GEヘルスケア・ジャパン、慶應義塾大学病院にてデータ駆動型病院オペレーションの実現を支援
‐同大学病院でのコマンドセンター稼働の成果を基に「アクティベーションサービス」の構築、国内AI開発拠点となる「Command Center VA (Virtual Assist)」デベロップメントセンターの設立を決定‐
医療課題の解決に取り組むGEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社⻑兼CEO :若林正基)と慶應義塾大学病院*1(所在地:東京都新宿区信濃町、病院長:松本守雄)は、2022年より同大学病院の運営改善を支援するべく導入されたコマンドセンター*2 の活用を通じて、コロナ禍以前を上回る過去最高レベルの経営指標を達成したことを発表しました。また、GEヘルスケア・ジャパンは、この成果を基に、病院運営におけるより包括的な活用を実現する「アクティベーションサービス」の構築、同時に、国内でのAI開発の拠点となる「Command Center VA (Virtual Assist)」デベロップメントセンターの設立も決定しました。
背景:
慶應義塾大学病院では、先進的な医療の持続的な提供を可能にし、コロナ禍以前の収益水準を安定的に確保するべく、ポストコロナの病院運営の改革に着手しました。新たな病院運営を構想する上でデジタルの戦略的な活用を主柱とし、この中でGEヘルスケア・ジャパンが提供するコマンドセンターの導入を決定しました。2022年の導入以来、ビッグデータのリアルタイムでの統合・分析を可能にするコマンドセンターは、データ駆動型病院オペレーションの実現を支えるシステムとして運用の拡大が進められてきました。
2023年度からは更なる変革を促すため、呼吸器外科 朝倉教授のリーダーシップのもと、データ駆動型病院プロジェクトに着手。この中で10項目にわたる病棟や診療科ごとの成果指標(KPI)を明確に設定し、成果を実現するためのバリューチェーンを定義しました。
主な成果指標としては、①在院日数削減と回転率の向上、②空床インターバルの削減と病床稼働率の向上、③緊急・臨時ベッドの割り当て調整時間の削減、④残業や局所的な業務負荷の抑制による職員モチベーションの向上、などが挙げられます。これらの成果指標の達成状況の確認や効果検証のためのダッシュボードも開発され、データ検証と結果の共有・アナウンスにより関係職員の意識も高まりつつあります。パイロット診療科での運用で成果が確認できたことから、順次全ての診療科や病棟に対象を拡大しました。
具体例を示すと、高度な医療サービスを必要とする患者さんの緊急入院の受け入れを増やすためには、病床キャパシティの最大化が必要となります。そのため、患者さんの退院を2日前には予測できるよう、退院予定オーダ入力運用の標準化とルール規律の徹底を図りました。この標準運用が診療科ごとや医師ごとにどの程度徹底されているのか、空床のインターバル時間がどのように変化しているかなどを可視化しながら運用を検証してきたことで、現在ではほぼ全ての診療科で患者さんの退院を2日前には80%以上の高精度で把握できるようになりました。その取組みによりDPCⅡ期以内退院率も7割以上の目標を達成し、退院後にはスムーズな次の入院病床の決定が出来るようになったことで空床インターバルが改善しました。また同時に緊急入院の受け入れも柔軟に対応できるキャパシティが生まれたことで新入院患者の受入れにも繋がり病床回転率が大幅に向上しています。これらは全て同大学病院内の病床稼働率の向上に大きく寄与しています。
また、緊急で受け入れた患者さんの状態やニーズに対応し、迅速かつスムーズに入院病床を確定するため、院内にある複数のデータの統合および可視化に取り組みました。看護部門では、病棟において看護師さんが対応するタスクの多寡を可視化するためにデジタルスコア化に取り組み、業務管理の効率化を進めてきました。
慶應義塾大学病院において実現された上記の成果は、デジタルとデータの利活用を柱とする病院運営への変革によって実現されたものであり、データ駆動型運用モデルへの変革を促す医療DXの有効性を示したと考えています。
また、GEヘルスケア・ジャパンは、慶應義塾大学病院との本プロジェクトの成果が確認できたことから、成果指標の設定、バリューチェーンの定義、達成状況の可視化など、一連のフレームワークや、経験値・ノウハウを体系化し、「アクティベーションサービス」と名付けました。今後この「アクティベーションサービス」を、他のコマンドセンターをご利用いただくお客様にも、コマンドセンター導入時や運用期間におけるコンサルテーションサービスの一環としてご提供して参ります。
慶應義塾大学医学部放射線科学教授兼副病院長の陣崎雅弘氏は次のように述べています。
「これからは多くの病院が、データの可視化・デジタル化を通して経営改善や医療従事者の負担軽減を目指す医療DXに関心を持つようになると思われます。コマンドセンターは院内データの可視化の代表的なプロジェクトで、具体的な導入効果に加えて、医療DXの旗印のような存在としても大きな意義を持っています。」
GEヘルスケア・ジャパンの代表取締役社長兼CEOを務める若林正基は次のように述べています。
「コロナ禍を経て、医療現場におけるオペレーションの効率化、そこから実現される医療の質向上がより強く求められており、データの利活用がソリューションとして注目されてきました。この様な中で、データ駆動型の病院運営を後押しする当社提供のコマンドセンターが患者さんにとって必要な医療の提供をより戦略的かつ広範囲に支援することに加え、病院経営の収益化にも貢献できていることを嬉しく思っています。今後とも、より最適化された質の高い医療オペレーションの実現に貢献できるよう全社一丸となって取り組んでまいります。」
なお、GEヘルスケア・ジャパンは慶應義塾大学が運営するCRIK信濃町(CRIK : Center for Research and Incubation, Keio University)内に、9月よりCommand Center VA (Virtual Assist)のデベロップメントセンター(VAセンター)を開設しました。このVAセンターをGEヘルスケア・ジャパンの日本国内におけるAI開発拠点とし、慶應義塾大学病院と共に、各種データ分析やアプリケーションの開発と、更なるデータ駆動型の病院運営への変革に取り組んでいく予定です。このVAセンターはコマンドセンターの新しいアプリケーションを体感いただけるショールームとしても位置付けられています。
*1 病床数946床 職員数約2,800人、全国から年間約30万人の延べ入院患者の受入実績を誇る国内有数の大学病院です。
*2 コマンドセンターは、電子カルテをはじめとする各種院内情報システムに紐づくデータを、リアルタイムで分析・可視化を行うことにより、患者さんへのケアに必要なリソースを効率的に配分し、必要なケアをタイムリーに提供するための意思決定を促す中央集中管制塔としての役割を果たすシステムです。米国のジョンズ・ホプキンス大学病院で世界初の試みとして2016年に導入されて以来、2023年12月までに米国をはじめ世界600を超える拠点で導入が進んでおり、日本でも淡海医療センター(旧称・草津総合病院)にて2021年4月より稼働が開始し、2024年4月現在で15を超える拠点で導入が進んでいます。
GEヘルスケア・ジャパンについて:
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、GEヘルスケアの中核拠点の1つとして1982年に創設されました。予防から診断、治療、経過観察・予後管理までをカバーする「プレシジョン・ヘルス」の実現を目指し、インテリジェント機器やデータ分析、ソフトウェア、サービス等を提供しています。国内に研究・開発、製造から販売、サービス部門までを持ち、日本のお客様のニーズにお応えしつつ、日本が直面する医療課題の解決に取り組んでいます。日本における社員数は約1,700名、本社および約60カ所の事業拠点があります。
詳細はホームページwww.gehealthcare.comをご覧ください。
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