2022年台湾バッテリー製造業の概況分析<ワイズ機械業界ジャーナル2022年2月第3週号発行>
〜台湾機械業界の最新動向と分析〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2022年2月第3週号を発行しました。今週号では、バッテリー製造業、紡織、アパレルと皮革生産用機械設備製造業、自動車部品メーカーの江申工業、機械メーカーの動向について紹介します。
<220217号記事>
- 2022年台湾バッテリー製造業の概況分析
- 台湾紡織、アパレルと皮革生産用機械設備製造業の振り返りと2022年の展望
- 自動車部品メーカー、江申工業(KIAN SHEN CORPORATION)
- サプライチェーン再建への台湾メーカーの対策
一、産業概況
経済部工業生産統計データベースによると、ガソリン車に使用される大容量鉛蓄電池の需要増加と鉛価格上昇に伴う単価引き上げを受けて、2021年1〜10月のバッテリー産業の生産額は前年同期比5.64%増、販売額は同10.01%増となった。
米中貿易摩擦の影響でサーバーメーカーの台湾Uターン投資が増加し、サーバー向けバッテリーバックアップユニット(BBU)の販売が成長した。また、電動車両とエネルギー貯蔵装置向けバッテリーモジュールの需要も増加したことから、21年1〜10月のバッテリーモジュール組立産業の生産額は前年同期比11.79%増、販売額は同5.70%増となった。総合すると、バッテリー産業とバッテリーモジュール組立産業の生産額と販売額がそろって成長したことから、21年1〜10月の台湾バッテリー製造業の生産額は前年同期比6.97%増、販売額は同9.01%増となった。
なお、台湾製自動車の新モデルリリースによって鉛蓄電池の生産と販売が伸びたことに加えて、昨年の鉛価格が低かったため、21年通年の台湾当産業の生産額は同8.22%増、生産額は同9.05%増となる予測だ。
二、輸出入概況
台湾のバッテリーモジュールメーカーが中国に大規模の生産ラインを設置していることに加えて、複数の中国バッテリーセルメーカーの小容量リチウムバッテリーセル市場におけるシェアが安定して成長したため、21年1〜10月の台湾当産業の主要輸入相手国1位は中国で、輸入額は前年同期比35.29%増だった。
電気自動車(EV)とエネルギー貯蔵装置向けバッテリーモジュールの生産拡大に伴い、日本からの高容量リチウムバッテリーセルの輸入量が増加したため、21年1〜10月の日本からの輸入額は前年同期比21.90%増だった。一方で、中国および日本メーカーとの競争が激化したことから、韓国からの輸入額は同42.31%減と大きく減少した。
このほか、台湾の自動車修理市場ではドイツ製鉛蓄電池の調達規模が増加し、インドネシアからの乾電池の輸入も成長したことから、21年1〜10月の台湾当産業の輸入額は前年同期比21.58%増の247億9,700万台湾元となった。
なお、輸入調達したエネルギー貯蔵装置向けリチウムバッテリーが台湾に続々と到着し、かつ比較水準の昨年数値が低かったことから、21年通年の台湾当産業の輸入額は前年比25.29%増となる予測だ。
台湾製リチウムバッテリーと無停電電源装置(UPS)向け鉛蓄電池の輸出額が回復したことから、21年1〜10月の台湾当産業の対米国輸出額は前年同期比9.12%増となった。
また、バッテリー部品の対中国輸出額が前年同期比45.82%増と大きく伸びたことから、21年1〜10月の台湾当産業の対中国輸出額は同10%増の192億6,700万台湾元となった。
半導体不足問題の影響で一部電子機器の生産が遅れているため、バッテリーモジュールの需要は減少したものの、3C(コンピューター、通信、家電)製品以外向けのリチウムバッテリーモジュールの販売が好調であることに加えて、鉛蓄電池の出荷が回復したことから、21年通年の台湾当産業の輸出額は前年比13.02%増で成長傾向を維持できる見込みだ。
三、今後の展望
台湾は再生可能エネルギー装置の増設を進めており、電力網向けエネルギー貯蔵装置の市場需要は安定して成長している。台湾電力(台電、TPC)は25年までにエネルギー貯蔵装置容量を1,000メガワット(MW)に引き上げる計画(後略)
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