【三菱地所リアルエステートサービスとニッセイ基礎研究所による物流に関する共同アンケート調査】「物流2024年問題」への対策は着手するも、まだ十分でないと認識、トラックドライバー確保が喫緊の課題
~物流施設の選択では、BCP対応や従業員の健康配慮等を重視。地方都市で拡張意欲が高い~
三菱地所リアルエステートサービス株式会社(本社:東京都千代田区大手町1-9-2、代表取締役社長:湯浅 哲生)と株式会社ニッセイ基礎研究所(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:手島 恒明)は、共同で『企業の物流戦略および物流施設利用状況に関するアンケート調査』(以下「本調査」)を実施しましたのでお知らせいたします。
昨今、企業の物流業務を取り巻く社会情勢は、「2024年問題」をはじめとして、大きく変化しています。こうしたなか、企業の「物流戦略」は重要な経営課題のひとつに位置づけられており、戦略の立案にあたって、業務の多様化への対応や、人手不足、防災対応、環境規制等の多様な要素を考慮する必要があり、物流施設に求められる機能や設備等は高度化しています。
こうした状況を踏まえて、物流企業および荷主企業約4千社を対象に本調査を実施しました。本調査では、企業の物流戦略に対する考え方や、物流施設利用の現状と今後の方向性について確認しております。今回、本調査結果を広く社会一般へ還元すべく、結果の一部を公表いたします。なお、今後、本調査に基づく分析レポートを複数回にわたり、公表していく予定です。
【調査概要】
調査期間:2024年7月~9月
調査対象:日本国内の主要荷主企業および物流企業 4,486社
調査方法:郵送・E-mailによる調査票の送付・回収
有効回答数:234社
◆物流体制について
「物流施設の配置方針」について質問したところ、「各都市圏に配置」との回答が最も多く、次いで「各地域(都道府県よりも小さい単位)」が多かった。多くの企業は、大都市圏毎に物流施設を配置している。一方、全国でビジネスを展開している大手物流企業や、製造業および小売業の物流機能の一部を担っている商社・卸売業等は、きめ細やかな物流サービスを実現するため、地域毎に物流施設を配置している。
また、「物流施設(拠点)数の方針」について質問したところ、「物流拠点の数は現状維持」との回答が最も多く、次いで「物流拠点の数を増やす」、「物流拠点の数を減らす」の順に多かった。特に、物流企業においては、物流拠点数を「増やす(45%)」との回答が「減らす(4%)」との回答を大幅に上回った。ネット通販市場の拡大等に伴い、物流需要が堅調に推移していることを受けて、物流企業は物流拠点を拡大(増加)する意向が強いことがうかがえる。
◆物流業務における課題について
「物流業務における主な課題」について荷主企業に質問したところ、「コスト削減のための在庫圧縮」との回答が最も多く、「トラックドライバーの確保」、「輸送・配送時間の短縮」、「倉庫内作業(包装・仕分け)人員の確保」、「物流施設の自動化への対応」、「働き方改革の推進」との回答が上位に挙がった。
物流企業では、「トラックドライバーの確保」、「倉庫内作業(包装・仕分け)人員の確保」、「働き方改革の推進」との回答が最も多く、次いで、「物流施設の自動化への対応」、「従業員の安全管理対策の強化」との回答が多かった。
荷主企業、物流企業ともに、トラックドライバーの確保が喫緊の課題となっている状況が窺える。また、ドライバー不足とともに倉庫内作業人員の不足も重大な課題となっている。こうした人手不足等を背景に、物流施設の自動化や働き方改革を積極的に推進したい企業が増えているようだ。
◆「物流2024年問題」の影響およびその対策状況について
「物流2024年問題」の影響について質問したところ、「輸送コストの高騰」との回答が最も多く、次いで「集荷時間などの輸送スケジュール」が多かった。「特に影響はない」との回答は1割未満にとどまり、「物流2024年問題」が、各企業の物流業務に大きな影響を及ぼしていることがうかがえる。
また、「物流2024年問題」への対策状況について、「対策は実施しているが、まだ十分でない」との回答が最も多かった。「物流2024年問題」への対策に着手しているが、現状、まだ十分ではないと認識を持っている企業は、荷主企業で7割弱、物流企業で約6割を占めており、引き続き、輸送コスト高騰などへの対応が求められる。
◆物流施設に求めるスペック(施設仕様)について
