CTCとNII、学術機関におけるデジタル資格証明の標準化に向けた共同研究を推進
学位・学修歴・学生証のデジタル化に向けたガバナンスと技術標準の策定へ
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(代表取締役社長:新宮達史、本社:東京都港区、略称:CTC)と、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(所長:黒橋禎夫、所在地:東京都千代田区、略称:NII)トラスト・デジタルID基盤研究開発センター(センター長:佐藤周行)は、学術機関におけるデジタル資格証明の標準化に向けた共同研究を開始しました。現在、学術機関が発行する資格証明は多岐に渡り、技術やガバナンスに関する標準化が課題となる中で、NIIおよびCTCは、従来NIIを中心に進めてきた学術認証フェデレーション(学認)の運用経験や、これまでCTCが取り組んできた資格証明のデジタル化の検討内容を踏まえ、国内外における学位・学修歴・学生証などの資格証明のデジタル化に向けた標準化の検討を行います。
NIIは本研究の結果を踏まえ学認のルールの改定や技術仕様への反映を担い、CTCは国際的な標準技術の適用に関する検討ならびに実証プロジェクトの推進を行います。共同研究の期間は2024年10月から2026年3月までです。
■本研究の背景
学術機関における資格証明は学位証明・学修歴・学生証など多岐に渡りますが、以下の課題があり国や機関を跨いだ相互運用性の担保が困難となっています。
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W3C※1やIETF※2が仕様化を進めるVerifiable Credentials関連技術やISOが策定しているISO/IEC 18013-5(mdoc)など複数の技術仕様が混在しており、国や機関によって採用する技術仕様が異なることから、資格証明を受け入れる側が複数の技術に対応する必要がある。
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資格証明に含める属性情報の標準化・多言語化が行われておらず、発行機関と受け入れ機関で個別に授受属性に関する調整が必要となる。
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資格証明を発行する機関が認定された学術機関であること、また適切にシステム運営が行われていることを認定・監査するための枠組み(トラストフレームワーク)が策定されておらず、発行機関の信頼性の確保ができない。
■本研究の概要
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本研究は、学術機関が発行する各種資格証明を安全に相互運用するために必要なガバナンスや技術仕様の標準化の策定に向けた取り組みを進めるものです。
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具体的には、学認のトラストフレームワークを参考に、発行機関である各学術機関が資格情報を発行する際に付与する各機関のデジタル署名、各機関がトラストフレームワークにより認定されている機関であることを証明する認定機関のデジタル署名のそれぞれについて、受け取り側の機関が検証可能なアーキテクチャの検討を行います。また、各資格証明の採用する技術標準と保持属性を含むプロファイルの検討を行います。
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本研究を進めることで、国や機関を跨いで学術機関が発行するデジタル資格証明が利活用される安全・安心で利便性の高い社会の実現が期待できます。
■NIIとCTCの役割、ともに取り組む背景など
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NIIは、学認のトラストフレームワーク・ルールの改定や技術仕様へ検討結果を反映するためのディスカッション・ペーパーなどの執筆や実際のルールへの反映を行います。
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CTCは、国際的な標準技術の適用に関する検討ならびに実証プロジェクトの遂行、および実証に利用するアプリケーションなどの開発支援を行います。
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NIIは、次世代認証連携に向けた仕様策定を進めており、CTCは、学術機関におけるデジタル学生証の発行に関する実証実験を複数実施していて、デジタルアイデンティティの技術標準についてシステムでの実装に早期から取り組んでいます。
■今後の展望
今後両者は、国内のみならず国外の学術機関との相互運用を行うための資格証明の仕様検討・実証を進め、民間サービスを含めた利活用も視野に研究を進めていきます。
※1 W3C: Web技術の標準化を行う非営利団体の名称です。
World Wide Web Consortiumの略称
※2 IETF:インターネット技術の国際標準を策定している団体の名称です。
Internet Engineering Task Forceの略称
※ 記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
※ 掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
以上
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
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