雇用主の86%が「2030年までにAIが事業を変革」と予測【A.T. カーニー】
CHROの89%が人材再配置を期待、一方でAI研修受講は35%―6領域と4つの行動を提示
A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考「AIの価値を引き出す人材戦略――成否を分けるのはテクノロジーではなく人材」(英題:Talent, not technology: Why workforce strategy is the key to unlocking AI’s value)を発表しました。
本論考では、AIの価値を最大限に引き出すためには、テクノロジーの導入にとどまらず、人材・労働力戦略を再設計する必要があると指摘しています。世界経済フォーラムの調査によると、雇用主の86%が、2030年までにAIが自社のビジネスを変革すると予測しています。また、Salesforceの調査では、CHRO(最高人事責任者)の89%が、AIエージェントの活用によって従業員を新たな役割へ再配置できると見込んでいます。一方、Randstadの調査では、AIを導入している企業の従業員のうち、直近1年間に関連するAIスキル研修を受講した割合は35%にとどまりました。AIの導入が進む一方で、それを活用する人材の準備や育成が十分に追いついていない現状が浮き彫りとなっています。
本論考では、AIが労働力に影響を与える6つの領域を整理するとともに、将来像から逆算する「トゥモロー・バック」の人材戦略を提示しています。さらに、組織階層、人材配置、リーダー育成、学習基盤を見直すための4つの行動を提案しています。
雇用主の86%が2030年までにAIが事業を変革すると予測
世界経済フォーラムの調査によれば、雇用主の86%が、2030年までにAIが自社のビジネスを変革すると見込んでいます。また、Salesforceの調査では、CHROの89%が、AIエージェントを活用することで、従業員を新たな、より適した役割へ再配置できると考えています。企業事例として、Modernaは、組織向けに最適化したChatGPTを3,000以上展開し、人が強みを発揮する仕事と、テクノロジーが担う仕事を踏まえてチームを再設計しました。AIの導入範囲が広がるほど、単にテクノロジーを導入するだけでなく、役割の新設・廃止・再定義を含む人材戦略と連動させることが重要になります。

AI導入企業でも研修受講は35%、従業員の約半数が準備不足
SHRMの調査によると、従業員のおよそ半数が、自社におけるAIの本格的な導入に対して準備不足だと感じています。
また、Randstadが実施した調査では、AIを導入している企業の従業員のうち、直近1年間に関連するAIスキルトレーニングを受けた割合は35%にとどまりました。AI導入の進展と、従業員の準備・育成との間に隔たりがあることが示唆されます。本論考では、AIが労働力を変える領域として、以下の6つを挙げています。
仕事の性質 人材の流動性 組織構造 リーダーシップ 継続的改善 学習・人材開発
JPMorgan Chaseでは、商業ローン契約の解釈に、従来年間36万時間の弁護士稼働を要していましたが、AIの導入により、法務スタッフがより付加価値の高い業務に集中できるようになったとされています。また、役割を個別のタスクに分解する「ジョブ・ピクセレーション」を通じて、AIが自動化・拡張するタスクと、人が判断力、創造性、対人スキルを発揮するタスクを見極めることが、役割やスキルの再設計につながります。

人材戦略を動かす4つの行動、AI変革の実行基盤に
本論考では、AIの価値を引き出す第一歩として、将来像から逆算し、役割、タスク、必要なスキルを定義する「トゥモロー・バック」の人材戦略を提案しています。そのうえで、AIによる効率性の向上を踏まえ、管理スパンや組織階層を再調整すること、流動的な人材配置とクロスファンクショナルな協働を前提とする組織設計が必要だとしています。さらに、複雑性の高まりと意思決定の迅速化に対応できる、リーダー育成のパイプラインを構築と、変化するスキル需要に対応するため、動的な学習エコシステムおよびスキル・オントロジーへの投資を挙げています。L&D(学習・人材開発)の成果についても、研修の受講完了率だけで評価するのではなく、生産性、適応力、社内流動性、スキル向上などの指標を用いて捉えることが求められます。

- 論考について
論考名:「AIの価値を引き出す人材戦略――成否を分けるのはテクノロジーではなく人材」(英題:Talent, not technology: Why workforce strategy is the key to unlocking AI’s value)
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/talent-not-technology
- 監修者
滝 健太郎 シニアパートナー
東京大学経済学部経済学科を卒業後、A.T. カーニーに入社。約10年のコンサルティング経験を有する。通信・金融機関・消費財を中心に、戦略~新規事業・R&D~M&A~マーケ・営業~オペレーション~コスト~人事・組織など、経営に係わる幅広いテーマを手掛け、特に、全社レベルでの大規模デジタルトランスフォーメーションを得意とする。
川﨑 健史 パートナー
東京大学理学部卒、Duke University, Fuqua School of Business (MBA) 修了。NTT東日本、米系戦略コンサルティングファーム、Big4コンサルティング部門等を経て、A.T. カーニーに入社。日系及び東南アジアの通信・ハイテク企業を中心に、中期経営計画・グローバル経営マネジメント・テクノロジー戦略・事業モデル変革・業務パフォーマンス変革等の幅広いCXOアジェンダに従事。近年では、戦略コンセプトの立案から実行サポートまで一貫したデジタルトランスフォーメーションのサポートも数多く手掛ける。
A.T. カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、あらゆる主要産業のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。https://www.jp.kearney.com/
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