自然災害による超過廃業事業所数は35年間で約33,000事業所
応用地質・共創Labが35年分の統計データを分析 廃業実態とそのリスクを明らかに
地盤・地質リスクの可視化に取り組む応用地質株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:天野洋文)共創Labは、公表された統計データを用いて自然災害による超過廃業事業所数を推定しました。その結果、過去35年間の超過廃業事業所数は約33,000事業所に上り、その多くが地震災害に起因していることが分かりました。加えて、被害の大きさ、人口減少率などが超過廃業率に影響を与えていることを示すとともに、潜在的な廃業リスクの地域分布を明らかになりました。
※超過廃業事業所数とは、災害が発生したことによって平常時よりも増加した廃業事業所数を示しています。

明らかになった4つの知見
1. 超過廃業事業所数は35年間で約33,000事業所
1986~2021年に発生した自然災害により廃業事業所が約33,000増加しており、35年間に廃業した全事業所の0.5%を占めています。
2. 地震災害が9割を超える
日本の自然災害による超過廃業事業所の9割以上が地震災害によるもので、1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災の影響が大きく表れています。
3. 廃業率を高める要因
自然災害による廃業率は、被害の大きさだけでなく、人口減少率、中心市からの距離といった地域特性の影響も受けています。
4. 潜在的な廃業リスクの地域的分布の特徴
潜在的な廃業リスクは、地震による揺れが大きくなり易い平野部だけでなく、人口減少の進む中山間地域や半島先端部で高くなり易い傾向が明らかになりました。
災害による潜在的な廃業リスク(超過廃業率の要因分析)
過去35年間の被災市区町村のデータ分析の結果、災害による超過廃業率には、
①被害の大きさ(全壊率)②人口減少率 ③津波被害の有無 ④中心市からの距離
が影響していることが分かりました。最も強く関係するのは全壊率で、次いで人口減少率の影響が大きく、人口が減る地域では経営者の高齢化や復興後の見通しの不透明さが背景にあると考えられます。これらの統計データを基に、市区町村ごとの災害による廃業リスク(超過廃業率)を試算したのが図1です。左側は全壊率、右側は廃業リスクを示しており、いずれも直下4kmでM6.8の地震が起きた場合を想定した試算で、津波被害は含んでいません。全壊率は沿岸部や低地部で高く、地盤条件により揺れが大きくなる地域で深刻化します。一方、超過廃業率は全壊率の高い地域に加え、中山間地域や半島の先端部でも高まる傾向が確認できます。
共創Labとは
共創Labは、気候変動や災害の激甚化、産業構造の変化など複雑化する社会課題に対し、多面的な分析と統合的な解決手法の開発を目的に2022年に発足した研究組織です。大学などと連携し、オープンイノベーション型の体制で研究を進め、成果は論文発表やメディアを通じて社会に発信します。
応用地質グループは得られた知見をサービスやソリューションへ展開し、社会実装を目指しています。

共創Labでは、研究課題を「実装化重点研究」と「パースペクティブ研究」に分類し、外部研究者の研究成果をとりまとめた「ワーキングペーパー」や「コラム」を定期的に公開しています。
https://www.oyo.co.jp/co-creation-lab
応用地質株式会社 会社概要
応用地質株式会社は「人と地球の未来にベストアンサーを。」を経営ビジョンに掲げ、地球科学に基づく深い知見とデジタル技術のイノベーションを通じて、困難な課題の最適解を追求しています。これまで「地質工学の創造」を礎に、地質・地盤に関する専門知識を深め、社会基盤の整備や災害に強いまちづくり、環境保全に貢献してきました。自然災害の激甚化やインフラの老朽化といった課題が増大する中、私たちはすべてのステークホルダーと共に持続可能な社会の実現に向けて新たな価値を創造し続けます。
社名:応用地質株式会社
代表者名:代表取締役社長 天野洋文
設立:1957年 (昭和32年) 5月2日
資本金:161億7,460万円
所在地:東京都千代田区神田美土代町7番地
事業内容:
・道路・都市計画ならびに土木構造物及び建築構造物などの建設にともなう地盤の調査から設計・施工監理にいたるまでの一連の技術業務
・地すべり、崖崩れ、地震災害、風水害等の調査、自然災害リスクの調査、解析、予測、診断、評価から対策工にいたる技術業務
・環境保全・環境リスクの調査、解析、予測、診断、評価から対策工にいたる技術業務
・地盤・環境・災害情報等、地球に関する情報の収集、加工、販売
・各種の測定用機器・セキュリティ機器・ソフトウエア、システムの開発、製造、販売、リース、レンタル
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