EV時代の到来 台湾工作機械産業の今後の動向<ワイズ機械業界ジャーナル2022年2月第2週号発行>
〜台湾機械業界の最新動向と分析〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年2月第2週号を発行しました。今週号では、工作機械産業、木工機械設備産業、半導体設備メーカー、自動化・ロボット業界について紹介します。
<220210号記事>
- EV時代の到来 台湾工作機械産業の今後の動向
- 台湾木工機械設備産業の課題と2022年展望
- 半導体設備メーカー、翔名科技(フィードバック・テクノロジー)
- TAIROS2021開催、出展メーカーの多くは22年の景気に楽観的
<EV時代の到来 台湾工作機械産業の今後の動向>
一、EV商機の到来
温室効果ガス削減が各国の共通目標となり、電気自動車(EV)が世界から注目を集めるようになった。EVボリュームズの研究資料によると、2020年の世界のEV販売台数は前年比43%増の324万台で過去最高を更新した。複数の研究機構の予測では、30年からEVの販売シェアは大幅成長し、40年にはガソリン車を超え、自動車市場の55%を占める見通しだ。
また、温室効果ガス排出削減の国際基準が定められ、一部の国が50年までに温室効果ガス排出量ゼロを達成することを宣言し、各国でガソリン車の販売禁止スケジュールが策定された。統計資料によると、先進各国が50年までにガソリン車の販売を禁止し、EVにシフトすることを目指している。このため、今後30年間、EV産業は各国の優先発展産業となる見通しだ。
二、工作機械産業への影響
EVとガソリン車はいずれも大きく分けて▽動力システム、▽車体、▽シャシーの3つの部分で構成されるものの、動力システムには大きな違いがある。従来のエンジンや吸排気部品の需要が減少し、代わりに「三電システム」、つまり▽電機、▽電池(バッテリー)、▽電子制御の需要が大幅増加して、工作機械産業に新たな商機をもたらす見込みだ。
1.電池について
電池はEVの中核部品であり、生産コストの35~40%を占める。航続距離を長くするため、EV搭載電池は大型化している。また軽量化のため、材料は主にアルミニウム合金や高張力鋼板を使用している。
エネルギー市場調査機関、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によれば、リチウムイオン電池の市場需要は30年までに2.8テラワット時(TWh)を超え、現在の7倍となる見通しだ。これは、EV大手テスラのギガファクトリー80個分の年間生産量に相当する。電池需要の大幅増加に伴い、マシニングセンターとプレス機の需要が増加すると予測される。
2.車体について
EV開発における課題のひとつは部品の簡略化である。例えば、テスラのモデルYは車体の設計を簡略化し、電池をモジュール化することで、走行中の騒音低減、安全性と航続距離の向上、生産コストの削減を実現した。
また、各大手自動車メーカーが積極的に推進しているオープンプラットフォームはもうひとつの課題だ。例えば、トヨタ自動車の「e-TNGA」やフォルクスワーゲンの「MEB」などで、生産効率・能力の向上とコスト削減を実現できる。オープンプラットフォームの推進に伴い、ダイキャストマシンや成形用工作機械の需要が増加すると予測される。
三、工作機械メーカーの動向
1.東台集団(東台マシン&ツール)
東台集団は、自動車産業のEVシフトによって自動車部品数が大きく減少したことが、工作機械産業に大きな影響を及ぼしたと指摘する。(後略)
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