M&A総合研究所、『2023年上場企業M&Aレポート(建設業界版)』を発表
調査結果サマリー
●2020年〜2021年における建設業のM&A成約件数は、29件から42件へと大幅に増加(前年比44.8%増)するも、2022年は33件(前年比△21.4%)と減少へ転じた。
●2023年1〜4月までのM&A成約件数は14件。内訳は同業種11件、不動産業2件、リース業1件となっており、異業種とのM&Aはいずれも建設業と親和性が高い業種であった。
●物流の2024年問題や働き方改革への対応が求められるため、人材確保目的など今後もM&A件数が増加する見込み。
調査概要
調査対象期間:2018年〜2022年および2023年1月~4月末日
調査対象:調査対象期間中に公表された、建設業を対象にした東証の適時開示
調査方法:東証適時開示の情報を集計
建設業種を買収対象としたM&Aは微増傾向、2024年問題に対応すべく今後も増加の見込み
2020年はコロナ禍により建設業界の業績は減退、全体の工事数が減少したことで競争が激化し、翌2021年は生き残りをかけた経営戦略としてM&Aを行う企業が増えました。
その結果、2020から2021年のM&A成約件数は29件から42件へと大幅増加(前年比44.8%増)となり、2022年は33件(前年比△21.4%)と減少へ転じるも、コロナ禍以前の2018から2019年に比べると微増傾向となっています。
また、2023年1月から4月までのM&A成約件数は14件あり、内訳は同業種11件、異業種3件となっており、異業種とのM&Aはいずれも建設業と親和性が高い業種が相手先となりました。
2023年から2025年までは、都心の再開発案件を中心に大型工事や大阪万博関連工事が控えており、
さらに物流の2024年問題や働き方改革への対応が求められるため、人材確保目的など今後もM&A件数が増加すると考えられます。
その一方で、建設資材費の高騰、慢性的な人材不足を背景とした労務費の上昇、物価上昇による賃上げ圧力など懸念材料も多く、業務改革やDX化推進が業界の課題です。
また、最近では建設業界でも脱炭素化への取り組みが進んでおり、今後は課題解決の手段としてだけでなく、新たな取り組みに向けたM&Aも活発になると考えられます。
取引事例
建設業の買収で取引金額の大きかったものでは、三井住友建設株式会社(以下 三井住友建設)がシンガポールの建設会社Antara Koh Private Limited(以下 AKPL社)を完全子会社化した事例があります。
AKPL社は機械土木を主力とし、海上・水上杭工事の豊富な実績を持つ企業です。三井住友建設とは東南アジア地域での大型橋梁工事において長期に渡り協業していました。
三井住友建設は中長期計画において「海外事業の強化」を基本方針のひとつに掲げています。本買収もその一環であり、 AKPL社の子会社化によって、三井住友建設が強みとする大型橋梁工事の競争力向上と事業領域の拡大が目的です。
本買収によって、AKPL社のもつ船舶や杭基礎技術を活かし、施工管理体制の連携によって大型橋梁分野における競争力の強化を図るとしています。
なお、本件の株式譲渡実行日は2022年2月15日、株式取得価額は8,800万シンガポールドル(約73億円)です。
自社取引事例
■株式会社はろうす × 株式会社AGILE INNOVATION
<担当者コメント抜粋>
譲渡企業様は愛知県知多市の住宅建築会社様です。オーナー様が1代で築き上げ「お客様の人生を設計する住宅」をコンセプトとして事業展開されていました。
地域のお客様に愛され続けてきましたが、30年後もお客様を支え続ける企業でありたいという願いから、M&Aによる事業承継を決断されました。
譲受企業様は給排水衛生設備業を中心に手掛ける住宅設備会社様です。複数のグループ会社を持ち、給排水衛生設備業だけでなく不動産賃貸業や経営コンサルティング業など幅広く事業を展開されています。
譲渡企業様の住宅ブランドを新規事業としてグループに取り入れることで、販売エリアを知多市近郊以外にも拡大できるとお考えになり、今回のご譲受へ至りました。
「お客様のために会社を残したい」という譲渡企業のオーナー様の強い想いが今回の良縁を結んだと考えております。
参考情報
【参考】
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M&Aとは?:https://masouken.com/M&A
事業承継とは?:https://ma-s.jp/x/qcoex
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【株式会社M&A総合研究所について】
会社名:株式会社M&A総合研究所
事業内容:M&A仲介事業
本社:東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館 18階
代表者:代表取締役社長 佐上 峻作
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