【三浦工業株式会社】航行中に常時回収可能な新型マイクロプラスチック回収装置を試験搭載
~世界中の海からマイクロプラスチックを回収し、広海域での海洋環境保全に貢献~
株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)と三浦工業株式会社(代表取締役:宮内大介、本社:愛媛県松山市、以下「三浦工業」)は、これまで共同で取り組んできたマイクロプラスチック(以下「MP」、注1)回収装置の技術と知見を活かし、航行中に常時回収可能な新型の遠心分離式MP回収装置を開発しました。同装置を商船三井が運航する自動車船”EMERALD ACE(エメラルド エース)”(以下「本船」)に2022年6月より試験的に搭載しました。
【MP回収装置の開発背景およびこれまでの活動実績】
海洋汚染の要因の一つとなっているMPを回収するため、これまで両社では、船舶のバラスト水処理装置を構成する逆洗機能付きフィルタに捕集されたMPの捕捉を荷揚げ時に行う回収装置を開発し、バルクキャリア3隻、木材チップ船2隻の計5隻に搭載してきました。
これらの搭載船では荷揚げ地の港で計約16,000㎥相当の海水を処理してきましたが、処理時間・エリア・容量を更に増やすべく、この度、新型の回収装置の開発を行いました。
【新型遠心分離式のMP回収装置の特長】
新たに遠心分離装置(図1)を設けることで、配管を閉鎖することなく、海水からMP等の浮遊物濃度の高い濃縮水を分離し、効率よく浮遊物を捕捉します。これにより、常時取水している海水ラインの処理や、従来型では一部の処理に留まっていたバラスト水処理装置内の逆洗機能フィルタの船外排水も全量処理することが可能となります。本船では、常時海水を取水している冷却海水ラインに繋げることで、航行中常にMPを回収することができ、従来機と比較し年間約70倍の海水処理が可能となります。自動車船の投入航路は全世界に及ぶため(図2)、航行中に装置を稼働することであらゆる海域を綺麗にし、海洋環境保全に貢献します。
【今後の展開】
昨今、海中のMP浮遊量データが、MPの動静調査や、各分野で実施されているMP削減活動の効果測定に活用できるという背景から、同データの需要が研究機関の間で高まっています。商船三井では、本装置で回収されたマイクロプラスチックの成分・量・場所・時期といったデータを今後研究分野に活用することも視野に入れています。
三浦工業では、更なる大容量処理が可能な商品とバラスト水処理装置とMP回収装置を組み合わせたバラスト排水全量処理や海水冷却系統の全量処理システムの開発を進めていきます。
【商船三井の海洋環境保全への取り組み】
商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題を「サステナビリティ課題」(注2)として特定しています。世界中の海からMPを削減することを通じて、サステナビリティ課題の一つに挙げている「海洋・地球環境の保全」に更に貢献していきます。
【三浦工業の海洋環境保全への取り組み】
三浦工業は今回開発したMP回収装置を通じて世界の海洋環境保全へ貢献するとともに、熱・水・環境のベストパートナーとして、企業活動を通じ、環境に優しい社会の創造とサステナブルな社会の実現に貢献します。
(注1) マイクロプラスチックとは、海へ放出されたプラスチックごみが紫外線や波による劣化によって5㎜以下の微小サイズになったプラスチック粒子を指します。
(注2) 商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題として特定した「サステナビリティ課題」への対応を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献します。
本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment 海洋・地球環境の保全」「Innovation 海の技術を進化させるイノベーション」にあたる取り組みです。
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