デコボコベース、鳥取大・神戸大・奈良女子大との共同研究で、放課後等デイサービスで実施可能な感情調整プログラムを開発。
― 発達障害児向け感情調整プログラム「PEACE」を改良。10セッションの完了により高い実施可能性を示し、保護者評定における情緒的問題等の改善を確認。 ―




ディーキャリアなどの就労移行支援や放課後等デイサービスを運営するデコボコベース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:松井清貴)は、国立大学法人鳥取大学、国立大学法人神戸大学、国立大学法人奈良国立大学機構奈良女子大学との共同研究により、放課後等デイサービスで実施可能な発達障害児向けの感情調整プログラムを開発し、その実施可能性および予備的な効果の確認を行いました。本研究成果は、掲載誌「Journal of Developmental and Physical Disabilities」に掲載されました。
■ 研究背景
放課後等デイサービスは、放課後や学校のない日に障害のある子どもたちやその家族に対して
支援を行う福祉サービスであり、支援の場となるだけではなく、遊びや交流などさまざまな体験の場となるものです。放課後等デイサービスの主な利用者のうち、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症などの発達障害のある子どもたちは、不安が高かったりイライラする経験が多かったりなど
感情調整の難しさを抱えることがわかっています。その背景として、このような子どもたちを取り巻く環境の問題が主な要因として挙げることができますが、子どもたち自身の感情調整の力を高めることも重要です。しかしながら、これまでこのような発達障害をもつ子どもたちの感情調整の力を促進する支援プログラムで、広く放課後等デイサービスで利用可能なものはみられませんでした。
特に放課後等デイサービスにおいては、支援に用いることのできる時間の制約や支援者の専門性の制約から簡便に実施可能なプログラムが求められます。また、支援者による支援の質のばらつきを防ぐことも必要となります。
■ 研究概要
本研究は、放課後等デイサービスを多数運営するデコボコベース株式会社との共同研究として実施されました。本研究は、放課後等デイサービスで実施可能な感情調整を支援するプログラムを作成し、放課後等デイサービスでの実施可能性を確認するとともにその予備的な効果の確認を試みたものです。プログラムは、筆者らがこれまでに作成していた発達障害児向けの感情調整プログラムPEACE(Program of Emotional Awareness for Child Empowerment)を改良し、実施の容易さおよび支援の均質性を担保するため、スライド資料に音声をつけたものを補助教材として利用するものでした。加えて、シナリオ、ワークシート、ホームワーク、保護者向け資料を提供し、これらに基づき、放課後等デイサービスのスタッフが10セッションからなるプログラムを実施しました。
介入群13名に対してプログラムを実施し介入前、介入後、および3ヶ月後の追跡調査を行いました。対照群32名に対しては、調査のみを実施しました。効果指標には、保護者およびスタッフ評価による情緒的・行動的困難性の程度、問題行動の程度、社会的スキルを用いました。プログラム実施状況や欠損値等の理由で最終的な分析対象は介入群において7名、対照群において29名でした。
結果として、プログラムに参加した者全員が全10回のセッションを完了しており、本プログラムは放課後等デイサービスにおいて実施可能性が高いことが示されました。また、保護者の評価において情緒的問題の事後および追跡調査での有意な効果がみられ、多動・不注意においても追跡調査での有意な効果がみられました。総困難性得点においては事後の有意な効果がみられました。一方でスタッフの評価では一貫した変化はみられませんでした。
■ 今後の展望
今回の研究ではサンプルサイズが小さく、また介入群と対照群の人数の差が大きいといった方法論的な課題が残っています。今後はより多くの対象者に対する実施および検証を行っていきます。
発達障害児に対する感情面の支援はあまり行われていない現状がありますが、さまざまな行動的問題の背景には感情調整の課題があることは少なくありません。また、放課後等デイサービスでは支援の質のばらつきも指摘されています。今後はこのようなプログラムの利用の普及を目指すことで発達障害児に対する感情面の支援が拡がることを期待します。
▼研究助成
文部科学省科学研究費 基盤研究(C) JP18K02440
「放課後等デイサービスにおける支援機能向上に資する複層的な支援リソースの開発と検証」
デコボコベース株式会社・神戸大学・鳥取大学 共同研究
「障害児通所支援事業所における発達障害児の感情調整支援プログラムの開発と効果検証」
▼掲載論文
タイトル:Development and Preliminary Evaluation of PEACE, a Social and Emotional Learning Program for Children with Developmental Disorders
著者:Yuma Ishimoto, Keiko Nogami, & Takahiro Yamane
掲載誌:Journal of Developmental and Physical Disabilities
DOI:10.1007/s10882-026-10066-8
▼研究グループ
石本雄真(鳥取大学)、山根隆宏(神戸大学)、野上慶子(奈良女子大学)、デコボコベース株式会社



【お問い合わせ先】
<研究内容に関すること>
■ 鳥取大学 教員養成コモンズ
准教授 石本 雄真
TEL: 0857-31-5094 E-mail:yumaismt@tottori-u.ac.jp
<取材申込について>
■ 神戸大学 企画部広報課
TEL:078-803-5106 E-mail:ppr-kouhoushitsu@office.kobe-u.ac.jp
■ 奈良女子大学 総務課 広報・基金係
TEL:0742-20-3220 E-mail:somu02@jimu.nara-wu.ac.jp
■ デコボコベース株式会社
TEL:03-6809-6950 E-mail:pr@decoboco-base.com
■ 鳥取大学広報・基金室(ブランディング推進室広報企画係)
TEL:0857-31-5006 E-mail:toridai-kouhou@ml.adm.tottori-u.ac.jp
■ デコボコベース株式会社 ご案内
● デコボコベース株式会社 CQO 北川庄治 著書のご紹介
*書籍名: 『発達障害の療育がうまくいく!~子どもの見方・考え方〜』(ぶどう社)
*著者: 北川 庄治(デコボコベース株式会社 最高品質責任者 CQO / 公認心理師)
*概要: 発達に凸凹のある子どもたちへの支援を考える上で
大切な視点「キッズファースト」に基づき、
子どもの見方・考え方を取り入れた支援のコツや具体的な療育の実践ハウツーを
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