経営意思決定の中枢に置き、取締役会、CEO、事業部門、渉外・リスク機能をつなぐことで、不確実性を単なるリスクではなく競争優位の源泉へ変えることを提言しています。

 

CEOの76%がビジネスモデル再評価、地政学は常態化した経営課題に

今日の経営者は、不確実性が例外ではなく常態となる環境へ適応を迫られています。制裁体制の変化、技術標準の変動、貿易政策の見直しなど、政治的出来事が市場ダイナミクスを直接形成する局面が増えています。

約40年にわたり、企業は財・サービス・資本が比較的自由に流れるグローバル化を前提に経営してきました。しかし本稿は、この前提がもはや十分ではなく、地政学を一回限りの論点としてではなく、戦略と業務計画の継続要素として扱う必要があるとしています。

2024年にForeign Affairsが実施した機関投資家500人への調査では、地政学が「世界経済と市場に対する最大のリスク」と位置づけられました。地政学的先見を戦略に組み込む企業は、競合より速く舵を切り、資源を再配分し、新たな地域の成長機会を獲得できる可能性があります。

 

図表1 CEOの76%がビジネスモデル再評価、対応は分散から統合へ

Fortune 500でも専任機能を欠く例が一般的、断片化が対応速度を落とす

多くの組織では、地政学問題への対応がリスク委員会、渉外チーム、調達チーム、経営戦略部門、コミュニケーション部門、臨時タスクフォースなどに分散しています。大企業であるFortune 500企業でさえ、専任の地政学機能を欠くケースが一般的だと本稿は指摘しています。

この断片化により、重要なシグナルが組織の隙間から抜け落ちたり、事業上の優先事項と切り離されて扱われたりする可能性があります。地政学インテリジェンスに明確なオーナーがいない場合、洞察を実際の意思決定ポイントへ落とし込む責任主体も曖昧になります。

本稿は、こうした状況では対応速度が落ち、説明責任も不明確になり、地政学環境が変化した際に組織が脆弱になり得るとしています。高価で画一的な外部情報に依存するだけでは、ビジネスインテリジェンスや実行可能な戦略へ翻訳されないことも課題です。

 

6つの基本ブロックと6つの機能、地政学チームを戦略と業務に組み込む

複雑化する環境で卓越するには、地政学課題に対処する一貫した枠組みが必要です。本稿は、事業に即したインテリジェンス、経営によるオーナーシップ、優先順位付けの仕組み、エクスポージャーのモニタリング、リスクと機会の両面の考慮、機能の責任主体という6つの基本ブロックを示しています。

さらに、地政学チームの主要機能として、インテリジェンスの統合、優先順位付けの推進、可視性の向上、政府対応の統合、組織的柔軟性、フィードバックループの6つを挙げています。これらは、外部情報を企業固有の事業フットプリントに合わせ、収益に直結する市場、サプライヤー、政策変更へ焦点を当てるための実務機能です。

重要なのは、地政学チームを新たなサイロとして孤立させないことです。取締役会とCレベルが支援し、既存の業務プロセスに織り込むことで、地政学は単なるリスク要因ではなく、競争優位の源泉として理解されるようになります。

 

図表2 6つの機能で地政学を経営戦略へ統合

論考について

論考名:「地政学に向き合う経営の再構築」

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/reimagining-how-executives-handle-geopolitics

 

監修者

笹俣 弘志 シニア パートナー

京都大学工学部原子核工学科卒、コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

規制改革が進む電力・都市ガス業界、及び参入・事業強化を企図する企業や関連産業(石油・天然ガス開発企業、設備メーカー、エンジニアリング会社、金融、官公庁など)を中心に、シナリオプランニング、事業戦略、海外戦略、買収・提携支援などに関するコンサルティングを実施。また、シェール革命の影響を受ける素材企業(石油化学、官公庁、その他各種素材)にも、シナリオプランニング、事業戦略、買収・提携支援を実施。併せて、食品・嗜好品・日用品などの消費財メーカーや、その他B-to-C企業に対し、ブランドポートフォリオ戦略、マーケティング・営業戦略、組織・構造改革、オペレーション改革などを支援。内閣府 エネルギー・環境会議 コスト等検証委員会委員(2011年)、同・需給検証委員会委員(2012年)、京都大学特任教授(2014~2016年度)をつとめた。

エネルギー業界などに関するテーマで、テレビ・新聞の取材や、雑誌での寄稿など、メディアを通じ多数発信。

 

A.T. カーニーについて

 A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。詳しくはWebサイトをご覧ください。www.jp.kearney.com

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月