「物流施設のスペック(施設仕様)についての方針」を荷主企業に質問したところ、「重視」(「とても重視している」と「重視している」の合計)が6割を超えたスペックは、「BCP対応(免震等の構造)」、「BCP対応(非常用発電機等の設備)」、「トラックバースの多さ」、「1.5t/㎡以上の床荷重」、「5.5m以上の梁下有効天井高」、「空調設備の充実」であった。多くの企業が自然災害等への対策を重視している。また、多頻度輸送への対応から、トラックバースの数も重視されている。多くの荷役運搬機械を設置する施設も増えており、一定水準以上の床荷重および天井高が求められている。施設内で働く従業員の健康配慮から空調設備も重視されている。
物流企業では、「重視」が6割を超えたスペックは、荷主企業で挙がったスペックに加えて、「10m以上の柱スパン」、「環境対応(太陽光発電等の設備)」であった。
◆物流施設利用の方向性について
「物流施設利用面積の3年後の予定」について、エリア毎に荷主企業に質問したところ、いずれのエリアも、「現状維持」が最も多かった。利用面積DI(※)をみると、「圏央道エリア」が最も大きく、次いで、「関西圏内陸エリア」、「16号線沿線エリア」、「中国・四国地方」、「福岡・佐賀エリア」が上位であった。
物流企業でも同様に、いずれのエリアも、「現状維持」が最も多かった。利用面積DIをみると、「愛知エリア」が最も大きく、次いで、「福岡・佐賀エリア」、「16号線沿線エリア」、「北海道・東北地方」、「中部地方(愛知エリア除く)」、「関西圏内陸エリア」が上位であった。
荷主企業、物流企業ともに首都圏や関西圏以外の地域でも施設拡張意欲が高いことがうかがえる。
(※)「現在の割合を増やす」との回答割合-「現在の割合を減らす」との回答割合を引いた値
【本調査 調査項目】
1.物流事業戦略について
1 貴社の取扱貨物について
(1)取扱品目(2)物流業務における輸送手段
2 貴社の物流体制について
(1)物流施設の配置方針(2)物流施設(拠点)数の方針
3 物流業務の外部委託について
4 貴社の物流業務における課題について
5 物流業務に影響を与える社会課題について
(1)「物流2024年問題」(2)「物流DX」の取組状況
(3)物流業務に影響が大きいと考える各種施策
6 物流戦略(物流業務方針)の策定について
(1)物流戦略の策定を担当する部署(会社)
(2)物流戦略の長期ビジョン・中期計画策定の状況
(3)物流業務における貨物量の見通し(4)物流戦略に影響を与えると考える社会潮流
2.物流戦略を具現化する物流施設利用について
1 物流施設の所有形態について
(1)賃貸施設の割合(2)賃貸施設の割合を見直す理由
2 物流施設の立地について
(1)物流施設の利用面積(現在と3年後)(2)利用面積を見直す理由
(3)物流施設に求める立地条件
(4)高速道路ICまでの距離について、許容できる最長距離
(5)配送地点までの距離について、許容できる最長距離
3 物流施設のスペック(施設仕様)について
4 物流施設の機能・設備について
(1)利用施設の機能・設備(2)利用施設の災害対策設備
(3)利用施設の自動倉庫関連の設備
(4)利用施設の環境配慮・省エネ型設備
5 物流施設に関わるコストについて
■三菱地所リアルエステートサービス株式会社について
総合不動産業を営む三菱地所のグループ会社として、不動産売買の仲介・コンサルティング事業、ビル・住宅の賃貸事業、及びパーキング経営支援等を行っております。長年培ったノウハウと実績、また、三菱地所グループのネットワークをいかし、皆様の多様なご要望にお応えしております。
社 名 :三菱地所リアルエステートサービス株式会社
本社所在地:東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ11階
代表取締役:湯浅 哲生
事業内容 :不動産の売買・仲介及び鑑定、不動産の管理、貸借及び売買の受託等
設 立 :1972年12月20日
コーポレートサイト: https://www.mecyes.co.jp/
■株式会社ニッセイ基礎研究所について
株式会社ニッセイ基礎研究所は保険会社のシンクタンクとして、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
社 名 :株式会社ニッセイ基礎研究所
本社所在地:東京都千代田区九段北4丁目1-7 九段センタービル5階
代表取締役:手島 恒明
事業内容 :調査研究、コンサルティング等
設 立 :1988年7月4日
コーポレートサイト: https://www.nli-research.co.jp/?site=nli
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