<カゴメ、エーテンラボ、神奈川県立保健福祉大学の3者共同研究>自分の健康行動で社会貢献にも寄与できる食生活改善プログラムが野菜摂取行動を促進させることを確認
第82回日本公衆衛生学会総会で発表
カゴメとエーテンラボとは、今後、本プログラムの社会実装を進め、健康経営を推進する企業や住民の健康増進活動を推進する自治体に対して提供していく予定です。
※1:神奈川県が県民の未病改善に向けて実施する「神奈川ME-BYOリビングラボ」を活用
※2:愛知県豊橋市の「豊橋市健幸なまちづくりパートナーシップ」事業として実施
■ これまでの健康増進活動の課題と解決のための仮説
現在、多くの企業や自治体で野菜摂取量の増加を含む食生活改善や、運動習慣の改善といった生活習慣改善活動が行われています。一方、自分の健康に対する関心があまり高くない方が、これらの活動への参加や取り組みに対して積極的ではないことが課題でした。そこで、「自分の健康のために健康行動をとる」という健康アウトカムだけではなく「自分や健康行動をとることが社会貢献にもつながる」という社会的アウトカムを組み入れることで、これまで健康増進活動に積極的に参加しなかった方の参加や行動を促すことが出来るのではないかと考えました。
■ 本プログラムの特徴
本プログラムは、以下を通じて野菜摂取量の増加を目指します。
① 管理栄養士による野菜摂取を動機づける動画の視聴
② 推定野菜摂取量を測定できる機器『ベジチェック®』(※3)の設置
③ 環境サポートとして24本の野菜飲料の配布
さらに、習慣化アプリ『みんチャレ®』(※4)を活用して、アプリ内で野菜摂取を報告するとコインが獲得でき、それが一定量貯まると地元の子ども食堂に対して野菜を使用した食品が寄付される仕組みを提供しました。
■ 実証研究の方法
愛知県豊橋市及び神奈川県内に事業所がある企業に勤務する勤労者を研究対象者とし、研究対象者を年齢と性別の構成が等しくなるように無作為に2群に割り付けました。そして、一方の群(対照群)には対照プログラムを、もう一方の群(介入群)には行動することが社会貢献に繋がる仕組みを取り入れた本プログラムを受講してもらいました。研究対象者には、プログラム受講前と受講後3ヶ月後に食事調査を実施し、野菜摂取量の変化や野菜摂取に関する意識や行動の状態を評価しました。
■ 結果
研究対象者の募集に関して、400名の目標に対して574名の方に参加いただきました。
プログラム受講前と比較して受講後3ヶ月では両群ともに野菜摂取量が有意に増加していました(図1)。受講前後の野菜摂取の増加量を群間で比較したところ、対照群と比較して介入群の方が、有意に増加量が大きいことが認められました(図2)。また、プログラム受講後では介入群の方が対照群と比較して野菜摂取に関する行動変容ステージが前進していることが示唆されました。
健康アウトカムに加え、食行動の変化が社会貢献に繋がることを実感できるような社会的アウトカムを期待させる栄養教育プログラムは勤労者の野菜摂取に関する行動変容に効果的であると示唆されました。今後、本プログラムをカゴメとエーテンラボとの共同で、自治体や健康保険組合に提供していきます。さらに社会実装されることで、栄養教育プログラムの参加者の食生活のみならず、社会貢献活動の活性化にもつながることが期待されます。
<用語説明>
※3:ベジチェック®
自身の推定野菜摂取量が約30秒でわかる機器です。センサーに手のひらを当てるだけで結果がわかります。測定の簡便さが特徴で、他のサービスと組み合わせることで、より行動変容を促すことが期待できます。※ベジチェック®は医療機器ではありません。表示値はあくまでも目安となります。
※4:みんチャレ®
・同じ目標を持った5人がチームとなってチャレンジする習慣化アプリ
・「みんチャレ」の習慣化の仕組みを用いて、野菜の摂取や、ウォーキングを継続し重症化を予防するプログラムを自治体向けに展開
https://minchalle.com/for-biz/lifestyle_related_diseases/
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